軍事評論家。岡崎研究所特別研究員。「チャンネル桜」コメンテータ。平河総研・専務理事
天皇を戴く商人国家・・・CommentsAdd Star
2009年11月14日12時50分 / 提供:軍事評論家=佐藤守のブログ日記
平成天皇ご即位20年行事も滞りなく終わった。午後6時半から二重橋にお姿を見せられた両陛下は、奉祝演奏などをお聴きになったあと「本当に楽しいひと時でした。どうもありがとう」と答えられたが、その前に「少し冷え込み、皆さんには、寒くはなかったでしょうか」と気遣われた。ご自身も冷え込んだ中にお立ちになっておられたのだが。
陛下のお言葉には実に深い意味が含まれているように思う。
とりわけ「先の戦争が終わって64年がたち、、昨今は国民の4人に3人が戦後生まれの人となりました。この戦争においては、310万人の日本人の命が失われ、また外国人の命も多く失われました。その後の日本の復興は、戦後を支えた人々の計り知れぬ苦労により成し遂げられたものです。今日の日本がこのような大きな犠牲の上に築かれたことを忘れることなく、これを戦後生まれの人々に正しく伝えていくことが、これからの国の歩みにとり、大切ではないかと考えます」というお言葉を、「風化させぬように反戦を唱えること」であるかのような受け止め方をしたテレビキャスターがいたが、私は戦没者に対する哀悼と慰霊、つまり靖国にご親拝できない現状に対する素直なお気持ちのように受け止めた。サイパン島や硫黄島などの戦跡でご親拝される両陛下のお姿に二重写しに見えたからである。
閣僚の一部には陛下の御前で居眠りしていた“奴”がいた!と怒りを伝えてきた友人もいたが、私は見ていないから知らない。そんな輩には「今日、わが国はさまざまな課題に直面しています。このような中で、人々が互に絆を大切にし、叡智を結集し、相携えて努力することにより、忍耐強く困難を克服していけるよう切に願っています」というお言葉も耳に入らなかったに違いない。そこには超えられない「無私」という高潔な精神と、救い難い「利己」という下賎な思惑の壁が立ちはだかっているからである。
さて、12日には「中国・アジア域の成長発展と日本の役割」と題する後輩の話を聴いてきた。経済研究に携わる優秀な後輩だが、軍事的観点から物を見る癖がついている私には、中国政府が発表するデーターを中心にその経済発展を分析することに些か疑問を感じたから、「中国の軍事費増大が、その経済成長に及ぼす影響」についてご意見を質した。
中国は2桁の軍事費増を継続した結果、いまや世界第2の軍事費大国に成長、海空軍の近代化初め、宇宙への進出、サイバーテロ、電磁波研究等、国を上げて先端軍事技術の取得に取り組んでいる。
その中国などアジア諸国が日本に期待しているのは、「投資、技術、育成、知恵、経験、運用」などの「伝授」というから、お人よしがふんだくられている構図であろう。事実、中国に「証券取引」などの共同研究等、手助けをしても「ほとんど資金回収は出来ていない」というのだから何をかいわんやである。
「軍事は全く分かりませんので・・・」と後輩は遠慮して回答しなかったが・・・。中国滞在経験が長い方が、現場の体験談を披露して中国との取引に関して注意を喚起していたが、まさに『天皇を戴く商人国家』の趣であった。
さて、戦略なき「投資」を続けていたら、次の地図のような世界になるのでは?
ところで研究会の前にチャンネル桜に立ち寄って、拙著を5冊プレゼントするための「抽選」とサインをした。3日に放映されて締め切りが10日という短期間であったが、葉書、FAX、メールなど全国各地から27通の応募があった。担当者がすべて同一のA-4用紙に整理し、裏返しにして十分シャッフルした中から5枚を公平に選んだのだが、すべて男性だった!女性は8名いたのだが・・・。「やり直そうか?」といったら女性の担当者から、「ダメです。抽選だからしかたありません!」と怒られた。しかもこれまた不思議なことに東京在住の方はいなかった。東京都内では購入できるが、地方は困難だから?だろうか。当選者のお名前は16日収録の「防人の道」で発表される。
拙著のタイトルが「鮮烈」なので、「笑ってしまった」とか、「腰が抜けた」とか、はたまた「信じられない」「日本人とは・・・読む気がしない」など率直な意見が寄せられている。
あまりにも資料が錯綜したので、私の実力ではこの程度に纏めるのが精一杯、是非ご一読後にご意見を伺いたいものである。ついでだが、昨日の産経3面に、次のような関連記事が出ていて驚いたから、御紹介しておこう。
「50 年前に、帰還事業で北朝鮮へ渡った往年の名テノール歌手、永田絃次郎(金永吉)」氏の色紙や写真が新潟で見つかったというのである。「日本時代の永田さんは、オペラや戦時歌謡のスター歌手として活躍。『祖国建設』の希望に燃えて妻子と共に帰還事業に参加した」が、その後消息不明になっている。(拙著333 ページに詳説)
事実は小説より奇なり!である。
・記事をブログで読む
陛下のお言葉には実に深い意味が含まれているように思う。
とりわけ「先の戦争が終わって64年がたち、、昨今は国民の4人に3人が戦後生まれの人となりました。この戦争においては、310万人の日本人の命が失われ、また外国人の命も多く失われました。その後の日本の復興は、戦後を支えた人々の計り知れぬ苦労により成し遂げられたものです。今日の日本がこのような大きな犠牲の上に築かれたことを忘れることなく、これを戦後生まれの人々に正しく伝えていくことが、これからの国の歩みにとり、大切ではないかと考えます」というお言葉を、「風化させぬように反戦を唱えること」であるかのような受け止め方をしたテレビキャスターがいたが、私は戦没者に対する哀悼と慰霊、つまり靖国にご親拝できない現状に対する素直なお気持ちのように受け止めた。サイパン島や硫黄島などの戦跡でご親拝される両陛下のお姿に二重写しに見えたからである。
閣僚の一部には陛下の御前で居眠りしていた“奴”がいた!と怒りを伝えてきた友人もいたが、私は見ていないから知らない。そんな輩には「今日、わが国はさまざまな課題に直面しています。このような中で、人々が互に絆を大切にし、叡智を結集し、相携えて努力することにより、忍耐強く困難を克服していけるよう切に願っています」というお言葉も耳に入らなかったに違いない。そこには超えられない「無私」という高潔な精神と、救い難い「利己」という下賎な思惑の壁が立ちはだかっているからである。
さて、12日には「中国・アジア域の成長発展と日本の役割」と題する後輩の話を聴いてきた。経済研究に携わる優秀な後輩だが、軍事的観点から物を見る癖がついている私には、中国政府が発表するデーターを中心にその経済発展を分析することに些か疑問を感じたから、「中国の軍事費増大が、その経済成長に及ぼす影響」についてご意見を質した。
中国は2桁の軍事費増を継続した結果、いまや世界第2の軍事費大国に成長、海空軍の近代化初め、宇宙への進出、サイバーテロ、電磁波研究等、国を上げて先端軍事技術の取得に取り組んでいる。
その中国などアジア諸国が日本に期待しているのは、「投資、技術、育成、知恵、経験、運用」などの「伝授」というから、お人よしがふんだくられている構図であろう。事実、中国に「証券取引」などの共同研究等、手助けをしても「ほとんど資金回収は出来ていない」というのだから何をかいわんやである。
「軍事は全く分かりませんので・・・」と後輩は遠慮して回答しなかったが・・・。中国滞在経験が長い方が、現場の体験談を披露して中国との取引に関して注意を喚起していたが、まさに『天皇を戴く商人国家』の趣であった。
さて、戦略なき「投資」を続けていたら、次の地図のような世界になるのでは?
ところで研究会の前にチャンネル桜に立ち寄って、拙著を5冊プレゼントするための「抽選」とサインをした。3日に放映されて締め切りが10日という短期間であったが、葉書、FAX、メールなど全国各地から27通の応募があった。担当者がすべて同一のA-4用紙に整理し、裏返しにして十分シャッフルした中から5枚を公平に選んだのだが、すべて男性だった!女性は8名いたのだが・・・。「やり直そうか?」といったら女性の担当者から、「ダメです。抽選だからしかたありません!」と怒られた。しかもこれまた不思議なことに東京在住の方はいなかった。東京都内では購入できるが、地方は困難だから?だろうか。当選者のお名前は16日収録の「防人の道」で発表される。
拙著のタイトルが「鮮烈」なので、「笑ってしまった」とか、「腰が抜けた」とか、はたまた「信じられない」「日本人とは・・・読む気がしない」など率直な意見が寄せられている。
あまりにも資料が錯綜したので、私の実力ではこの程度に纏めるのが精一杯、是非ご一読後にご意見を伺いたいものである。ついでだが、昨日の産経3面に、次のような関連記事が出ていて驚いたから、御紹介しておこう。
「50 年前に、帰還事業で北朝鮮へ渡った往年の名テノール歌手、永田絃次郎(金永吉)」氏の色紙や写真が新潟で見つかったというのである。「日本時代の永田さんは、オペラや戦時歌謡のスター歌手として活躍。『祖国建設』の希望に燃えて妻子と共に帰還事業に参加した」が、その後消息不明になっている。(拙著333 ページに詳説)
事実は小説より奇なり!である。
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