かんたん薬膳やさしい漢方
春のストレス対策!
春のストレスは「肝」がポイント
草木が芽吹き、動物も活動をはじめる春。東洋医学では、春は肝(肝臓+自律神経・血液循環など)の働きがポイント。草木のように人ものびのびすることが大切ですが、環境の変化などでストレスを受けると肝が弱り、気(体をめぐる元気のもと)が上手にめぐらずに不安感やイライラなどの不調があらわれることがあります。薬膳や漢方で肝を整え、ストレス対策をしましょう!
薬膳は中医学の考えかたをもとに、季節や体調にあわせてつくられる料理です。
今回は、ストレスをやわらげるために「肝」や「気」を整えるかんたんレシピ。
 
くらげとセロリの和えもの

材料(4人分)
●くらげ……200g ●セロリ……1本 ●トマト……小2個 ●クコ……20粒
●陳皮(チンピ:みかんの皮を干したもの)……少々 ●食用菊……少々

〈調味料〉
しょうゆ・小さじ2、酢・大さじ1、砂糖・小さじ2、塩・少々、ごま油・小さじ1
(飾り・セロリの葉)

作りかた
❶くらげは80度くらいの湯でゆでて、一晩流水にさらして塩分をぬいておく。
❷セロリは3〜4cmの長さのせん切りにし、塩少々(分量外)でもみ、しんなりさせておく。
❸トマトは食べやすい大きさに切り、器にならべる。クコは水につけてもどしておく。陳皮は水につけて、やわらかくなったら細かくきざむ。
❹調味料をすべて混ぜて、1・2と和える。クコと陳皮をふりかけ、食用菊をちらす。
薬剤師
池方香里さん
ミキ調剤薬局
池方さん
酸っぱいものは肝の働きを助け、体の疲れをとり、イライラをおさえます。ただし、とりすぎると胃腸の働きが悪くなるので気をつけて。旬の野菜を食べると心身のバランスをとりやすくなりますよ。
 
薬剤師A: セロリ独特の味が和らいで、とても食べやすかったです。彩りがとてもきれいでした。くらげのこりこり感とセロリのシャキシャキ感。食感も楽しめました。セロリは塩で揉む事により、皮付きのまま食べられますし、とても食べやすくなるので、セロリが苦手な方も一度試していただきたいです。
薬剤師B: セロリとくらげの歯ごたえがたまらない一品です。見た目が爽やかです。
薬剤師C: セロリの苦さはあまり感じなかったです。しゃきしゃきとしていて食感がよかったです。見た目も華やかで食欲をそそります。
薬剤師D: セロリが苦手でしたが、チンピが入っていて食べやすかったです。
加味逍遙散
加味逍遙散は肝の調子を整えて、気のめぐりを良くしてほてりをしずめ、血行を良くし、胃腸の働きを高めてストレスをやわらげます。特にのぼせたりイライラしがちな人におすすめ。
図

なんとなく具合が悪いときに
「逍遙=そぞろ歩き」という言葉のとおり、更年期障害など日々変化する不快な症状にも処方され、女性の冷え性や生理不順、男性の神経症などに使われています。

心身一如(しんしんいちにょ・しんしんいちじょ)
ストレスから胃痛になったり、体調が良いと気分も上々になるなど「心と体は一体である」という漢方の考え方です。心と体の両方のバランスをとることが健康につながります。
五行説 左の図は、東洋医学に深く関わる、自然にあわせた考え方、暮らし方を図式化したものです。「五行説」と言って、木・火・土・金・水の5つの要素が万物をつくり、それぞれに季節・体・味・色があてはめられ、相互に影響しあってバランスを保つと考えられています。
薬膳漢方ちょこっと対談
ミキ薬局薬剤師
池方: 和えものに入っている陳皮(チンピ)は、みかんの皮を干して作るんですよね。
白木: はい。みかんを食べた後に干しておけば自分で作れますよ。
田中: 漢方薬は植物の皮や根っこだったりしますもんね。
白木: そうですね。ちなみにセロリは皮つきです。もったいないし効果も違いますから。
池方: ええ〜!全然気づきませんでした。香りが軽くて、とっても食べやすかったです。
田中: セロリの葉の緑もきれい。食べものって、全体を食べると良いものなんですね。
白木悦樹
春のストレス対策!タイプ別漢方薬のすすめ
漢方薬は、日ごろ口にしている食べものも使われている身近なものです。
ひとりひとりの体型や体調、症状にあわせて処方され、体全体のバランスを整えます。
あなたにあった漢方薬をチェックしてみましょう。
あなたのストレスタイプをチェック
ストレスは気(体をめぐる元気のもと)の状態によってタイプが違います。
うつうつ・イライラ・ぐったりの3つのタイプのうち、あなたに当てはまる項目が多いタイプは?
   
気うつ
気がうまくめぐらず、ストレスがたまってうつうつしがちです。ぬるめのお風呂でストレッチをするなど軽い運動でリフレッシュを。ジャスミン茶やお好みのアロマでリラックスもおすすめ。
半夏厚朴湯
 
気逆
気が逆流してイライラしてしまいがちです。軽い運動でリラックスして。吐き気があるときは深呼吸で、気の流れを正常にしましょう。薄荷(ハッカ)など清涼感のあるもので心を落ち着けて。
加味逍遙散
 
気虚
気が不足して、疲れやすくなっている状態です。まずは十分な睡眠を。眠れなくても体を横にしているだけでも効果的。激しい運動は体調をくずしがちなので、散歩やヨガなどゆっくりとした運動がおすすめ。
補中益気湯
正しい処方には専門家の診断が必要です。
 
薄荷ですっきりジャスミン茶
お手軽薬膳茶でストレス対策!
薄荷(ハッカ)やジャスミンの良い香りでリラックスを。
材料(4人分)
ジャスミン茶……10g 薄荷(ハッカ)……1g※
お湯……500ml 牛乳……40ml
砂糖(好みで)……適量
作りかた
❶きゅうすにジャスミン茶と薄荷(ハッカ)を入れ、熱湯を注ぐ。
❷カップに1を注いで牛乳を加え、好みで砂糖を入れる。
 
薬剤師A: ジャスミンだけでもスッキリ感はありますが、薄荷を加えることによって清涼感が増します。薄荷の入れすぎに注意してください。また、チャイやロイヤルミルクティー風にしていただくと、違った風味を楽しむことが出来ます。
薬剤師B: ジャスミンにハッカを加えることで清涼感が増し、すっきりした味わいになります。ハッカの香りは精油成分も含まれ、リラックス作用があります。ぜひ香りも楽しんで下さい。
薬剤師
田中佳代子さん
ミキ薬局田端店
田中さん
春は肝(肝臓+自律神経・血液循環など)が弱りやすく、イライラしたり目が疲れがち。薄荷(ハッカ)やジャスミン茶は体にこもった余分な熱をおさえて、気分や目をスッキリさせます。
東洋医学豆知識
気血水は絶えず体をめぐり、体の働きを調和させているものです。東洋医学では、診断をするときに気血水がどのような状態かを考慮します。
気・血・水
今回注目の「気」は、じつはとてもなじみの深いもので、ふだん何気なく使っている「元気」「気が重い」「陽気」といった言葉のもとになっています。気がつかないうちに使っていますね。
 
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