サブカテゴリー

気がつけば抜け出せず…まじめ銀行マンはこうして転落した

自宅を出る木谷康敏容疑者
自宅を出る木谷康敏容疑者
Photo By 共同

 周囲から「まじめ」と評されていた銀行マンが裏で融資を繰り返したとされる相手は、元暴力団組員だった。16日、特別背任容疑で百十四銀行の元九条支店長木谷康敏容疑者(55)らが逮捕された不正融資事件。知人や大阪府警の話からは、盟友のような2人の親密ぶりが浮かぶ。

 2007年11月、大阪市のある経営者は資金繰りに苦しんでいた。「銀行で金は貸せないが、世話になっている会社オーナーに頼める」。取引相手の木谷容疑者から紹介されたのが指定暴力団山口組系の元組員小川哲生容疑者(40)だった。

 案内された大阪市西区のビル。社長室には冷蔵庫のような大型の金庫。小川容疑者の高級腕時計にはダイヤが光っていた。「話は聞いている」。二つ返事で約8千万円の資金提供を申し出た。

 小川容疑者の経歴がはっきりせず翌日、断ろうとしたが、最終的に資金提供を受けた。「絶対に暴力団関係者ではない。保証する」と木谷容疑者。小川容疑者は「木谷をいずれ頭取にする。応援している」と話した。2人の関係を信頼した。

 大阪府警や百十四銀によると、小川容疑者が九条支店と接触したのは07年4月ごろ。2カ月後には融資が始まり、08年1月までに10億円を超える金が小川容疑者側に流れた。決裁したのはすべて木谷容疑者だった。

 知人によると、木谷容疑者は「まじめなタイプ」。顧客からの評判も良く、融資を受けたことのある会社社長の男性には「しばらくは安い車に乗ってでも頑張るんやで」と励ましの声を掛けることもあった。

 一方、小川容疑者について「大手行では口座も開設できない人」と語るのは取引先の男性。「銀行関係者によると、別の地銀には全く取り合ってもらえなかった」と明かし、巨額の融資があったことに首をかしげる。

 小川容疑者から頻繁に飲食やゴルフの接待を受けていたという木谷容疑者。ある捜査関係者は「地銀は大手銀行と比べて暴力団関係の情報が少ない。いい思いをした後で気付いても抜け出せなかったのだろう」と推測する。百十四銀の幹部は「普通の銀行員が普通の判断をしていれば防げたはずだ」と強調した。 約9億円回収不能 百十四銀元支店長ら不正融資で3人逮捕

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2009年11月16日 09:22 ]

関連ニュース

読み込み中..

PR

関連写真

読み込み中..

注目アイテム

ニュース

クイックアクセス
スペシャルコンテンツ

このページの先頭に戻る ▲