事件・事故・裁判

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

筑波メディカル病院・術後死:病院に過失 7600万円賠償命令--水戸地裁支部

 02年に卵巣腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けた茨城県坂東市の女性(当時25歳)が、腹腔(ふくくう)内の大量出血で手術当日に死亡したのは病院が術後管理を怠ったためだとして、遺族が財団法人「筑波メディカルセンター」(助川弘之理事長)と医師2人に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、水戸地裁土浦支部(犬飼真二裁判長)は16日、病院側の過失を認め、約7600万円の支払いを命じた。

 訴えていたのは、小林佳子さんの父真二さん(57)ら。訴えなどによると、佳子さんは卵巣がんの疑いがあるとして、02年6月28日に同センター病院で右卵巣・卵管の切除手術を受けた。午後2時40分に終了し約3時間後から体の痛みを訴え、看護師が対応したが同11時半に呼吸停止状態であることに気付いた。死因は腹腔内出血。判決は、執刀医2人が手術時に動脈2本を傷つけたが見過ごし、「術後出血のチェックも不十分だった」と認定した。

 訴訟で病院側は、看護師が記したノートを根拠に心肺停止30分前まで異状はなく、「予期せぬ事態」と主張、術後の管理体制が争点となった。判決は、ノートに血圧や尿量の時間ごとの記載がないことを指摘し、「全身状態を確認すれば異状を発見できた」と病院側の主張を退けた。原告側の千葉憲雄弁護士は会見で「病院側のずさんな管理、カルテ改ざんを認めた画期的な判決だ」と語った。一方、同センターは「判決文が届き次第、内容を確認、今後の対応を検討します」とのコメントを出した。【橋口正】

毎日新聞 2009年11月17日 東京朝刊

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド