首相は「宇宙」発言　小沢氏は「人類史」発言

【名言か迷言か】

　鳩山由紀夫首相をめぐる「カネ」の問題が１０日、また明るみに出た。資産報告書への巨額の申告漏れが発覚した鳩山首相は１１日、記者団に対して、次のように言った。

　「ずさんさがあったことは認めます。恵まれた家庭に育ったものですから、そのことに関して自分自身の資産管理がきわめてずさんだったことを申し訳なく思いますし、そのことは今、心を入れ替えてしっかりやりたいと思っています」

　さらに、首相は厳しい経済情勢に苦しむ国民生活について、「一般の国民の皆さま方が一生懸命苦労されて、それこそ１円、１０円、１００円という単位まで切り詰めながら頑張っておられる方もたくさんおられる」と反省しきり。

　こうした自分自身の金銭問題が心に残っていたのかどうか、鳩山首相は１４日、アジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会議出席のために訪れたシンガポールで、ブルネイのボルキア国王と会談してこんなふうに発言した。

　「（ブルネイでは）国民に税金が課されていないと聞いた。日本国民もブルネイに移住したいと考えるだろう」

　国民の懐具合に思いをはせた発言だろうが、国民に課税している政府のトップの発言としては、いかがなものか。これからも鳩山首相の「カネ」にまつわる問題は、いろいろと波紋を広げていきそうだ。

　一方、民主党の党務を仕切る小沢一郎幹事長は１１日、民主党と中国共産党の定期協議機関「交流協議機構」の会合で、日中関係について、「２１世紀における人類史的なパートナー」と表現。鳩山首相の広大無辺な「宇宙ができて１３７億年」発言と比べれば、「人類史」はまだまだ控えめだけれども、それでもなかなか壮大な発言である。

　小沢氏は１０日、和歌山県高野町の金剛峰寺を訪ねた際には、宗教について次のように言及した。

　「（キリスト教は）排他的で独善的な宗教だ。キリスト教を背景とした欧米社会は行き詰まっている。その点、仏教は非常に心の広い、度量の大きい宗教、哲学だ」

　鳩山首相の「宇宙」発言、小沢氏の「人類史」発言、さらに、「宗教」発言…。民主党幹部による日本の枠を超えた壮大なスケールの発言が続いている。今後、どこまで膨張していくのか気になるところだ。（五嶋清）

　◇…先週の永田町発言録…◇

（９日）

　▽４人は空前絶後

　鳩山由紀夫首相　「さすが」と（思いながら）拝聴していた。私も含め工学系の大臣が４人いるのは空前絶後ではないか。（工学系出身の川端達夫文部科学相の答弁について参院予算委員会で）

　▽党派を超えて

　市田忠義共産党書記局長　党派を超えた集会なので、公約違反の外相らを糾弾するというよりも「鳩山内閣頑張ってほしい」の声に満ちた集会だった。（沖縄県宜野湾市で開かれた米軍普天間飛行場の県内移設反対集会に関し記者会見で）

（１０日）

　▽聖域なき見直し

　鳩山由紀夫首相　財源が大変厳しい。まずは聖域なき見直しをしっかりやろうという意思はみんな感じていると思う。（「事業仕分け」に対する閣僚の反発について記者団に）

　▽妙案教えて

　谷川秀善自民党参院幹事長　各団体やいろいろなところでお願いしている。無党派からも、われという人は出てきてほしい。妙案があれば教えてもらいたい。（参院選に向け候補者を集める方策について記者会見で）

（１１日）

　▽目標ありきでない

　鳩山由紀夫首相　目標があるとそれが達成されたらあとはいいじゃないかという話になる。削減目標は最初にありきではない。（事業仕分けで削減目標が設定されていないことについて記者団に）

　▽国民との約束でない

　石破茂自民党政調会長　鳩山政権の形式論からすれば、マニフェスト（政権公約）に書かれていないことは国民との約束ではないはずだ。（民主党が検討している永住外国人への地方選挙権付与について記者会見で）

（１２日）

　▽大丈夫ですよ

　鳩山由紀夫首相　新しい政権に懸念を持っておられる方々に「大丈夫ですよ」と伝えることが、日米首脳会議の大きな役割じゃないかなと思います。（オバマ米大統領の来日に関連し記者団に）

　▽野党質問難しい

　町村信孝元官房長官　衆参両院の予算委員会が終わった。皆さんなかなか良い質問をしていただいた。ただ野党質問というのは難しいもんだなということも実感した。（派閥総会であいさつ）

（１３日）

　▽平常心

　鳩山由紀夫首相　力まず気負わず平常心でやりたい。国民のため、世界のため、お互いに頑張っている姿勢をしっかり打ち出したい。（オバマ米大統領との首脳会談について記者団に）

　▽影響ない

　渡辺喜美みんなの党代表　政権が代わったのに、なぜ例年通り１２月に予算編成しなくてはいけないのか。来年にずれ込んでも国民生活にはちっとも影響ない。（来年度予算編成について記者会見で）

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