俳優・森繁久彌さん=享年96=の死去から一夜明けた11日、女優・森光子(89)、黒柳徹子(76)ら親交のあった仲間たちがそれぞれの言葉で大先輩の死を悼んだ。黒柳は、顔を会わせるたびに「1回どう?」と口説かれたことなど、森繁さんらしいおちゃめなエピソードを明かした。また、森繁さんの次男・建(たつる)氏(66)が都内で会見し、同日午前中に近親者のみの密葬で荼毘(だび)に付したことを報告。後日、お別れの会が開かれるという。
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テレビの黎明(れいめい)期から森繁さんと“共演”してきたタレントの黒柳徹子は11日、都内で会見し、初めて出会って以降「1回どう?」と口説かれ続けた森繁さんらしいおちゃめなエピソードを明かした。
NHK専属女優だった黒柳は、1953年のテレビ放送開始時から幾度となく森繁さんと共演。「(以来)55年もの付き合い。本当にかわいがってもらいました」と今生の別れを惜しんだ。
森繁さんといえば、パーティーや公の場では女優がほっぺにキスしたり、手を握ったりとスキンシップがおなじみの光景だった。昔からとぼけたエピソードは事欠かず、20代だった黒柳は会うたびに「1回どう?」と言われ、「終生、亡くなるまで言ってました。当時はその意味が分からなかったんですけどね」と苦笑い。
ある時には、手を取られて車に引きずり込まれ、「1回どう?」。黒柳が丁重にお断りすると、「でもさ、早くしないとしわくちゃになっちゃうよ」とさらに口説き文句を重ねられたことを明かした。
長寿番組となった「徹子の部屋」の第1回ゲストも森繁さんが務めた。Tシャツにジャケット姿で出迎えた黒柳の胸を、あいさつ代わりにぺろんと触ったエピソードは今でも語り草。
もっとも黒柳は森繁さんに尊敬の念を惜しまず、「本当に何から何まで俳優として教えてもらった。恋人ではなかったけど、近所のちょっとエッチなおじさんみたいだったし、大きな存在でした。できることなら、もう一度、“1回どう?”と言ってもらいたい」と“恩人”との別れに声を落としていた。