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きょうのコラム「時鐘」 2009年11月13日
即位20年記念式典の様子をテレビ画面で見ながら、前日に開かれた両陛下の記者会見の全文をじっくり読んだ
松井秀喜選手を見習ってひざを治したい、と話された皇后さまの機知には、思わず笑みが漏れる。が、節目の時の会見には、重い内容が並ぶ。「高齢化が常に『問題』としてのみ取り扱われることは、少し残念に思います」というお言葉も、その一つであろう わが国は、還暦や古希を祝い、長寿社会を目指していたはずでした。長寿をことほぐ気持ちを失いたくないと思います、と。「少し残念」は、お心遣いが働いた表現だろう。医療やら年金やら、高齢者を巡っては「問題」の大合唱である。新型インフルのワクチン接種は1回でいいのか、2回なのか。高齢者を惑わせる「政治主導」も、長寿を祝うより問題視する風潮を映している 近くの美術館で、意外な光景を見た。65歳以上は入館料割引、と案内されて「あら、そう。でも結構です」と、割引を拒んだ老婦人たち。時には、すねて見せないとやりきれない長寿社会なのだろう そんな反発が怒りに変わって、世直しとはならぬものか。 |