社説
2009年11月13日

女性教育会館/男女共同参画予算に大ナタを

 鳩山由紀夫政権は来年度予算案編成に当たり、無駄な費用を削減するため、事業仕分けを開始した。

軽視される男女の違い

 国の予算は、大ナタを振るわない限り、年々膨れ上がることは避けられない。従来の予算の中で、聖域のように扱われ膨れ上がった分野に、男女共同参画推進関連予算がある。平成14年度の同予算には約9兆円が投入され、翌年には10兆円台に達している。

 当時は、男女共同参画の推進という美名の下に、過激な条例を制定する地方自治体が少なくなかった。ひな祭りをやり玉に挙げるなど、「男らしさ・女らしさ」を育む文化・伝統を批判するジェンダーフリー思想が猛威を振るっていたためだ。

 その根源には、同11年に公布施行された男女共同参画社会基本法の理念が、ジェンダーフリーを主張する学者により主導されていたという問題がある。彼らは「男らしさ・女らしさ」が人工的につくられたものであり、それは日常的営みで崩していけるとしている。

 男女共同参画基本計画の改定でジェンダーフリーの行き過ぎに多少歯止めが掛けられたが、依然、男女の違いを軽視した政策に予算が投じられている。

 男女共同参画社会基本法では、同社会の実現が「21世紀の最重要課題」とうたわれ、内閣府男女共同参画局の権限は増大。予算請求は、これに沿った名目であれば通りやすいと指摘されるほどだ。

 平成20年度を見ても、男女共同参画の推進や、教育・学習のための予算は増加の一途をたどっていると言ってよい。

 ジェンダーフリー思想の学者は、科学技術に従事する女性が少ないのは、女性が不向きだからとの偏見があり、それに従いがちなためと主張。昨年度は20億円近い予算がその対策に充てられている。だが、男女で学業、職業分野に傾向があるのは自然なことだ。

 事業仕分けでは、政府側と事業担当者の間で厳しい交渉が交わされた。メディアでは、国立女性教育会館の予算をめぐり、仕分け人の民主党女性議員と同館の女性館長との間での激しいやり取りも話題性をもって報じられた。

 同館は、フランスから家庭を敵視する左翼的な女性学者を招いてセミナーを開いたり、過激な男女共同参画推進条例を制定する上で情報交換の場となるなど、日本にジェンダーフリーを蔓延まんえんさせる拠点としての様相を呈してきた。

 だが同館は稼働率が低く、事業仕分けの結果、3分の1から半分程度の予算削減となった。全国的にも似たような女性センターが数多く造られている。

 男女共同参画推進関連予算が、防衛予算よりも多いというのは異常である。「21世紀の最重要課題」は少子化対策であり、過激な男女共同参画は少子化の最大要因である女性の晩婚化・非婚化を招く恐れがある。

政策の視点を家庭重視に

 従来の男女共同参画予算に大ナタを振るうとともに、政策の視点を家庭重視に移し、公的支出の効率化に努めることが求められている。


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