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小早川伸木の恋
『小早川伸木の恋』

1月12日(木)スタート
毎週木曜夜10:00‐10:54 フジ系で放送

出演=唐沢寿明藤木直人片瀬那奈大泉洋紺野まひる勝村政信市毛良枝谷原章介古谷一行ほか

大人の恋愛を描くことで定評のある柴門ふみの同名コミックをドラマ化。医師という堅い職業に従事し、妻と娘を持つ誠実な男・小早川伸木と、謎めいた魅力を持つ女・作田カナの恋愛を描く。原作のテイストを生かし、衣装や髪型までを忠実に再現している本作は、原作のファンにとっても十分納得できる仕上がりになりそうだ。



大人たちが安らぎを求め、生きがいを模索する姿を描く
喜多麗子(プロデューサー)

「言いたいことを言い、やりたいことをやるという、とても進歩的な妻が増えてきていますが、夫は相変わらず社会にもまれなければいけないという大変な立場にあります。その中で、家族や家庭というものを大切にして自分も一緒に安らぐということでバランスをとってきたのが今までの家族だったと思うんです。しかし、最近ではそこに安らぎを求められなくなっている人が増えているように思います。その結果、お金や名誉に目がくらんだり、不倫に走ったり、または自分をもっと愛そうとする方もいらっしゃると思います。この作品の登場人物たちは、そのいずれかに当てはまっているはず。彼らがどうやって自分の人生を模索し、生きがいを見つけられるかという点を丁寧に描いていきたいと思います」

武内英樹(演出)

「刺激的にかつ、見ていてクセになるように作っていきたいです」

柴門ふみ(原作)

「私の周りにいる夫婦たちの関係は、妻に噛みつかれたとか、殴られたとか、そういう人がやたら多かったんです。これは現代の一つの現象じゃないかと思っています。『娘道成寺』で知られる安珍清姫の物語は、蛇に姿を変えた清姫が最後に恋しい男を焼き殺してしまうという話ですが、この『小早川伸木の恋』のモデルになっています。今回のドラマは美男美女ぞろいで、私のヘタな絵よりもずっと美しい方々が出演するので、ご覧になる方も楽しめると思いますし、私自身も楽しみにしています」

さまざまなタイプの“大人”たちがそれぞれの立場で葛藤する
唐沢寿明
唐沢寿明

温厚で誠実な人がらのため、家庭や職場で周囲の人たちに翻弄されてしまう本作の主人公・小早川伸木を演じる唐沢寿明は「俳優たちは一生懸命頑張っています。もう、それだけだと思います。原作が非常に面白いのでそれをどこまで僕たちが表現できるかにかかっています」と原作ありきの作品であることを強調した。伸木が主人公であることは間違いないが、それぞれの登場人物が、それぞれの立場で“大人”として葛藤する姿が描かれる今作について「誰か一人がどうしたっていう話ではなくて、それぞれの俳優が、それぞれの役の世界をちゃんと生き抜かないとこのドラマはダメだと思っています。それぞれの世界があって、それが総合的に一つの作品になったときに、どこまで面白くなるのかという点が見どころですね」とコメント。同局で放送された「白い巨塔」(’03、’04年)でも医師役を好演したが、今回メインとなるのはあくまで“大人の恋”という部分だ。久々のラブストーリー作品に出演するにあたり「大人の恋ってドラマの中だから成立するんでしょうね。現実には難しいんじゃないかな。プライベートでそんなことが起こったら大変なことになりますからね(笑)」と話し、原作を読んだ際も「自分でやりたいと思ったし、結末が知りたくなりました」と自身も恋の行方が気にかかるとコメントした。


藤木直人
藤木直人

小早川伸木の親友で、医療関係から離婚問題まで幅広くこなす弁護士・仁志恭介を演じる藤木直人は、柴門原作ドラマに2度目の出演を果たす。「前回の作品(『P.S.元気です、俊平』TBS系)はもう7年ほど前になります。当時できなかったこと、“もっとこうしておけばよかった”ということもあったので、今回はリベンジという気持ちもあります」と意気込みを語った。仁志はかなりの努力家だが、それを悟られないように軽い性格を装っているという、伸木とは異なるタイプの大人の男。仕事の依頼人として事務所を訪れた妙子を、親友である伸木の妻とは知らずに異性として意識してしまうことになる。そんな仁志を演じるうえで熱意を持って原作を読んだそうだが、「1巻から3巻まで読んだんですが、僕、1度も出てこないんです(笑)。連載のほうを見たらようやく出てきたんですけど、野暮ったいオジさんでした(笑)。7年前の作品と比べるとずいぶん年月が経ったんだなと思いましたね」とコメント。ただし、「ドラマではオリジナルな部分も加わっているみたいなので、より自由に、楽しんで演じたいと思います」と話し、俳優としても“大人”になった藤木の演技に期待がかかる。


片瀬那奈
片瀬那奈

伸木の妻で、彼を愛するがゆえに嫉妬深く、常に彼の浮気を疑っている小早川妙子役を演じる片瀬那奈は、柴門氏いわく「“あぁっ! 妙子だ!”っていうくらい原作のイメージにそっくり」だそう。妙子は幼い頃から母親の自分に対する愛に不安を抱き、人から愛されていないというコンプレックスを抱えている。その結果、情緒不安定になり、伸木に激しく当たってしまう役だが「タイトルからはイメージできないほど激しいシーンから始まります。私自身もかなり気合が入っているし、リハーサルの段階からアザができたり筋肉痛になったりという、普通の役ではありえない、とても体当たり的でやりがいのある役です」と説明。役作りでもかなり苦労しているようだが、「妙子はとてもお洒落で、伸木のために常にカワイくあろうと真冬なのにホルダーネックのワンピースを着たり、冬の撮影には厳しいくらいの薄着をしています」と個性的な衣装にも苦戦している様子。演出を担当する武内氏も「片瀬さんのブチ切れっぷりを見てもらいたい」と話すなど、とにかく注目が集まる人物になりそうだ。


大泉洋
大泉洋

正義感が強く、明るくおしゃべりなムードメイカーでもある研修医・沼津壮太を演じるのは大泉洋。彼が演じる沼津は、伸木を慕い甘えている部分もあるが、一人前の医師へと成長していく青年だ。「ちょっとイラっとするくらい、青臭い正義感を振りかざすような役です。そう思いながら原作を読み進めていったら、沼津壮太はじんわりと、何となく原作からフェイドアウトしてしまって、途中から全く出てこなくなってしまったんです…」と話し、会見場を笑わせた。現場でも役と同様にムードメイカー的存在のようで「現場では、集中的にいじめていただいて、楽しく過ごさせていただいております」とコメント。しかし、物語の中では、開業医の父を持つ沼津を狙い、玉の輿目的の看護師たちからモーションをかけられることも多く、真実を見失ってしまうことも。一人の看護師と悲劇的な展開を巻き起こしてしまうという役でもある。


紺野まひる
紺野まひる

盆栽教室で伸木と出会い、彼に自分と同じ匂いを感じてひかれ合っていくフリーライター・作田カナを紺野まひるが演じる。「柴門先生のファンだったので、この作品に参加できるきことを本当にうれしく思っています。役については、“この作田カナなら伸木さんが惚れるのも分かるな”と一人でも多くの方に思っていただけるよう、魅力的に演じたいと思います」と意気込みを語った。カナはもともと舞妓で、大富豪の老人と結婚していた過去があるほか、突然、姿を消したり突飛な発言をするなど謎の多い人物。一方で、男の本音に理解を示してくれるという魅力も持ち合わせる。「いろいろ経験したからこそ、本当に好きになった相手にも好きと言えなかったり、行動できたりできなかったりというのが大人の恋なのかなぁと思います。それがきっとカナの中にもあるんだと思います」と自身が演じる役について分析。物語展開の大きな鍵を握る人物であることは間違いない。


古谷一行
古谷一行

伸木が勤務する帝東医大病院の教授で、患者からの謝礼を受け取ったり、業者と癒着したりと職権乱用を繰り返す野心家・美村浩一役を、ベテラン俳優の古谷一行が渋い演技でみせる。「小早川の医者としての能力を高く評価していながらも理不尽なプレッシャーをかけることもある役です。諸悪の根源でもありますが、なかなか愛嬌があってどこか憎めないという人物でもあります。今まであまりやってこなかった役なので、すごくノリながら演じています」と楽しみながら撮影に臨んでいると話す。「手術後に患者の家族から現ナマを受け取るシーンを撮影したんですが、手に現ナマの重さを感じるような芝居をしたいなと思って演じました。また、小早川伸木に対して、目だけで理不尽なプレッシャーを与えるというシーンもあります。とにかく1カット1カット、工夫をしながら楽しんで演じています」と貫禄のあるコメントを。本作のメインテーマである大人の恋について質問されると「若い頃と違い、家庭を持ったり今まで生きてきたノウハウの中で、その合間を縫って恋をしていかなければいけない。そういう恋は、年齢を重ねれば重ねるほどエネルギーがいるし、そのエネルギーを持たない人は恋をしなくなるんだと思います。だからこそ大人の恋って切ないんでしょう。ちなみに私は、もうエネルギーを無くしてしまいました(笑)」としっかりと締めくくった。



担当記者の目

恋愛ドラマである本作ですが、撮影にはCAMSAT(カムサット)という新しいカメラが使用されているそうです。既成のモーションコントロールカメラを発展させたタイプの撮影機材で、一つの映像の中にいくつかの映像を重ねて合成できるというもの。同じ位置での撮影を何度か繰り返して合成するために、被写体となる俳優陣には苦労も多いそうです。「思うように動いてくれないというかな。でも、できあがった映像を見ると“あっ、なるほどな”っていうすごい画が撮れてがりするんです。ただ、そこまでの道のりがタップリかかってしまう(笑)」(唐沢)、「合成技術なんでしょうね。カメラの動きに合わせてタイミングよく映りこむっていうのがなかなか難しい機材でございます。僕たちはそれに四苦八苦しているわけです」(大泉)、「妙子の衣装が薄着なので寒さに耐えるのが一番大変です。あっ、やっぱり例のカメラが一番大変!」(片瀬)と、皆さんがそれぞれ語ってくれました。ドラマを見て、どのシーンで使われているのかチェックしてみてください!