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訃報:作家、庄野潤三さん死去 88歳

作家の庄野潤三さん=2004年4月
作家の庄野潤三さん=2004年4月

 「静物」や「夕べの雲」など日常生活を静かな筆致で描き、「第三の新人」を代表する一人として活躍した作家、庄野潤三(しょうの・じゅんぞう)さんが21日、老衰のため死去した。88歳。葬儀は28日午後1時、川崎市多摩区南生田8の1の1の信行寺春秋苑。自宅は多摩区三田5の9088。喪主は妻千寿子(ちずこ)さん。

 大阪市生まれ。九州帝大東洋史学科卒業後、海軍予備学生として出征。復員後、島尾敏雄らと同人誌を創刊した。中高教師、朝日放送勤務などのかたわら「舞踏」「恋文」などを発表。1955年、平凡な暮らしにひそむ危機をとらえた「プールサイド小景」で芥川賞受賞。詩情豊かに生活の細部を描いて、安岡章太郎氏や吉行淳之介、遠藤周作らとともに「第三の新人」と呼ばれた。

 夫婦の亀裂を描いた「静物」(60年、新潮社文学賞)は戦後文学の名作に数えられる。その後も「夕べの雲」(65年、読売文学賞)、「絵合せ」(71年、野間文芸賞)、「明夫と良二」(72年、毎日出版文化賞)など人生の機微を追求する家庭小説を書いた。一方で「浮き燈台(とうだい)」「流れ藻」など見聞に基づいてストーリーを構成した作品も好評に迎えられた。

 「ガンビア滞在記」(59年)、ロンドン紀行「陽気なクラウン・オフィス・ロウ」(84年)、脳内出血後の記録「世をへだてて」など、随想にも秀作が多い。90年代後半からは自身の日常生活を題材に「貝がらと海の音」「庭のつるばら」などを主要文芸誌に書き継ぎ、健在ぶりを示した。それは06年3月刊行の「星に願いを」に至っている。「庄野潤三全集」(全10巻・講談社)がある。

 父貞一さんは帝塚山学院を創設した教育者。児童文学作家の庄野英二さんは実兄。78年に日本芸術院会員になった。

 ▽作家、阿川弘之さんの話 従来の私小説とは微妙に異なる、清純な家庭小説を多く書いた。子や孫を大事にする作風が心に残っている。やるべき仕事をやり終えた一生だったと思う。

 ▽女優、大浦みずきさんの話 亡父(作家、阪田寛夫)とのご縁から公演を熱心にご覧くださり、もう一人の父親が見守ってくれているようで、心強く思っておりました。いつも優しく厳しい目で見てくださり、幸せでした。本名(なつめ)も芸名も付けていただき、名前に恥じないよう、一生懸命生きていこうと思います。心よりご冥福をお祈りします。

毎日新聞 2009年9月22日 15時29分(最終更新 9月23日 0時48分)

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