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東大助教、トルコ人初の宇宙飛行士候補のアニリール・セルカン氏の宇宙服の写真は偽物

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Richard J. Hieb
Image credit: NASA

トルコ人初の宇宙飛行士候補として知られ、東京大学工学系研究科建築学専攻助教のアニリール・セルカン氏の著書などで掲載されていた同氏の宇宙服の写真が偽物であることが分かった。

sorae.jpの取材に対し、ジョンソン宇宙センターの宇宙飛行士選考事務局(Astronaut Selection Office)は同氏の宇宙服の写真を否定した上で、「この件については、既に警備当局にて調査中だ」と回答した。

問題の写真は、2009年8月に中央公論新社から発売された同氏の「ポケットの中の宇宙」の55ページに掲載されており、2004年12月、アニリール・セルカン氏がNASAの宇宙飛行士候補に選ばれた時、マスコミに発表された写真だという。

しかし、この写真には多くの疑問点が存在する。まず、宇宙飛行士候補(Astronaut Candidates)に選ばれたとしても、船外活動用の宇宙服「船外活動ユニット(EMU)」を着ての撮影が行われることはない。EMUを着て撮影が行われるのは通常、宇宙飛行士として認定され、フライトが決まってからである。

また、写真に写っているEMUのデザインが古く、NASAのロゴパッチも1992年までに使用していた古いもの。左腕の国旗も、同氏の国籍トルコではなく、なぜかアメリカになっている。アニリール・セルカン氏がもし2004年に宇宙飛行士候補として認定され、例え撮影が行われたとしても、このEMUやパッチが使用されることはない。

ちなみに、現在のEMUは、国際宇宙ステーション(ISS)で2年間、どの宇宙飛行士でも使用できるように、製造元のハミルトン・サンドストランド社が1999年頃に改良したもので、バッテリーの増加や、カメラやラジオの性能向上、手袋ヒーターの追加などの改良が施され、デザインも変っている。

さらに、アニリール・セルカン氏の写真をよく見ると、ミッションパッチが1992年に打ち上げられたSTS-49(エンデバーの初飛行)のもので、同ミッションを調べてみると、参加したリチャード・ヒーブ宇宙飛行士(上記)の写真と非常に似ていることもよく分かる。

なお、朝日新聞の10月末の取材に対して、アニリール・セルカン氏は「トルコ空軍とNASAの合意に基づいて宇宙飛行士の訓練を受けた。軍事的なことなのでこれ以上は話せない」と話していた。

■NASA - Astronaut Selection
http://nasajobs.nasa.gov/astronauts/

Written by sorae.jp編集部宇宙班

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