2009年11月17日 14時36分更新
信州大学工学部の遠藤守信教授らが計画している極めて小さな炭素、「ナノカーボン素材」の機能を高めるための研究が文部科学省が進める研究支援事業に選ばれましたが、政府の事業仕分けでこの事業は廃止の方針が打ち出されており、今後予算が計上されるかどうか不透明な状況です。
文部科学省の支援事業に選ばれたのは、信州大学工学部の遠藤教授を中心とする研究グループで、1ミリの100万分の1という極めて小さな炭素、「ナノカーボン素材」の高機能化を目指す研究です。「ナノカーボン素材」のひとつカーボンナノチューブは鉄の数十倍の強さがありながらアルミニウムより軽いなどといった特性があり、ホウ素など別の素材を加えることで機能を高め、環境や宇宙、医療などの分野でも「カーボンナノ素材」を使った開発を進める計画です。
今回の研究ではアメリカやメキシコなどからも第一線の研究者を信州大学に招き集中的に研究を進めるほか、国内の19の企業も参加する予定で、「ナノカーボン素材」を使った商品化につなげたい考えです。
一方、この研究はことし12月から平成25年12月までの5年間で文部科学省の独立行政法人「科学技術振興機構」から委託費として11億円が交付される予定でしたが、政府の事業仕分けではこの研究支援事業が「廃止」と判断され、来年度以降の予算が計上されるかどうか不透明な情勢です。