「+1」インタビュー
ヨーロッパでカルチャー系マガジンとして人気の高い「+1」の特別インタビューを受けました。

コンピューター会社の広告みたいですね。笑

2005年度の技術革新や科学部門でアメリカ名誉勲章を取ったこと、科学はどうやって進歩していくか、それに伴いこれからの世界はどんな未来をむかえるか、など幅広いテーマで話をしました。そして、インタビューの最後の質問はこれ。「トルコがEUに加盟することをどう思っているか?」とても大切な問題です。なぜなら、実は、トルコがEUに加盟できないということはヨーロッパ宇宙開発事業団(ESA)に入れない、ということを意味しているからです。僕は、ESAとは今年は特別契約を結んでいますが、もし近年中にトルコがEUに加盟しない場合は、ESAにも入れない=トルコから宇宙飛行士が飛び立つこと自体、難しくなるのです。EU加盟は、2008年の予定でしたが、現在は2014年になるかもしれないといわれています。そして、トルコ人初の宇宙飛行士候補として、僕は意見を求められたわけです。

みなさん、アタチュルク(トルコの父。トルコ共和国の建国者であるムスタファ・ケマル・パシャに与えられた名前)が我々国民に伝えたメッセージを思い出すことがありますか?

「私たちは、これから平和な世界を築くことに全力を尽くそう。そのための道を開く唯一の方法は、人間がお互いを尊敬し大切にしながら、科学を進歩させていくことである。それが唯一の私の願いである。」アタチュルクが遺した非常に大切なメッセージです。

EUに加盟することが、彼の願った平和な世界へとつながるならば、そこに向かうためのひとつのステップであるならば、それにはなんとしても成すべき意味があるでしょう。僕はそう答えました。

「でも、そうしたら、セルカンさんは宇宙に行けないかもしれないですよ。」

「それが?笑 僕は宇宙飛行士候補になれてよかったと思っていますよ。そこには新しいたくさんの出会いと経験があります。じゃあ、その出会いや経験は宇宙へ行かないと全て無駄になりますか?自分に起きている出来事に意味のないことはありません。僕は、みんなにそう知ってもらいたい。そして、自分を信じて、夢を持って生きていってほしい。別天地を求めて宇宙へ飛び立たなくても、新らしい宇宙(世界)は、僕らの手で作ることができるんじゃないかな?」

それは、お互いを尊敬し、大切にし合う、平和な世界。

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