彼女を殺したのはマスコミである
東京豊島区の無職の34歳の女性の結婚詐欺が、日本中を騒がせている。周囲では6人(4人?)もの男性が不審死している。睡眠導入剤が検出されたとかで、騒ぎは大きくなる一方である。ワイドショーの格好の材料である。
彼女の出身はわしの住む町であり、同じ町内である。こんな小さな町では一大事件である。マスコミが引きも切らずにくる。パラボラアンテナを付けた放送局の車はほとんどいなくなったが、週刊誌と思われる記者たちがあちこち嗅ぎまくっている。
かわいそうなのは家族である。マスコミは、成人した女の犯罪とは直接関係はない家族を追い回すのである。この詐欺女の母は、10年ほど前に交通事故で片足をなくしている。女の父にいなるが、彼女の主人も自ら命を絶っている。ここ数年、彼女は嫁入り先の高齢の義父母を離れ、実家の母の介護に懸命であった。
そこにこの事件である。記者は面白おかしく書き立てる。母としての責任を問い詰め、精神的に追い込むのである。自らの交通事故でもご主人の死去でも毅然と振舞っていた彼女であったが、認知症の母を残して数日前に自らの命を絶った。
彼女を死に追いやったのは、腐肉を食らうハイエナのような週刊誌の記者である。人の心にずけずけ入り込む、善人面した新聞記者である。健気に数多くの苦労を潜り抜け生き抜いてきた彼女の死に、やり場のない怒りを感じているのは事情を知る周辺の者だけである。
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