リンゼイさん遺体事件 市橋容疑者、神戸市北区の土木会社でも4カ月間偽名で勤務か
10日夜、逮捕・移送された市橋達也容疑者(30)の961日に及んだ逃亡中の足取りが徐々に明らかになってきた。大阪の前には、神戸に4カ月間潜伏していた可能性が浮上した。
市橋容疑者は、警察の調べに対し、リンゼイさん事件については無言を貫いているという。
衝撃的な逮捕で、961日の逃亡生活にピリオドを打たれた市橋容疑者は、「弁解することはありません。何も話したくありません」と話したという。
市橋容疑者は、逮捕から一夜が明け、朝食にも昼食にも手をつけなかった。
取り調べでは、自分については話すものの、リンゼイさんに話が及ぶと無言になり、リンゼイさんを知っていたかどうかにも答えず、会話が成立しない状況だという。
こうした中、市橋容疑者の両親は11日、あらためて胸中を語った。
市橋容疑者の父親は「(市橋容疑者に)かける言葉っていうのは、ないと思うんですよ。結果的には、亡くなった命はもう戻ってこないわけですね」と話した。
市橋容疑者の母親は「拒否するという意味じゃなくて、わたしは、本人が一番わかっていると思うので」と話した。
最後に、市橋容疑者の両親は「本当に申し訳なかったです。すみませんでした」と、深く頭を下げた。
沖縄への逃亡を図ろうとしていた市橋容疑者。
市橋容疑者が乗っていたとみられるタクシーの映像が、兵庫・神戸市六甲アイランドのフェリー乗り場近くの防犯カメラにとらえられていた。
神戸発の沖縄便がなく、市橋容疑者は、同じタクシーで大阪南港へ向かった。
その時の様子について、タクシーの運転手は「わたし、(車内で)NHKのラジオをかけてるんですよね。そしたら彼が、『音楽をかけてください』と言いましたから、音楽でいったらFMかなと思って、FMに切り替えました」と語った。
市橋容疑者は、ラジオで自分についてのニュースが流れることを恐れていたのか。
一方、逃亡生活は謎に包まれている。
事件から、2008年8月に大阪の建設会社で働くまでの空白の足取りを埋める新事実が判明した。
市橋容疑者は、「井上康介」という偽名を使い、神戸市北区にある建築会社の寮に住み、仕事をしていたという。
神戸市北区にある土木会社で、2008年2〜6月までの4カ月間、市橋容疑者とみられる男が、住み込みで働いていたことが明らかになった。
神戸の土木会社同僚は「全然挙動不審なところもないし、受け答えもするしね。まじめな子でした」、「整形後の写真には近いけど、もうちょっとメリハリのある顔。色白は色白やったんですけどね」と話した。
その男が書いた履歴書には、市橋容疑者が大阪で名乗ったのと同じ、「井上康介」という名前が書かれていた。
神戸の土木会社上司は「日当1万円です。約55万円、渡してますね」と話した。
神戸の土木会社同僚は「旅行に行きたいから、お金をためるということは聞いたことあるけど」と話した。
市橋容疑者は、身柄を拘束されたとき、現金およそ30万円と催涙スプレーだという、おもちゃのピストル2丁を所持していた。
警察は今後、リンゼイさんが死亡した経緯などについても追及する方針。
(11/12 00:07)