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琵琶湖にて。
先日、アリゾナから帰国しました。でも、ゆっくり日本にいる時間もないまま、琵琶湖へ移動。日ごろ、お世話になっている黄檗売茶流の中沢家元のパーティーにゲストとして呼んでいただいたのです。パーティーは、琵琶湖のほとりにあるホテルで開かれました。中澤家元と琵琶湖にはとても深い関係があります。今から約20年前、琵琶湖の水をきれいにする意識喚起のため、琵琶湖の周囲を26万人の人の手でつなぐ「抱きしめて琵琶湖」という大イベントを行った人が、彼なのです。そして、中澤家元は、僕にとってもとても大切な存在で、日本の心の真髄を説いてくれた人といえます。日本人の持つ美学は、他の国に類を見ない、オリジナルな素晴らしさがあると僕は思います。みなさんにも、是非、その日本の心を誇りに思ってほしいです。
琵琶湖はあいにく雨でしたが、アリゾナの乾いた土地から帰ったばかりだったので、恵みの雨と感じました。みなさん、いろいろとありがとうございました！ |
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アリゾナ・レポート��〜BiosphereII〜
BiosphereIIは1990年にBiosphereIで得た知識をベースに、更に発展させるために作られました。BiosphereIにおける研究は、ご存知の方も多いと思いますが、巨大な密閉空間の中で、地球の生態系を完璧に人工で作ることができるか、ということがテーマになっていた、当時世界の注目の的ともいえる研究でした。その空間の大きさは7000sqmで一番高いところが46メートル、全500トンの鉄筋構造になります。BiosphereIIでは、この巨大な密閉空間を利用し、砂漠やサバンナ、海、湿地、熱帯雨林といった５つの人工環境が作られていて、温暖化問題、自給自足への可能性などが研究されているのです。何と、この建物の中だけで3000種類の生き物が、世界中から集められています。 このBiosphereIIという限られた空間の中で、僕の研究テーマである「インフラフリー」を実行しようとすると、どんな生活になるか、それを今回はトライしようとしています。その実験を行う施設は、BiosphereIIの中にある、ヒューマンハビタットという所になります。1994年、6人のチームが、実験のためここに2年間の予定で住もうと試みましたが、解決困難な酸素不足という致命的な理由により、一年で計画は断念され、その後は短期間の実験の際、たまに使用されるようになっています。 今回は、ここに数日、泊まっています。「インフラフリー」を成功させるためには、限られた空間でどんな精神状態になるのか、どんなスペースを設計してどんなものが必要なのか。まずは、自分自身で経験することが大切です。ここでの水は全てリサイクル、ご飯もハビタットの中で、自分で育てた植物を料理していただきます。そして、このブログも、ハビタットの部屋から書き送っています。 ここでの生活は、短期間であれば、ある意味サバイバル体験として問題はありません。しかし、差し迫った事情や長期間住む事を想定すると、人間が望む生活環境をこの限られた空間で再現することは、まだまだ困難なことといわざるを得ません。しかし、僕はこう思います。科学ってそんなものでしょう？と。笑 どんなに意気込んでも、研究とは、こうして少しずつ進んでいくものなのです。たとえ、今、方法が分からなかったとしても、この経験で得たものを糧に、まずは少しだけ進んでみる。その進んだ所から、また次に進んでいく。それが綿々と連なり、結果5年、10年後に大きな研究成果として実を結んでいくものなのです。 大切なのは、一歩ずつでもいい、未来へ向かうチャレンジの気持ちを忘れないで行動することです。もし、研究者のみならず、人類みんなが、自分の未来を信じチャレンジをしていくのなら、その経験が活かされた人類の未来、地球の未来は、どんなにか素晴らしいものになることでしょう。 最後に、BiosphereIIでの実験最終日に駆けつけてくれた、ジョン・エレン氏に心からの感謝を込めて。 明日、日本へ帰国します。 |
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BBC
☆☆☆NEWS FLASH☆☆☆
実は、先日BBCｵﾝﾗｲﾝからインタビューを受けていましたが、いよいよ掲載されました。僕自身、研究に必要な情報を集める際に活用している、世界的信用度の高いBBCに興味を持ってもらえたことは、とても光栄だと思っています。 日本は自給自足できる家、つまりはインフラフリー住宅に向かっていく,というインタビュー・テーマです。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/6150816.stm 是非、ご覧ください！！ |
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ニューメキシコ・レポート�◆�Synergia Ranch〜
アリゾナ･レポート第2回目は、Synergia Ranchからです。今回のアメリカ出張の目的は、明日からBiosphereIIで行うインフラフリー実験のためですが、実はここSynergia Ranchには、そのBiosphereIIの生みの親ジョン・エレン氏がいると聞き、訪ねる約束をいただいていたのです。
Synergia Ranch は、サンタフェの郊外にある住宅実験場になっていて、BiosphereIIを考え出したチーム全員がここで研究、実験しています。現在、BiosphereIIはコロンビア大学に運営されていますが、その元で彼らは二つの研究をメインでやっているそうです。 一つ目は仮設住宅。郊外地域において短時間で簡単に造れる住宅構造の研究です。それは、専門知識がなくてもたった2時間で作れる構造と空間なのだとか。素材はこの土地に豊かに恵まれている土、そのものを使用していて、構造上必要とされる木材は他の人が捨てたものをリサイクルしています。コストは何と日本円で1万円！！例え、木材をリサイクルに頼らなかったとしても、総コストは5万円を超えることはないと言います。 そして二つ目は、限られた空間で植物を育てる研究です。１８hbの狭い空間で4人に必要な一日分の食糧を育てる研究をしていて、この分野では世界トップと評価されています。実際に、僕も彼らの研究内容や成果を説明してもらって、非常に感銘を受けましたし、今後の僕の研究にも大変役に立つ情報を手に入れることができました。興味の尽きない話が多く、結局、見学は全部で6時間、半日の時間を費やしました。素晴らしいお話を、ありがとうございました！ 実は、ジョン・エレン氏は、僕が担当している12月13日「第一国際インフラフリー学会」（場所:イスタンブール）のゲストにもなっていただいています。70歳を越えた彼は、研究者として偉大な経験を積んできています。そして、僕が東京大学大学院で行っている「インフラフリー研究」にも非常に興味を持って下さっていて、忙しい時間を惜しまず協力してくれる大切な存在です。豊かな経験に基づいた彼の話は、学会に集まった人々にとっても貴重な経験になることを、僕は今回お目にかかって確信しました。 別れ際、彼の秘書にこんな話をお聞きしました。 「本当はね、エレン氏はあまり海外旅行に行きたがらないんですよ。もう年だから、飛行機での移動は本当に疲れるようなんです。」 僕は、エレン氏に直接聞いてみました。 「大変な思いをして、なぜトルコまで来てくれるんですか？」 「セルカン、君は夢を持って、人間の役に立つものを作りたい、と僕に話してくれたよね。どんなに素晴らしい研究も、人間の未来を明るく豊かにするものでなければ意味がない。だから、ありえないとバカにされてもいい。若い研究者こそ、今、夢を追うべきなんだ、と。同感だよ。僕もまだ、夢と希望に溢れる72歳の若い研究者さ。飛行機に乗ってトルコまで、心配ないよ。任せておきなさい。笑」そう言いながら、彼は僕の肩をぽんと叩きました。 僕の中の感情が、ぐっと動きました。 「僕もこんな大人になりたい。」 33歳の僕はもう立派な大人です。でも、エレン氏の懐の深さに、研究者としても一人の男性としても、僕はまだまだ若造なんだと思い知ったと同時に、目標となる人物に出会えた喜びが、僕の中に確実に生まれました。 次回は、エレン氏が造ったBiosphereIIから報告します。 |
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アリゾナ・レポート� �ArcoSanti〜
今回はスタートから波乱含みな予感がします。何と、僕の乗る出発便が6時間も！遅れたため、予定していたサンフランシスコでの乗り換えに間に合わなかったのです。やむを得ず、次の便を待った結果、フェニックスに着いたのは、当初の到着予定を9時間も上回りました。僕は、移動には慣れていますが、さすがにこれにはぐったりしました。
さて、本題に行きましょう。今回も出張の目的は、インフラフリー。この研究にとって有効な技術や施設の見学をするプランで、行く所はSynergia Ranch と Biosphere IIという二つの施設です。 Synergia Ranchはサンタフェという所にあります。日本の友人にサンタフェの話をすると、「ああ、宮沢りえちゃんの！」という反応が多く面白いのですが、僕がサンタフェに行くのは、Synergia Ranchという施設に新たなエネルギーコンセプトが応用されているからです。笑 ここは、半日見学をする予定です。見学が終わってからツーソンに移動して、そこからBiophere IIに行き、ここで数日滞在し、インフラフリーに関する様々なアプローチの実験を行うことになっています。 そして、僕は到着したら、すぐに是非行っておこう！と思っている場所がありました。それは、郊外住宅計画「ArcoSanti」です。 でも、この辺りは道路が舗装されておらず山も多いため、車だと往復するだけで半日つぶれてしまいます。あきらめようかな、とも思ったんですが、せっかくの機会です。「飛行機で近くの空港まで行けたらすぐだよね。ってことは、自分で飛行機を運転すれば行ける！」ということで、行ってきました。 「ArcoSanti」の開発が始まったのは1956年。地球に影響を及ぼさない新たなライフスタイルを目的としたエクスペリメンタルタウンと言われています。様々な分野の専門者や学生、研修生、インターンが、それぞれの視点を反映させながら、一緒に造っている町なのです。もし、このまま順調に建設が終われば、ここには約5000人が住める予定なのだそうです。このように、色々な分野の研究者の実験を組織的に統合すること、要はみんなの意見と力により未来の町が生まれることは、とても意義深いことだと思います。 今回、この「Arcosanti]を考え出した、建築家のパオラ・ソエリ氏にも会うことができ、僕のインフラフリー研究の紹介や内容の説明をさせていただきました。ソエリ氏は現在87歳。自分の人生の50年間を、このプロジェクトを成功させるために使ったと語っていたのが印象的でした。 僕は彼に、「あなたの費やした50年間は、それでよかったと思われますか？」とお聞きしたところ、ソエリさんはこう答えてくれました。「とても難しかったからね、毎日楽しかったよ。わかるでしょう？笑」。 わかります。難しいからこそ、楽しい。それが僕ら、研究者の人生そのものなのです。 この旅、よい波乱が期待できそうです。 Synergia Ranchに移動します。 |