奈良県生駒市で7日、自宅で低血糖発作を起こした男性(69)が県内や大阪の9病院に搬送を断られ、通報から約1時間20分後に大阪府の民間病院に運ばれたことがわかった。男性は今も治療中。同市では3月と10月にも患者が6〜7病院に搬送を断られ、その後死亡しており、県地域医療連携課は「根本的な救急受け入れ態勢を整備する必要がある」と話している。
市消防本部などによると、7日午後11時45分ごろ、男性の家族から119番通報があった。救急車は6分後に到着。救急隊員は脳卒中の疑いもあるとみて、2次救急の当番病院や県内、大阪府の病院などに照会したが、「処置中」などの理由で断られた。10回目の照会で大阪府大東市の民間病院に搬送が決まり、8日午前1時6分に収容された。
奈良県は5月、消防が受け入れ病院を検索するシステムに、従来の診察科別のほか「心筋梗塞(こうそく)」「脳卒中」など症状別の可否情報を加えた。市消防本部は今回、「脳卒中」を受け入れ可とした県内2病院に照会したが、いずれも「処置中」で断られたという。(東裕二)