また、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)の神(こう)美知宏事務局長は、半世紀前の1958年には12、000人いた入所者が今年5月の時点では2、568人まで減少していること、さらに、平均年齢も80歳を超え、1年間で平均170〜200人もが亡くなっている現状を報告されました。1つの療養所で100人を割れば医療機関としてはやっていけないとの研究報告を厚生労働省が行っており、療養所そのものの存続が危ぶまれるとのことでした。看護師の欠員は全国で104人にも及び、今年6月の厚生労働省との交渉では担当課長から2年間で欠員を埋めるよう努力するとの回答があったにもかかわらず、具体的な動きは見えないままとのことでした。神さんは、4月から施行された「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」がこのような療養所の状況を改善できておらず、今後の療養所のあり方や将来構想が早急に検討され、この法律に「魂を入れる」ことが必要だと訴えられました。
神さんは、各療養所の納骨堂には約25、300人(全体の60%)もの遺骨が引き取り手がなく残っている現状をふまえ、療養所を隔離政策等の人権侵害の過ちを再び起こさないための人権問題を考える拠点にできないかと提案されました。さらに、厚生労働省が出しているハンセン病施策に関する概算要求約420億円が査定減額されず満額が確保されることや、国家公務員定員削減の対象からハンセン病療養所を除外することなどを強く訴えられました。
なお、「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」では、これまで会長を務めていた藤井裕久会長が財務大臣に就任したため、退任されることとなりました。藤井会長は総会の冒頭に挨拶され、参加議員には今後も全国の各ハンセン病療養所に足を運んでほしいと要望されました。全療協の代表の方々から、藤井財務大臣が旧大蔵省に勤務していた頃、療養所の人々の年金支給に奔走されたことなどへの感謝が述べられました。
新たな会長には民主党の川内博史衆議院議員が、副会長には加藤公一衆議院議員、事務局長には柚木道義衆議院議員が就任することとなり、いずれも承認されました。(写真は川内議員と藤井大臣)
私も懇談会のメンバーとして、今後も現場の療養所の方々の声に真摯に耳を傾けながら、法を実効性のあるものにするために共に取り組んでいきたいと思います。
「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」総会に出席