岩手

　盛岡市は１０日、８月にオープンした同市加賀野の岩山漆芸美術館（全龍福（チョンヨンボク）館長）が賃貸料３カ月分と敷金計約３００万円を滞納していると発表した。市議会全員協議会で明らかにした。議員からは市の見通しの甘さを指摘する意見が相次いだ。

　市によると、美術館の土地、建物は市の所有で、賃貸料は月約５０万円。８～１０月分の支払いと敷金（賃貸料の３カ月分）がいずれも未納で、１０月下旬に文書で支払いを督促した。また、学芸員の人件費として、ふるさと雇用基金約３３５万円を前払いしているが、使われていないという。市は今月２０日をめどに返済計画書の提出を求めている。

　漆芸美術館は全館長らが０４年５月、市から施設を借りて開館したが、客足が伸びず、０８年１１月末に休館した。韓国の俳優ぺ・ヨンジュンさんの名誉館長就任を機に、ペさんが所属するキーイースト社の出資を見込み、全館長が設立したオリエンタルトレジャー社の運営で８月に再オープンした。だが苦しい運営が続き、キ社も１０月末に出資を控える方針を伝えてきたという。

　全館長らは市の聞き取りに「キ社の出資が前提なのでオ社を解散したい。代わりにＮＰＯなどで運営できないか模索したい。家賃は必ず払うから待ってもらいたい」と答えたという。

　一方、市は同館の修繕には約４０００万円がかかると見込み、既に消防設備費などに約１０５０万円を支出している。【狩野智彦】