【コラム】「ウ飼い経済」の亡霊(下)

 結果はどうだろうか。韓国経済はウ(首にひもを付けられた水鳥)と同じだ。首にひも(部品素材産業)が結ばれているため、魚(完成品)を飲み込んでも、すぐに主人(日本など技術先進国)にささげるという構造だ。

 日本の経済評論家・小室直樹氏が1989年に批判した「ウ飼い経済」の亡霊が、20年過ぎた今でも、韓国の産業界を締め付けている。

 実際に、韓国は昨年だけでも過去最大の327億ドル(約2兆9400億円)の対日貿易赤字を計上したが、このうち部品素材分野の赤字は209億ドル(約1兆8800億円)に達した。2001年(103億ドル=約9260億円)に比べ、7年で倍増したかたちだ。輸出すればするほど部品素材の輸入が増え、本当の果実は日本に手渡している構造が、一層深刻になっているわけだ。

 こうした欠陥を招いた根本的な原因は、基礎科学・源泉技術に対する国民的関心と投資、そして熱意が不十分なことにありそうだ。1901年にノーベル賞が創設されて以降、これまで韓国人科学者が一人も受賞できていないという事実が、それを示唆している。

 ほかの国のノーベル賞受賞をただうらやましがり、金になる中核心技術・部品は外国に依存するというちぐはぐした状態が続けば、韓国の産業界はうわべだけピカピカした「メッキ加工品先進国」の域を出ることができない。

 部品素材分野は、生産・雇用が製造業全体の40%以上を占める大韓民国の産業の「草の根」でもある。外貨獲得や雇用創出、産業構造の先進化という3兎(と)を得るためには、数十年にわたり放置された「ウ飼い経済」に終止符を打つことに全力を傾けるべきだ。

宋義達(ソン・ウィダル)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る