STATE | ENTRY | <<new | 1 / 1pages | old>> |
|
数学が広げる未来の扉
先日、神奈川県数学教育研究会連合会の大会で講演を行いました。全国から数学の先生方が集まり、算数・数学教育の在り方を考え、午後は学生への公開授業も行われます。僕のこの日の講演の演題は、「数学が広げる未来の扉」。僕自身がどう数学と関わり、現在までの道のりをたどってきたか、を中心にお話をしました。
数学、というと、毛嫌いする人もいるようですし、日本では文化系、理数系という分類で、分けて考えてしまうことが多いようです。実は、この文化系、理数系という分類を日本に来て初めて知り、驚いた事があります。 僕自身は、宇宙の本質も数学であると考えていますし、その数学の本質を理解することは、分野をカテゴライズするために必要なのではなくて、今の僕の研究、生活、すべての創造力の源として重要な意味があると考えています。すべては数学でできています。けれど、自然界には数学というものは存在していません。では、2次元の世界で考える数学は、3次元の私たちの暮らしとどう関わっているのか?実は、これが数学の一番のおもしろさ、創造力だと思います。数学は、3次元の存在である私たちが、多次元の世界である自然や宇宙を理解するため考え出された、人間のためのツールなのです。そして、このツールの完成度こそ、私たち人類の進化の度合いともいえるわけです。 ツールに振り合わされずに、その本質のおもしろさに気づけば、数学を学ぶ本当の楽しさに気づいてもらえるのではないでしょうか?まだまだ人類の進化も発展途上の中にいます。この未知数の学問を、次の世代の子供達にどんどん進化させていってほしい。その先にある未来を、その子供達の手で創造していってほしい。そういう意味で、子供達の数学の教育に関わる先生たちの、これからますますのご活躍を期待したいと思っています。 |
|
影のヒーロー
1985年3月19日、今は故人となった元イラク大統領サダム・フセインが 突然、イラン上空通過航空機の無差別爆撃を表明しました。イラン・イラク戦争の勃発です。
イラン在住の外国人は、至急に国外脱出をしないと危険です。その猶予は24時間。まさに映画の様な出来事です。しかし、日本は自国のエアラインがテヘランに乗り入れていないため、帰る手段がありません。多くの外国人が帰国する中、日本人は取り残されることになってしまいました。大使館もあらゆる交渉を行いましたが、時間だけが刻々と過ぎていきます。 すると、トルコ航空が手を挙げました。危険を顧みず、トルコ航空の飛行機はテヘランに飛来し、多くの日本人をトルコまで送り届け、そこから日本人は自国機に乗り換え帰路につき、戦争を免れました。 「日本の串本では、トルコ人の祖先の船が遭難したとき、町の人々が全力でトルコ人を助けてくれた。今は、その恩を、感謝を返すときだ。」それが、この救出劇の真実でした。 歴史には、影のヒーローがいるものです。そして、僕はそのヒーロー、その時のトルコ航空の機長に、先日お目にかかりました。 彼は、僕が串本大使になり、町作りに貢献していく活動を行っていることも、既に知っていました。「セルカン、君はトルコと日本の架け橋になるんだ。君の手には、もう既にそのバトンが手渡されている。」トルコ人のこの熱い気持ち、僕は同じ民族として、とても誇りに感じました。 トルコと日本は、歴史の中で様々な出会いをしてきました。それを結んできたトルコと日本の人々は、決して有名人ばかりではありません。国と国をつなぐのは、人と人が結ぶ手、この熱い思いなのです。 いつかオルハンさんを連れて、串本へ行こう、そう思っています。 |