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共に生きる・トブロサルダ:大阪コリアンの目/18 /大阪

 ◇外国にルーツのある教員たち--ネットワークを結成

 ◇孤独感、出会い、喜び……国境越えた社会模索

 府内の公立学校の現場はすでに多国籍化している。大阪はもともと在日コリアンが多いうえ、中国、フィリピン、ブラジル、ベトナム--など、さまざまな国の子どもたちが学んでいる。学校は最も多民族・多文化の進んだ空間と言える。

 一方、多様な国籍を持つ教員も増えている。大阪は他都市に先駆けて教員採用試験から国籍条項を撤廃し、70年代から正規採用された外国籍教員が働いている。

 91年には在日韓国人の法的地位に関する覚書が韓日外相間で調印され、それによって教員採用試験での国籍条項は全国で一斉撤廃された。府内ではすでに約130人が教壇に立っている。コリアンの教員が多いが、ここ数年は中国籍教員も生まれている。

 外国にルーツのある教員たちによるネットワークが今月7日、大阪市内で発足した。集まった52人は外国籍も日本国籍もいるが、発足式後の懇親会でそれぞれが日ごろ抱いている思いを吐露した。

 外国籍教員として勤務する孤独感、民族名で働くことで得られた出会い、母語が日本語ではないために苦心した採用試験、祖国の言葉である朝鮮語や中国語の教員として勤務する喜び--など。思い余って涙する場面もあり、同じ境遇を持つ仲間たちとつながりあえた喜びで会場はあふれていた。

 東大阪市内の中学校で勤務する中国籍の楊知美(ヤンツーメイ)先生は「目には見えない線を日本人教職員との間で感じてきた。その線を仲間たちと乗り越え、地に足をつけて日本で頑張っていきたい」と決意を語った。

 大阪市内の小学校で教える韓国籍の邉一峯(ピョンイルボン)先生は「初めて担任したクラスで、『自分は教壇に立つ夢がかなえられなかった』と語る在日の保護者と出会った。そんな人々にとっても何か伝えられる存在でありたい」と目を輝かせた。

 外国にルーツのある教員たちは少数者ゆえの苦労も多いだろう。国籍の違いによる制約もまだ残る。だが、そうした立場にあるがゆえに見えてくることもある。むしろ教育者としては有利なことかもしれない。

 今のところ大阪の教壇に立っているのはコリアンと中国人だけだが、近い将来、フィリピン、ブラジル、ベトナム出身の先生が誕生することも期待したい。今年の教員採用試験でも何人か外国籍教員が誕生したようだ。皆さん、頑張って!<文・金光敏>

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 ■人物略歴

 1971年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン3世。大阪市立中学校の民族学級講師などを経て、現在、特定非営利活動法人・コリアNGOセンター事務局長。教育コーディネーターとして外国人児童生徒の支援などに携わる。

毎日新聞 2009年11月14日 地方版

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