| 糸井 |
絶望のとき、近くにどなたがいましたか？
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| 有吉 |
いえ、
ほんとうにひとりでした。
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| 糸井 |
親は？
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| 有吉 |
ぼくは親とも
つきあいの薄い面がありまして‥‥
ですから、ほんとうに、
交流というものがない時期がありました。
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| 糸井 |
女の子をたぶらかしたりすることも？
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| 有吉 |
はい、なんだか、できないです。
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| 糸井 |
猿岩石の威光で、ということも
なかったですか？
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| 有吉 |
なかったです。
そういうことも、ぼくは
何だか恥ずかしいんですよ。
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| 糸井 |
いちばんできるタイミングで
そこも避けちゃった。
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| 有吉 |
はい。
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| 糸井 |
つまり、有吉さんはこれまで
たわわに実った葡萄を食べたことがない‥‥
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| 有吉 |
はい。ぜんぜんないです。
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| 糸井 |
猿岩石で貯まったお金は
ムダ使いしちゃったんですか？
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| 有吉 |
ぼくは、お金に対してもそうで、
まず物欲がないから、物を買わないんです。
猿岩石時代のお金は、
ただただ税金で持って行かれて‥‥
残りは、苦しい時期に
すべて食いつぶしました。
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| 糸井 |
生活費になったんですか？
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| 有吉 |
はい。
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| 糸井 |
おもしろいですねぇ。
身も蓋もない（笑）。
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| 有吉 |
そうなんです（笑）。
猿岩石のときに、少しでも
後輩に恩を売っとけばよかった、と
思いました。
だけど、それもしなかったし。
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| 糸井 |
じゃあ、苦しい時代のほとんどは
「オレが受け入れられてない」
ということについて、
考えていた時間だったんでしょうね。
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| 有吉 |
はい。ほんとうに、
誰か、誰か、誰か‥‥
誰かに届いてほしいって、
ずっと思っていました。
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| 糸井 |
でも、猿岩石って、
猿岩石が売れたんじゃなくて、
あの「電波少年」の方法が売れたわけでしょ？
あそこにはまった人は
ああいう運命になるはずだ、
という番組だったわけですよね。
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| 有吉 |
なっちゃいましたねぇ、
ホントに。
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| 糸井 |
だから、お客さんとしても、
「あいつ、元のあれをやればいいのにな」
ということを思えないですよね。
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| 有吉 |
そのとおりです（笑）。
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| 糸井 |
ああいう状況に落とされたことは、
誰だってないんだけど、
あのとき、何が
有吉さんを保たせたんでしょう？
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| 有吉 |
あのときは、若手で
何も知らなかったので、
「これをやめちゃうと、ぼくらは必ず
テレビ界から干される」
と思っていました。
「ギブアップ＝芸能界終わり」です。
だから、ほんとうに
ギブアップできませんでした。 |
| 糸井 |
いつも舞台に立ってるような
気持ちだったんですか。
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| 有吉 |
はい。
ずっとそうでした。
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| 糸井 |
何日間だっけ？
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| 有吉 |
190日。
（註：ユーラシア大陸横断
ヒッチハイクの企画でした）
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| 糸井 |
だけど、その後の苦労を考えると、
その190日って、短かったですよね。
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| 有吉 |
はははは、短いですねぇ。
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| 糸井 |
ねぇ（笑）。
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| 有吉 |
なんでもなかったです。
ぼくは、巨人師匠（オール阪神・巨人）の
弟子をやってた時期が
半年間あるんですが。
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| 糸井 |
ほぅ。
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| 有吉 |
巨人師匠の弟子が
いちばんつらかったですし（笑）、
ここ何年かのできごとも、
ヒッチハイクより、よっぽどつらかった。
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| 糸井 |
でも、売れなかった時期が
財産になったと
思えるようにはなったでしょう。
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| 有吉 |
はい。
ちょっとは思っています。
いろいろネタにもできますし‥‥。
だけど、いまみたいに
ちょっと仕事が増えている状況だと、
第一声で誰かに
「いまは忙しいもんね」
と言われて、
ネタにできるはずのものが
弱まっちゃうんですよ。
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| 糸井 |
なるほどなぁ。
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| 有吉 |
幸せなにおいが出ちゃうんです。
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| 糸井 |
（笑）
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| 有吉 |
だから、もう一回、
仕事なくなるしかないんだな、
とは思ってる（笑）。
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| 糸井 |
うわははは、それについて
あとで話し合いましょう（笑）。
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| 有吉 |
（笑）お願いします。
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| 糸井 |
たぶん、有吉さんは
本気でそれを思ってますよね。
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| 有吉 |
はい。
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| 糸井 |
だけども、
そうじゃない方法を探さないと
やっぱりダメなんです。
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| 有吉 |
はい、そうです。 |
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（続きます） |