インフラフリーワークショップ
先週、三日間だけトルコのイズミル市に行ってきました。ここは、僕の父親の実家でもあります。トルコの西海岸に位置し、エーゲ海沿いにあるこの町は、人口400万人、トルコでは三番目に数えられる大きな都市です。しかも、エフェスやベルガモンといった遺跡も周辺地域には多く遺されていて、観光客も多く訪れるところでもあります。

イズミル経済大学環境学部長マークス先生と。

今回は、イズミル経済大学で「インフラフリーワークショップ」を行いました。この大学の環境学部長であるマークス先生と一緒に運営をした今回のワークショップには、イズミル大学以外からもトルコ国内の建築や環境学部から多数の学生や研究者が参加、僕の研究室からも2名を同行し、計約40名が出席しました。

地震は、日本にとっても、トルコにとっても、大きな問題です。1999年の夏にトルコで起きた大地震の時には、その後の衛生問題、仮設住宅がとても深刻なものとなりました。そうした過去の経験を基に、今回のワークショップでは、もしイズミルで同じ強さの地震が起きたとしたら、その災害後のマネジメントとして、インフラフリーがどのように役に立つか、ということを調べる目的がありました。

インフラフリーをキーワードにし、他の専門者にも指導していただく機会を取り入れ、今回は僕の母親もドイツからきて、建築と同時に考えられる物理システムを学生に指導しました。(僕の母は物理学者です。)30年間以上の経験を持っている彼女の指導は、非常に厳しいことで有名です。けれど、その教鞭をとる姿を見ながら、僕は自分の母親のことを改めて尊敬しました。

僕は母から物理を教えられたことはありません。笑

ワークショップでは、40人のグループを二つに分けて、インフラに依存しない仮設住宅と衛星ユニットの設計を考えてもらいました。災害でインフラが壊れた環境を想定し、その上で、援助がくるまでの間、水やエネルギーインフラの変わりとなる、どのような循環型のシステムを建築で考えるか、またそれに基づいた建築物をどうやって設計できるか、今までと違うアプローチを設定し、お互いと相談しながらスケッチや簡単な設計までの案を出してもらいました。

ワークショップ中の様子

エネルギーと水の循環を考えながら、ゴミを減らしたり、廃棄物の水で植物を育てたり、今までと違う素材を建築で応用したり、これからの循環型社会の技術や組織的な進め方を予想しました。参加した研究者や学生は、時間を過ぎても、一生目懸命取り組んでくれ、三日間のワークショップはとても充実した内容で、楽しく終了しました。

記念写真

来年は、ブラジルとイタリアでも同じ内容のワークショップを予定しています。インフラフリーは、ひとつの研究に過ぎませんが、インフラフリーをきっかけに、いろいろな国の文化、事情を理解することができるのは、とても意味があると感じています。世界を結ぶ国際交流、相互理解を含め、大きな可能性を秘めているインフラフリー、これから、ますますたくさんの夢が見られそうな気がしています。
CALENDAR
SMTWTFS
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2007 >>
ARCHIVES
CATEGORY
COMMENT
TRACKBACK
PROFILE
LINK
RECOMMEND
宇宙エレベーター
宇宙エレベーター
アニリール・セルカン
2006年発売以降、第6版となった人気代表作。読むほどに理解が深まる珠玉の味わいです。
RECOMMEND
タイムマシン
タイムマシン
アニリール・セルカン
2006年発売。学校になじめなかったセルカン少年は、大人も巻き込むタイムマシン実験に挑んだ!98%著者の実体験によるストーリー。
RECOMMEND
ポケットの中の宇宙 (中公新書ラクレ)
ポケットの中の宇宙 (中公新書ラクレ)
アニリール セルカン
2009年8月10日新発売!
何事にもとらわれない著者の思考力の源、人生の軌跡をたどる一冊。

Copyright (C) 2004-2009 lolipop Some Rights Reserved.