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「何もかもが足りない」自治体病院学会で現場医師が訴え/川崎

2009年11月13日

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 産科医不足や周産期医療における現場の苦悩、未収金問題…川崎市内で12日に始まった全国自治体病院学会の各分科会では、現代の地域医療が抱えるさまざまな課題について活発に意見が交わされた。

 「医師も病床も、何もかもが足りない」

 同市幸区のミューザ川崎で開かれた「地域医療・連携・福祉」分科会。妊娠や出産時の母児を扱う周産期救急について、横浜市大付属市民総合医療センターの奥田美加准教授は、厳しい現状を訴えた。

 東京都で問題になったいわゆる妊婦の「たらい回し」について、受け入れが困難になる理由を説明。周産期救急では母体と新生児双方の病床が必要となるため病床が不足するほか、健診を受けていない妊婦を受け入れる難しさ、受け入れ先が複数ある都市部では無理な受け入れをためらう傾向があることを紹介した。

 こうした状況を裏付けるように、横浜市で2008年に救急搬送した産科・周産期の傷病者の11・4%が、搬送先病院の照会に4回以上費やされたという。市安全管理局の松原正之救急課長は、平均の4・1%を大きく上回ったほか、16回の照会を経て救急車の中で傷病者が1時間半以上待機した例などを挙げた。

 また、県立こども医療センターの猪谷泰史副院長は、新生児集中治療室(NICU)について「いざという時にいつでも入れることが求められているのに、実際には常に満杯」と指摘。病床不足に加えて、高度な医療によって入院が長期化していることなどから、07年度には少なくとも患者80人が県外に搬送されていることを紹介した。

 また、「管理分科会」では、厚木市立病院の田代和也院長が未収金対策の取り組みについて講演。患者からの未収金を回収するため、08年に県内で初めて少額訴訟裁判を起こした例を紹介し、「回収率は依然低いが、『払えるのに払わない』患者が訴訟を避けようと納付するケースが増えている」と、その効果を説明。同年度の少額訴訟は6件に上ったという。

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