2009年10月13日

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

スコットランドのメンバーが2軍だったのか、3軍だったのか…欧州に疎い僕にはよく分からないが、そのゲーム内容に眼を向ければ、シーズン中のこの時期であること、すでに敗退の決定したWC予選の状況、さらに極東におけるアウェー親善試合…という3つの悪条件の下で、彼らは精一杯、誠意ある戦いぶりを見せてくれたのではないかと思う。

もちろん、タイトルやWC出場権のかかる試合ではないし、球際や勝利に対する執念も、まったくの『真剣勝負』という訳にはいかない。が、事前に僕が予想していたテンションよりはずっと高く、スコットランド人の生真面目で実直な人間性が、よく現れたゲームだったのではないかと思う。

スコットランドのある意味真剣…ともいえる守備的な戦い方によって、逆に日本にとっては90分間意義あるテストゲームになった。動けもしない挙句に、日本をナメてDFラインを上げ、前がかりに出てこられるようであれば、先日の香港戦同様、まったく得るところのない試合に終わっていたかも知れない。最終ラインにはそれなりに歯ごたえがある強い選手たちが揃っていたし、安易に裏を与えない粘り強いディフェンスのポテンシャルは、豪州代表のそれと遜色ないレベルにあったように思う。

そんな中、前半から日本はボールロストを恐れずよく攻め、よくフィニッシュにまで結び付けていた。この試合の石川直宏は決して好調であったとは僕は思わないが、彼が高い位置に張り、ボール奪取と同時に質の高いフリーランニングを繰り返すことで、前線に常に有効な複数のパスコースを拵えていた。本田圭祐も低い位置ではこねずにシンプルにボールを捌き、高い位置では個人技で仕掛けるという効率的なトライができており、スコットランドの厚い守備網に対しても、充分に可能性のあるアタックができていたと思う。特に前半40分の石川直宏が深くサイドをゴールライン際までえぐり込み、中村憲剛のフィニッシュに繋げたシーンは、ゴールこそならなかったものの、ここ最近、このレベルの相手に、日本が成し得なかった攻撃のカタチであった。

もちろん良いことばかりではなく、前半はさほどプレッシャーもないボランチの位置で少しビルドアップに窮する場面もあったし、プレスの連動性といった部分では、香港戦のメンバーに比べ多少見劣りする部分も当然あったと思う。チームとしては未完成であろうし、岡田監督の指導力も行き届いていない面子なのであろう。が、しかし、どちらのサッカーが楽しいか…と問われれば、断然こちらのメンバーでやる、多少無骨だけれども常にシュートのイメージを喚起させるサッカーの方が僕は好きである。サッカーにおける0-0の状況に対する向き合い方としても、これが正解である。アタッキングサードにおいては、ボールロストへ対するこれぐらいの割り切りがあった方が、逆にディフェンスのブロックを崩さずに済むし、コストパフォーマンスの高い攻撃ができるものだ。攻撃にしろ守備にしろ、現状の岡田ジャパンが嵌り込んでしまっているある意味での『歪さ』を、逆に浮彫りにし指摘するかのような意義ある内容であったと、僕自身は思っている。

もし香港戦の日本代表と、このスコットランド戦の日本代表、それぞれがあと10試合のゲームを経験した後にどちらがより強くなっているか…と比較すれば、僕はこのスコットランド戦の日本代表の方が、香港戦のそれよりも強くなっているのではないか…と考える。これまでの岡田ジャパンにおいて、充分な出場機会を与えられてこなかった選手たちで構成されるこのチームの方に、僕はより未来への可能性を感じるのだ。

ずっとそう思ってきたからこそ、メンバーを固定するのはまだ早い…新戦力をテストすべきである…もっともっと競争させるべきである…と、懲りずに唱えてきた。そしてこれからもきっと、懲りずにこの場で唱え続けてゆくことになるだろう。この可能性をうまくチームに取り込み、融合させることができたならば、来年の6月までにチームはもう1歩前へ進むことができるのではないだろうか。

現時点でいえば長友佑都は欠かせない選手であろうと思う。またこの試合、岩政大樹と阿部勇樹は充分なパフォーマンスを見せてくれたが、やはり中澤佑二と闘莉王の二人のCBが不可欠なのも確かだろう。中盤の底には長谷部誠が必要だと思うし、どんなポジションであれ中村憲剛は欠かせない…。僕から見れば、今現在の彼は日本代表の心臓である。しかし、この5人とて、もっともっと闘わせるべきであるし、競わせるべきであると僕は思っている。8ヵ月後の保証なんてどこにもないのだ。そしてそれ以外の選手であれば尚更である。呼んだ以上は対等に競わせ、公平に評価すべきである。

前後左右のボールに瞬時に反応しようと、全身の筋肉を研ぎ澄まし、小刻みな律動を続けるPA内の森本貴幸の佇まい。後半25分、駒野の左サイドからのクロスが通ることはなかったが、誰よりも早く、そのクロスのラインを嗅ぎつけ捕えていた彼の目線がTV画面に映りこんでいた。きっと彼はストライカーとしての、無意識の集中と反復のオートマティズムをすでにその身体に叩き込んでいるのだろう。そして本田圭祐。決めたのは確かにこぼれ球ではあろうが、彼でなければあそこに居たかどうか。僕の目には、彼だからこそそのこぼれ球を嗅ぎつけ、正確に捕らえたゴールに見えたが、皆さんはどうだろうか?

僕が監督であるならば、彼ら2人をトーゴ戦に起用するだろう。
本田圭祐と森本貴幸の2トップである。この岡田ジャパンに残りの8カ月で、何か大きな変化を齎すものがあるとしたならば、僕はこの2人と右サイドを縦に切り込む石川直宏の存在をおいて他にはない…と、思っている。明日の岡田監督のその選択を注視したい。


思い出の曲No.16 Pianoman~Billy Joel 

posted by キリタニ |11:27 | 岡田JAPAN | コメント(17) | トラックバック(0)
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posted by キリタニ | 2009-10-13 11:42

Re:【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

どこかの有名な人も言ったからかも知れませんが、
香港〜トーゴの3試合で判断したい
なんて人が増えたようで。
長い目で見るための一歩かな、と。
とりあえず、些細な事で、森本や本田君が
スケープゴートになる日が来ない事を願うのみです。
トーゴ戦は落ち着いて観られそうなので、
また庭に芝刈りに来ます。
種蒔きかな…?

posted by 迷鳥。 | 2009-10-13 12:16

迷鳥。氏へ

なんか最近のスポナビコメント欄は岡田監督への優しい“追い風”が吹いてるみたいで、この変化は見ていて実に興味深いものがあるな。いよいよ、サムライブルーもワールドカップモードに突入したかな。

ここに芝刈りにきてくれるのはありがたいが、海の向こうでの種まきにはよくよく注意して臨むように…^^;

ばったりアンリに会ったら、ヨロシク言っておいてくれ^^

posted by キリタニ | 2009-10-13 12:32

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

キリタニさん、こんにちは。

今回、右SBに徳永が入りました。長らく内田・長友(リザーブ駒野)で固定されていた感のあるSBにです。FC東京での彼のポテンシャルを出し切れた訳ではないですが、少なからず岡ちゃんにアピール出来たんじゃないでしょうか。

内田・長友・駒野の3名はジーコ時代のアレックスのようなフラストレーションを感じることはありませんが、どうしてもアジア予選突破用の布陣という気がします。ディフェンシブに戦わざるを得ないであろう本戦においては、彼ら3人ではフィジカルと高さに不安を感じます。

個人的には徳永・市川(清水)・新井場(鹿島)の3名を推したいですね。

posted by hpp126 | 2009-10-13 12:38

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

当然連携のクオリティーは低かったけど、後半は久しぶりに日本代表の試合にワクワクして、サッカーを楽しめました。代表の試合では、こんな感じ久しぶりかもしれない。

posted by taichilow | 2009-10-13 13:39

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

こんばんわ
ドルトムントのスカウトが来てたのと報道
長友内田をチェックしに来たらしいのですが
メンバー表に要チェックの印が付いてたのは阿部らしいです

posted by りょう | 2009-10-13 14:33

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

中央を固めれば何もできない面子だからなレギュラー組は。
パスだけで崩す。
それは理想でしか無いと思う。
パス&ムーブ・・・・
湯浅はよく言ったものだと思う。
フィジカルが弱くスペースに足元で貰わなければパスもまともに繋げないのをごまかしてるだけだろう。
結果、パス回しだけで体力を消費する糞サッカーになってる。
スペースが無ければ何もできないから横パスやバックパスが増える。
中央は堅いからFWはサイドに開いて貰うしか無い。
そしてその位置で貰っても日本のFWは崩せない。
シュートは打てても角度が無いからキーパーに止められる可能性が高い。DFを背負っているからシュートの威力も低い。
ポゼッション確保してからようやく攻め始めるからゴール前にスペースも無い(ミドルも撃ちにくい。打っても距離があるし、中央固めてるからまず入らない)。
60分しかスタミナがもたないのはプレスだけが原因じゃない。
待ってれば勝手にミスしてくれるし、疲れてくれる。
緩やかに自滅していくサッカーを見て何が楽しいんだか。
形は奇麗だけど勝てないサッカーですよね。

posted by メントス | 2009-10-13 15:01

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

あのメンバーでは 稲本はケアに回るしかなかったと
思います 橋本もイナの良いと出せなかったとコメントしていました 岡田さんの稲本10分まえに替えたけど イナでなくてもいいのだがお感じました
試合が終わったらイナと岡ちゃん握手求めたけど
ガーナ戦の借りは返したと言う感じでした
キリンカップの表彰もイナに出てもらいたかったと思います キャプテンなんだから!!
と言うわけではないけれど 岡ちゃんに イナの良いところ出せるポジションもらえなかった処です
トーゴ戦 イナ出せよ!!
と大声で叫びたい!!

posted by inaマニア | 2009-10-13 16:25

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

>多少無骨だけれども常にシュートのイメージを喚起させるサッカーの方が僕は好きである。

私も同意見ですね。サッカーはボールを回すスポーツではありません。
格上相手に、ゴールに直結するプレーが少ない香港戦の先発組(事実上の2010年W杯のスタメン)は、まずボールを落ち着かせるとか、タメを作るとか、走り回って守備するとか……。

もう聞き飽きましたよ。そんなことは。
もちろんチームですから約束事は大事ですが、彼らがなぜそんなことを言うのかっていうと、攻撃だけでなく守備も両方で、結局、最後の1対1の勝負に自身がないんですよね。

じゃあ、他の少しでも自身のある選手を試して見るべきでは?と。今の日本選手で絶対的に頭1つ抜け出てる選手って果たして誰かいるのだろうか?私には団栗の背比べにしか見えないが…。
結局は組み合わせ次第だと思うのです。化学変化を起こすしかない。そして今がそれを試す最高のチャンスなのですが…。

ボールは取られてから、走り回ることは考えればいいんですよ。持ってるときから取られたらどうしようとか考えてるから、セーフティな横やバックパスしか出来なくなる。リスクを犯したパス、ドリブル、シュートを最後の最後で躊躇うシーンを何度見たことか。

そんな、弱気のパスしか出来なくなるような約束事ならいらない。

例えば、今の石川や本田は最終的に1対1で勝負して勝つイメージを持ってプレーしてます。勿論、失敗もしますが、失敗したことを叩くのは簡単なこと。
「今の失敗には、どういう意図があったのかを汲み取る作業」って日本人はしないんですよね。これを考えることが一番大切なのですが…。

あと、何もやらなければ何も始まらないことを、日本代表を応援してる方々は知っているのでしょうか?
出来るかどうかよりも、まずそれをやることを放棄してボールを回すこが第一の選択肢なら、相手のDFは果たしてそんなチームの攻撃が恐いのでしょうか?
ちなみに、この問題の答えは、有難い事にオランダ戦で相手DFが答えてくれてますが。だれもあの発言を聞いてなかったのかな。あんな屈辱的なこと言われて、何クソと思わない御人好しがいたとすれば、石川や本田やその他の選手に席を譲って欲しいです。

日本人が一番勘違いしてはいけないことは、まず日本にはシャビやイニエスタ、セスク等、そのレベルのMFがいないということ。
バルサとかスペインとか言うのは結構ですが、現実は本当のW杯で一勝もしてないレベルの国なのです。欧州で絶対的に信頼されて起用されるレギュラー選手もほとんどいないのに。バルサとか何とか、W杯の出場国から笑われますよ。

本当に私達日本人は勘違いしてはいけない。いい加減目を覚まして、厳しい目で現実を見た方がいい。オランダやガーナが本気を出したら、アレだけじゃ済まないですよ。このままでは、ドイツから何も変わらない結果で南アも終えそうですね。

私も、どうせ見るなら、多少無骨だけれども常にシュートのイメージを喚起させるサッカーの方が好きですね。

posted by キリタニさんへ | 2009-10-13 17:12

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

スコットランド戦、日産スタジアムに参戦し、JFAにお布施してきました。
前回、岡田ジャパンのサブ主体のチームはレギュラーチームよりダメだろうって、コメントしましたが、キリタニさんのおっしゃるとおり、プレスのあまりかからないレギュラーチームとは別のサッカーでしたが、可能性を感じるゲームでしたね。守備力はレギュラーチームのほうが上。攻撃力はサブが上というかんじでしょうか。(でもプレスかからなくなるとレギュラーチームの守備力も怪しいですけどね。香港戦での長谷部が上がり俊輔と遠藤のダブルボランチ状態なら守備力も下?)

ただ、スタメンの配置をみて、なんで、憲剛2列目真ん中に置かないのという疑問が。 あのメンツなら憲剛真ん中、左石川、右本田でしょうと。
雨天再試合のおかげで香港戦にとられずに唯一スコット戦に残った岡田ジャパンのある意味キーマンだと思っている憲剛。
チリ戦、憲剛縦パス、岡崎ポスト、本田ミドル、岡崎で得点しましたよね。
ウズベキスタン戦、岡崎への決勝点のパス通しましたよね。
普段ベンチのボランチ2人も代表合宿で、真ん中の憲剛の動き、真ん中憲剛での岡田ジャパンの試合展開、見ていますよね、それをやったことも見たこともない石川や本田を真ん中に置かれても、かわいそうすぎます。
前田も後半の森本に憲剛が通した縦パス、ああいうのをもらえたかもしれないのに、かわいそうに。
本田も得点とるのがオレの仕事っていってるのに、ボランチと前線のつなぎ役なんかやらされて。右サイドにいたらもっとミドルも狙えたかもしれないのに。
石川だって憲剛からのパスをもっともらえていたら。
憲剛が真ん中なら、もう少しプレスもかかったのでは?
憲剛自身、あのメンツで真ん中に自分をおかない岡田監督の戦術をどうおもったのでしょうか?

なにも全シャフルに近いこの試合で、石川や本田の真ん中をテストしなくても・・・・・。
憲剛システムってなんだったの? クラブでも結果を出してる非凡な憲剛のパス出しセンス、岡田監督のメガネ越しにはどう見えているの? 阿部、今野みたいに、ボランチも出来る、トップ下も出来る、左サイドも出来る、セカンドストライカーも出来る、便利屋としての評価が高いの?。
それとも・・・岡田監督は全部承知の上で、意図的に憲剛を真ん中に置かなかったんじゃないかと勘ぐりたくなります。あーやだやだ。

試合自体は面白かったし、従来の岡田ジャパンの中盤が厚く前線がスカスカの(パスだけじゃサッカーにならない)限界がわかった試合でしたが、憲剛の後半途中までのポジションに関してはどうも腑に落ちないですね。

チリが南米予選突破しましたね。一回勝ったぐらいで当然日本のほうが弱いとは思いますが、でも一発勝負のW杯では、天皇杯で番狂わせがあるように日本にも可能性は0じゃないですよね。岡田監督には期待せずに期待することにします?(笑)。とりあえず、トーゴ戦のスタメンがどうなるかですね。
またまた、長文失礼しました。

posted by パン | 2009-10-13 17:30

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

この試合の前半、攻撃の核になっていたのは石川だったように思います。ただ、前から感じていたのは石川は自分が中心になった時が一番輝く、ということです。つまり、いつもの代表の面子の中に飛び込んだとき、ひとつのピースとして輝けるかどうか、という疑問があります。これは、彼だけの問題ではなく、選手交代したとき、戦術をどうシフトさせるか(あるいはシフトさせないか?)、というチーム内の意識だと思います。
石川にかぎらず、他の選手に関しても、この点はよくよく考えて使ってほしいです。前田をうまく使えば(あるいは前田がうまくつかわれれば)、この試合はもっとボールが回ったのでは?と思います。



posted by PO | 2009-10-13 19:47

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

観てる我々がワクワク感を持てるということは
対戦相手に怖さを与えるということの裏返しなのだ

ということをスコットランド戦を観て感じました。

posted by NMS | 2009-10-13 19:54

春にこういうテストを観たかった。

ふむふむ。やっぱり腹に持つ不満が似ているから、スットコ戦での雑感も似ていますね。^^
スットコ戦はメンバー総入れ替えのお陰で、控え組の新しい可能性が垣間見えたので、かえって良かったです。
コンビネーションや距離感がつかめずにバタバタしたのは急造チームの御愛敬でしたが、興味深かったのは遠藤・俊輔ラインを抜いた中盤での球持ちの無いスタイルであった事ですね。
想えば、岡田さんも俊輔合流前に、遠藤を故意に外して、長谷部や松井中心の前へ前へと突っかけるスプリントサッカーを目指した時期がありましたが、あの酷いサッカーよりは今回の方がずっと大人のサッカーだったし、可能性を感じるものでした。

岡田さんの指示でしたが、石川がサイドで本田がトップ下、に変わってからは少しずつ溜めを作る場所をチームとして見つけていたし、さらに、2トップ&憲剛をボランチ、に代えてからは得点を狙える姿勢がチームとして出ていましたね。
相手云々でなく、中盤の球持ち依存を取り払ったサッカーでも、①最低限の溜めを作る術はあるという事と、②点が欲しい時に取るべき方法はあるという事、が見て取れたのがスットコ戦のチームとしてのポイントだったように想います。

おそらく今回のスットコ戦のようなホームで格下相手というアドバンテージを持ったゲームでは、遠藤・俊輔ラインでの中盤の球持ちは絶大なる旨味をもたらした筈ですが、今後の世界との戦いでそんな状況がどの程度あるのでしょうか?

個人に目を向けると、最終ラインやマーカーとの駆け引き・ポジショニング・パワー・スピード・フィジカルにおいて、森本や本田には厳しい闘いの中での一瞬のカウンターで得点を生みだす可能性を感じます。また、あの2002年のトルコ戦のように無手に陥った時に、例え空回りが多くても何かを起こす力を石川には感じたし、岩政も1対1ではほとんど負けてなかったですね。
また、今回は本領を発揮できていなかった稲本ですが、彼の強いフィジカルを基軸としたシンプルなプレーと現レギュラーには無いロングパスのリズムは世界と戦えるオプションになる筈だし、今野には専守防衛に追い込まれた時に必要なストイックさとユーティリティが感じられました。

やっぱり最終的には岡田さんのビジョンの問題で、彼が何を想像して、何を拾っていくかになるのでしょうが、目指すものに対しての切り口やプロセスがズレていない事を祈るばかりです。

もし叶うなら、僕はトーゴ戦でこんなテストパターンが見てみたい。

・・・・・・・・・・森本・・・・・・・・・・=^0^⇒・・・・・・岡崎・・・・森本・・・・・・
・・石川・・・・本田・・・・俊輔・・=^0^⇒・・憲剛・・・・・・・・・・・・本田・・
・・・・・・今野・・・・長谷部・・・・=^0^⇒・・・・・・稲本・・・・長谷部・・・・
・長友・闘莉王・岩政・・徳永・=^0^⇒・長友・闘莉王・岩政・・徳永・
・・・・・・・・・・川島・・・・・・・・・・=^0^⇒・・・・・・・・・・川島・・・・・・・・・・
45分(石川OUT→岡崎IN)
60分(俊輔・今野OUT→憲剛・稲本IN)

桐さんは・・・?

posted by プーアール | 2009-10-13 20:54

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

>パンさん

たぶん、石川をシャドー気味のFWとしてイメージしてたんじゃないですかね?4-2-2-2なら憲剛は左でしょうから、4-2-3-1ではなく4-2-2-1-1だったんでしょう。そういうの、岡ちゃんはこれまでもやってますし。

とはいえ、憲剛は真ん中でみたかったかな、というのは同感。

posted by 所為所見 | 2009-10-13 20:56

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

賛同します。

主力組を岡田先生のサッカーを素直に実践できるエリート組、SCO組を言うことをあまり聞かない荒削りな組?などに例えると、行き過ぎですが、ふと、学園物のドラマを思い描いています。

主力組は、先生の言うことを聞いて、先生に気に入ってもらえるように、一生懸命がんばるあまり、サッカーそのものの本質や楽しさを見失ってしまう。言われたとおりに懸命にボールを回すあまり、いい形を求め過ぎ、シュートにも消極的になり、サッカー楽しさ、ゴールを忘れてしまったようになっていた。

そこにSCO組が、先生の言うことに耳を傾けるけど、素直になれず、「余計なことをごちゃごちゃ言わず、サッカーは、目の前にいる敵と戦うことだ!」と、いわんばかりに、自分を突っ張らせ、荒削りだけど、生き生きしたサッカーでゴールを決めてしまう。

そんなサッカーを見せられた先生は、一瞬、描いた絵図と違う様に自分をごまかしながらも、サッカーの楽しさを取り戻し、次のTG戦では、思いもよらないスタメンで望むのでした…、と、なれば良いのですが..。

岡田先生!海外からベストメンバーが来てもらえないので、一度、主力組 対 SCO組の試合を見たいのですが..だめですか?

posted by くだらない学園ものですが | 2009-10-13 21:38

【親善試合】 対スコットランド 戦評 【キリタニ】

こんばんは。
スコットランド戦評同意します。
見てて面白かったですよ。
久し振りに。
トーゴ戦の先発はこんなメンツならわくわく出来ます。

     森本
        本田
   松井   石川
     中村憲剛
     長谷部
 長友        徳永
    闘莉王 岩政
      西川

posted by ロベルト・ジーコ・ロッシ | 2009-10-13 21:41

皆さんへ

僕は現代サッカーのひとつの宿命として、最後の最後に均衡を打ち破るためには、やはりどこかで『一対一』の勝負が必要なのだと思っています。

これは相手のレベルが高ければ高いほど避けられない現実であり、その『一対一』の局面を、如何にして…どこに…作り出し、その局面をどれだけ制するかが勝負の分かれ目になるものと思っています。

オシムさんはACにおいて、このチームにポゼッションの基盤を見事に作り出しましたが、あれは代表のサッカーの質を1ランク上げる為には必要なトライであったと思うし、あの大会の、日々35度を越すような猛暑の中での連戦であれば、当然の選択であったと僕は思います。

そしてその後のサッカーを見れば、オシムさんも明らかに局面における『一対一』を意識した選手選考とスタイルを採用していた。当時の大久保や松井の抜擢、そして速さを意識しはじめた攻撃の流れは、対世界への変革を感じさせるものだった。世界と戦う上で、オシムさんの意識の中にも『攻撃のスピードと局面での一対一』というテーマがあったのだろうと僕は考えます。

今の岡田ジャパンに、僕はその『一対一』へ対する覚悟…のようなものを感じない。本当に強い相手との『本気の』ゲームを経験していないのもその要因のひとつであると思うが、WC本選で、パスだけで相手を崩せるのではないかという幻想すら抱いている気がするのです。しかも遅攻でもなんとかなる…と。

僕はこれはキケンなことだと思っています。僕らはバルサでもなければ、ブラジルでもない。おそらくはWC参加国の中でも一番格下である、アジアの3番目、4番目、程度の国なのです。実際ボールを持たせてもらえるかどうかさえ、僕は怪しいと思っている。ましてやそれを、手数をかけてゆっくり攻め崩すなんてことはまず不可能であると思う。うまく耐えてゲームを壊さずに、少ないチャンスをカウンターでモノにする…。そんな現実的なスタイルであり、人選を用意すべきである…僕はいまもってそう考えています。

で、そのために必要なシステムであり、スタイルであり、選手とはどんなものなのか…いずれこの大会が終わったらもう一度だけその部分について語ってみたいと思います。

とりあえず僕の希望するトーゴ戦のメンバーを下記に書き込んでおきます。プーアールさんの作図を拝借しますネ。

・・・・・・・・・・森本・・・・・・・・・・=^0^⇒
・・・・・・・本田・・・・・・石川・・・=^0^⇒
・・↑・憲剛・阿部・長谷部・・・・=^0^⇒
・・長友・・岩下・岩政・・徳永・=^0^⇒
・・・・・・・・・・川島・・・・・・・・・・=^0^⇒

45分/憲剛⇒遠藤
45分/石川⇒中村俊
・・・・・・・・・・・・・・・・
60分/森本⇒前田
70分/本田⇒松井
75分/阿部⇒稲本
75分/長谷部⇒佐藤寿(2トップへ)

4-3-2-1から4-2-2-2へ。前後半で新旧の主軸のパフォーマンスを比較しながら、適度な融合にもトライしてみたい。中村俊輔にはあえて下がらず前で仕掛けることを要求。そこで期待したほどの活躍ができなければ、今後はボランチの位置へ降りてもらい、遠藤・憲剛とのポジション
争いへ…。

ではトーゴ戦、楽しみに見守りたいと思います。

posted by キリタニ | 2009-10-14 00:25

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