(cache) 仕分け結果の詳報 - 47NEWS(よんななニュース)
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     政府の行政刷新会議作業グループ(WG)による11日の事業仕分け結果の詳報は次の通り。

     ▽国土交通省

     【国土・景観形成事業推進調整費】年度途中で再開可能となった公共事業に充てるため、2010年度予算に200億円を概算要求。「ほかの予算分野の流用で対応できる」「厳格な運用が求められる」などを理由に13人中12人が廃止、1人が予算削減と評価し、廃止に。

     【下水道事業】概算要求は5188億円。仕分け人から「人口の少ない過疎地などでは、下水道よりも低コストな浄化槽などの汚水処理施設の整備を進める方が効率的だ」との指摘が相次ぎ13人中廃止1人、自治体の判断に任せるが7人、10%程度の予算削減が3人などとなり、判定は「地方自治体に財源を移した上で、実施は各自治体の判断に任せる」となった。

     【道路整備事業】1兆2332億円を概算要求。仕分け人からは、費用対効果分析で効果が費用を上回って着手できる事業でも「コストをカットすべきだ」とコスト縮減を求める意見などが続出した。事業評価の厳格化やコスト縮減、道路構造令の柔軟化などにより予算の見直しを行うとした。

     【河川改修事業】1945億円を堤防の整備などに要求。「改修個所の個別の評価を行い、優先順位を明示すべきだ」などの意見が相次いだため、個所ごとの事業評価、コスト縮減のインセンティブの導入などにより、予算の見直しを行うと判定した。

     ▽国交省、農林水産省

     【港湾、漁港、海岸、河川環境整備事業】バレーボール場や広場などレクリエーション施設の整備などに批判が集中し、予算の削減を求めた。

     ▽農水省

     【農道整備事業】都道府県の農道整備を国が補助する事業で、10年度の概算要求額は168億円。農水省は中山間地での農業生産性向上のため必要だと主張したが、「一般道と一体的に整備するべきだ。国が補助する根拠が不明だ」といった意見が相次いだ。11人中で廃止が6人、自治体の判断に任せるとの意見が1人、予算削減が4人だったが、最終的には廃止と判定された。

     【里山エリア再生交付金と田園整備事業】約90億円を要求。森林や用水施設、遊歩道など居住環境の整備を助成する里山エリア再生交付金と、都市と農村の交流目的で施設整備などを行う田園整備事業はいずれも廃止。重複する事業が多いことや効果が不明だとの指摘が多く出た。

     【農業農村整備事業】農村集落の下水処理施設の整備を進める農業集落排水事業は「自治体に財源を移譲し、判断を任せるべきだ」と、国が補助事業として行う必要はないとの意見が大勢を占めた。農業に使う水利施設の整備や維持を行うかんがい排水事業は「予算要求の削減」と判定。1774億円を要求しているが、20%程度の削減が適当との声が多かった。

     ▽厚生労働省

     【健康増進対策費(地域健康づくり推進対策費)】食生活改善の啓発活動で、厚労省は1億8600万円を要求。仕分け人から「国は情報提供だけで足りる」「農水省の事業と重複している」と、必要性を疑問視する意見が相次いだ。13人中8人が廃止、5人が自治体や民間への委託を選び、判定は廃止。

     【レセプトオンライン導入のための機器整備等の補助】厚労省は要求額215億円を151億円に減額する方針を表明したが、仕分け人から「所得が高い開業医に補助する必要はない」などと厳しい指摘が続出。13人中7人が10年度予算への計上見送り、5人が廃止、1人が民間委託との意見で「来年度予算の計上見送り」と判定された。

     【独立行政法人雇用・能力開発機構運営費交付金等】もともと「予算の無駄が多い」との指摘があり、麻生政権が08年12月に同機構の廃止と事業の大半を別法人に引き継ぐことを閣議決定済み。厚労省は「高度な職業訓練は国でしかできない」と主張したが、判定は「地方や民間への移管や業務のスリム化をさらに進めるべきだ」となった。

     【診療報酬の配分(勤務医対策等)】仕分け人は「小児科など医師が必要な診療科に報酬を重点配分すべきだ」「厚労省のこれまでの価格設定は失敗」と指摘。16人全員が配分の見直しが必要と判定し、開業医と病院勤務医の収入格差の平準化や、整形外科や眼科など収入の高い診療科の報酬引き下げなどを求めた。

     【後発品のある先発品などの薬価の見直し】主成分が同じで安価な後発薬(ジェネリック医薬品)がある先発医薬品について、後発薬並みの薬価水準まで引き下げるかどうかを議論。厚労省は「国内メーカーの開発意欲をそぐ恐れもある」と主張したが、15人全員一致で、一層の引き下げを必要とする「見直し」と判定した。

     【医療関係の適正化・効率化】医療機関や薬局に支払われる診療報酬の不正をチェックする厚労省の外郭団体「社会保険診療報酬支払基金」と「国民健康保険団体連合会」を統合すべきだとして「見直し」とした。入院時の食費・居住費も「見直し」と判定、「療養病床に比べ、一般病床の患者の自己負担は低い」と患者負担増につながる意見も。整骨院など柔道整復師の報酬請求の一部ケースで減額を求めた。

     【若者自立塾(若者職業的自立支援推進事業)】ニートなどの若者に合宿型の施設で就労体験をしてもらう事業で、10年度は3億7500万円を要求。作業グループでは対策の必要性自体は否定されなかったものの、08年度の利用者がわずか490人にとどまったことがやり玉に挙がった。12人中5人が廃止、4人が「自治体や民間に任せる」と割れたが、最終的には廃止が決まった。

     ▽文部科学省

     【施設関係独立行政法人】「青少年自然の家」などを運営する国立青少年教育振興機構と、教員研修センターは地方自治体にも類似施設があり「地方または民間非営利団体(NPO)に移管」。男女共同参画に関する研修を実施する国立女性教育会館は、役員報酬が高額なことなどから国からの運営費交付金(10年度概算要求額約6億円)を削減する。

     【子どもの読書活動推進事業と子どもゆめ基金】読書活動を進めるために教員や保護者向けの資料を作り、ネットサイトを運営する。「地方や市民レベルの活動があり、国が行う必要はないのではないか」との意見が出され廃止。「子どもゆめ基金」についても廃止の判定が出された。

     【スポーツ予算】地域のスポーツ施設整備やドーピング防止活動などの事業について、予算の大幅な削減が必要と判定。サッカーくじの収益をもとに独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施する事業などとの類似が理由だ。

     【独立行政法人日本芸術文化振興会】芸術家への助成など振興会が関係する事業は、運営の方法に批判が目立ち予算の削減と判定された。

     【芸術家の国際交流等】若手芸術家の海外派遣など交流事業(要求額32億円)は、帰国後の活動状況を調査していないことなどから予算を削減。全国約5千カ所で小中学生に日本舞踊や茶道などの伝統文化を体験してもらう「伝統文化こども教室」など3事業(22億円)は「国として行う必要はない」となった。

     【放課後子どもプラン推進等】空き教室で子どもの居場所をつくり地域の交流も支援する放課後子ども教室推進事業は、厚労省の「放課後児童クラブ」と似ていると指摘されたが、「放課後の居場所は大事」と強調する声もあり、結論は「継続」「自治体に任せる」の両論併記。家庭教育支援基盤形成事業などほかの3事業はそれぞれ「廃止」や「自治体に任せる」などとなった。

     【学校ICT活用推進事業等】小中学校で配備が進む電子黒板やコンピューターなどICT(情報通信技術)機器を効果的に活用してもらうため、教員の研修などを実施する学校ICT活用推進事業(要求額7億円)は、機器そのものの必要性に疑義が示され廃止。新学習指導要領に基づく11年度からの小学校での外国語活動(英語)必修化に向けた「英語教育改革総合プラン」(モデル事業)も、教材の全児童らへの配布が無駄遣いなどと指摘され、廃止となった。

     【農山漁村におけるふるさと生活体験推進校事業等】小学生に自然の中で1週間程度の宿泊体験をさせるモデル事業。メンタルヘルスなどに対応するため、専門医を学校に派遣する事業と一緒に論議された。モデル事業として行われることに疑問の声が上がり、評価は「廃止」と「地方自治体へ移管」が拮抗(きっこう)。結論は「国の事業として行わない」となった。

      【共同通信】