トルコ出張レポート
トルコから帰国しました。今回のトルコ出張は、イスタンブールで行われる国際宇宙開発学会のオープニングスピーチと「技術移転」セッションチェアのため訪れました。全67ヶ国の開発者が参加する学会は、これからトルコが実現したいと考えている自国における宇宙開発への意志表明でもあります。他国と比べ、少し遅れている宇宙開発という分野を、これから未来に向け動かそうということを意味しており、それにより僕も母国にもっと貢献できることが増えそうで、今後に期待したいと思っています。

会場が暑くてスーツがつらかったです。笑

また、僕は毎回トルコに帰ると、学校を訪ねることにしています。今回はイスタンブール市内で、黒海の近くにある田舎の学校「アグヴァ高校」に行ってきました。市内と言っても、車でイスタンブールから約3時間の郊外街です。都心に出るには、自家用車以外の便はありません。けれど近隣の子供達が、スクールバスでたくさん集まってくれ、僕と出会えたことに感動して涙を流してくれる子供までいました。大人も子供も先生も一緒になって僕の講演を盛り上げてくれるあたたかさは、田舎ならではでもあり、あらためて人と人とのつながりの大切さを教えてくれました。

もう夏休みなのに、わざわざ集まってくれた子供達。

学会以外、今回訪ねたのは古代の街「エフェス」です。ここは紀元前11世紀に古代ギリシャ人に造られた街が、まだそのまま遺されています。古代七不思議と言われるアルテミス神殿もここにあります。インフラも考えられていたようで、下水道の跡も確認されており、かつて人間が一緒に集まって住むことで得る有利を認めて街を造り始めた時代の例として、貴重な都市遺跡と言えるでしょう。じりじりと照りつける太陽の下、大劇場の一番高い席から街を一望すると、まるでタイムスリップできそうな不思議な感覚を感じます。トルコへ行かれる際は、是非足をのばしてみてください。

エフェスの壮大な中央道路

翌日は、オスマントルコ初の首都「ブルサ」に招待され、行ってきました。ブルサ市の市長が開催した会合に出席し、講演を行いました。記念の盾を頂く際、予想もしなかったサプライズがありました。てっきり市長からいただくのかと思っていたら、ステージに違う人が呼ばれたからです。その人は何と、僕の著者「タイムマシン」で出てくる中学校時代のウルスラ先生ではないですか!先生は、わざわざスイスから駆けつけてくださり、約20年ぶりに再会しました。先生は涙を流して僕に記念品を手渡してくれましたが、僕はあまりにも驚いてコメントができませんでした。笑

 ウルスラ先生と一緒に。

そして、ステージから降りると、ウルスラ先生が「実は、私だけじゃないのよ。」と笑いました。すると、ウルスラ先生の後ろから、中学校時代の親友「アル」がおかししそうに登場しました。彼はマルタ人ですが、現在スペインに住んでいる科学者で、一緒にタイムマシン計画にも参加した人です。まさかこんな再会があるとは予想していなかったので、とても楽しかったです。

アル君は、少し年をとり白髪になり、そして太った。お互い年だね。笑

今回の出張では、宇宙技術の未来を見たり、人間の過去の街を訪ねたり、自分の生活の流れで影響があった人と再会したり、とても忙しい1週間を過ごしました。人はいつもたった一人の存在ですが、一人では生きていない、そんな感慨深い旅となりました。
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