Updated: Tokyo  2009/11/14 00:17  |  New York  2009/11/13 10:17  |  London  2009/11/13 15:17
 

7-9月は2期連続プラス成長、政策効果と輸出で回復加速-市場予想

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  11月13日(ブルームバーグ):今年7-9月期の日本の実質GDP(国内総生産)は2四半期連続でプラス成長となり、景気回復が前期よりもやや加速したもようだ。前政権の経済対策効果による自動車や家電などの販売好調で個人消費が増加したとみられるほか、アジア向けを中心とした輸出拡大が寄与。これまで足かせとなっていた設備投資も、6四半期ぶりにプラス転換したとの見方が多い。

  ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査(対象17人)によると、7-9月期の実質GDPの予想中央値は前期比0.7%増(年率換算3.0%増)。4-6月期のGDPは前期比0.6%増(同2.3%増)。7-9月期の住宅投資と公共投資はマイナスを見込んでいる。内閣府は16日午前8時50分に1次速報値を発表する。

  三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「政策効果などによる消費の増加、アジア向けなどの輸出の増加などが回復に寄与する」と述べ、「しっかりした成長率になる」とみる。しかし、10-12月期は、政策効果の息切れに加え、冬のボーナスの大幅減など厳しい所得環境などを反映し、「成長率は7-9月期に比べ下がるだろう」との見方を示した。

  日本経済は昨年10-12月期に戦後2番目の減少率となる前期比年率12.8%減を記録、今年1-3月も戦後3番目となる同12.4%減だった。4月以降は、在庫調整の進展や麻生太郎政権が打ち出したエコカー減税などの経済対策の効果で持ち直しが続いている。7-9月期もこうした要因が下支えとなるものの、公共投資は2009年度予算の前倒し執行などの影響で伸び悩みが予想されている。

        個人消費のGDP押し上げ終了へ

  バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは、4月から9月にかけて「個人消費はGDPの押し上げ役を担ったが、10-12月期には早々にその役割を終えることになるであろう」とし、前政権の消費刺激策は「個人消費を自律的な上方トレンドに乗せることはできそうにない」と指摘。その上で「ポイントは雇用の悪化と賃金の下落だ」とみる。

  完全失業率など雇用の悪化には歯止めがかかりつつあるが、所得環境は厳しさを増している。新政権が目指す個人消費主導の自律的回復には程遠い。日本経団連によると、大手企業の冬の賞与(ボーナス)は組合員の平均妥結額が前年比15.91%減の74万7282円。冬の賞与の初回集計としては1959年の調査開始以来、最大の減少率となった。

  バークレイズの森田氏は「公共投資が予想以上に早いタイミングでピークを迎えつつある」としつつも、「公共投資が急減するような事態は2009年内は何とか避けられそうだ」と指摘。その上で、「GDPベースの公共投資が本格的に減少するのは、2010年明けてからになりそうだ」とみる。GDP統計に使われる公共事業出来高は4-6月期に前期比8.3%増加した後、7月に前月比1.7%減少、8月は同2.5%減となっている。

        設備投資の減少傾向には歯止め

  一方、菅直人副総理・国家戦略相は6日の閣議後会見で、今年度補正予算の2.9兆円相当の執行停止により、経済成長率が0.2ポイント下押しされるとの内閣府試算を示す一方、政府が打ち出した緊急雇用対策や検討中の09年度2次補正予算で相殺できるとの認識を示している。

  日本総合研究所の村瀬拓人研究員は設備投資について「企業収益の持ち直しや生産の回復による設備稼働率の上昇を受け、減少傾向に歯止めがかかる」とし、6四半期ぶりの小幅増加を見込む。国内民間設備投資の先行指標である船舶・電力を除く民需(コア機械受注)は、9月に前月比で2カ月連続して増加し、設備投資に下げ止まりの兆しが出ている。

  大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは「設備投資が反転増加となるには時期尚早とみられるが、これ以上減少しなくても年度内いっぱい底ばいを続ければストック調整にある程度めどがつくとみられる」と指摘。「機械受注に3カ月から半年遅行するGDPベースの設備投資は来年度以降、回復基調となることが期待される」としている。

  輸出は中国などアジア向けを中心に増加が見込まれる一方、輸入は原材料の輸入増加により3四半期ぶりのプラスが見込まれる。このため、輸出から輸入を差し引いた外需(純輸出)の成長への寄与度は4-6月期に比べ縮小する可能性がある。日本総研の村瀬氏は輸入の増加について「生産活動の持ち直しを受け、素原材料や中間財の輸入が増えたことが主因」としている。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 伊藤辰雄 Tatsuo Ito tito2@bloomberg.netTo contact the reporter on this story:Jason Clenfield in Tokyo at jclenfield@bloomberg.net;

更新日時: 2009/11/13 06:00 JST

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