事業仕分け 飛び交う怒声、矢継ぎ早の質問に官僚も反撃
11月11日21時16分配信 産経新聞
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行政刷新会議ワーキングチームの「事業仕分け」作業の評決結果を書き込む関係者=11月11日午後、東京・新宿区(大西史朗撮影)(写真:産経新聞) |
[フォト]事業仕分けのようす 傍聴者も大勢
■聞こえません!
仕分け作業の会場となったのは、国立印刷局の体育館。普段はバレーボールやバスケットボールのコートなどとして使われている。約1600平方メートルの会場を、3つのワーキンググループ(GW)ごとに区切り、計300の傍聴席を設けた。
午前9時半、一斉に作業を開始。が、突然、第3作業グループを傍聴していた高齢の女性ら数人が「全然聞こえません!」と声を上げた。傍聴者にはレシーバーで聴いてもらう仕組みをとったが、レシーバーが行き渡らなかった傍聴者から不満の声が出たのだ。結局、同日午後には事務方が陳謝し、スピーカーでアナウンスする方式に変えた。
騒然とした雰囲気の中で始まった議論で、仕分け人は官僚側に「事業に成果はあるのか」「法人理事に役所のOBはいるのか」などと矢継ぎ早に質問した。
ただ、文部科学行政を判定するブースでは、興味ないのか、自分のパソコンでインターネットの書き込みに興じる仕分け人の姿もあった。
■私の話も聞いて
その文部科学省の所管事業を担当した第3ワーキンググループ。国立青少年教育振興機構と教員研修センター、国立女性教育会館の3施設の予算が俎上(そじょう)に乗った。いずれも、自民党政権時代に整理合理化が検討されたものの、文教族の反対でうやむやになった施設だ。
口火を切ったのは財務省の主計官だ。
「教員研修センターは国が教員を1カ所に集める必要性は低下している。女性教育会館は議論を絞り込む必要がある」
蓮舫参院議員が「女性教育会館の稼働率は?」とたたみかけると、同館の女性理事長は「44%…」と小さな声で答えるやいなや反撃に転じ、「私の話も聞いてください。一方的にただ質問に答えろというのは心外だ」と声を荒らげた。
仕分け人の統括役の枝野幸男衆院議員は「目的を話したい気持ちはわかるが、(事業としての)効果があるかどうかだ」と切り捨てた。結局、女性会館は予算削減、教員センターと青少年機構は「地方か民間へ委託」との結論になった。
■“大物”めぐり攻防
事業評価手法の見直しにとどまった道路整備事業でも仕分け人側と所管する国交省担当者との間で熱い議論が繰り広げられた。
「無駄が多い」との批判がつきまとう道路整備事業は仕分けの対象事業の中でも“大物”だ。仕分け人の関心は事業評価の仕組みに集中した。仕分け人からは「継続中の事業においても事業評価を行うべきだ」「安全性などに配慮しすぎるあまりコストが高くなっていないか」「景観や環境への影響も評価に入れてはどうか」との厳しい質問が投げかけられた。
ただ、国交省側の担当者も打たれっぱなしではない。新規事業の凍結などで22年度予算の概算要求で道路整備費を前年度比約20%削減した実績を盾に反撃を開始。「今後は老朽化などで維持修繕費用が膨らむ」と訴え、「引き続き事後評価の厳格化やコスト縮減に取り組んでいく」との姿勢を強調して国交省ペースに引き込むなど、仕分け人の切り込み不足が露呈する場面もみられた。
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最終更新:11月11日21時55分
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