さて、衆参両院での予算委員会は昨日で終わり、私も上司の発注で簡単な総括記事を書きました。ただ、いつも苦しい言い訳をしているように、新聞紙面はとても狭くて有意義な質疑もあまり伝えられないので、本日もこのブログでは予算委シリーズを続けたいと思います。今回は、天下り問題と教育問題を追及した自民党の義家弘介氏の質問です。教員、教育委員出身者だけに熱のこもった質問であり、私も何度か取り上げてきた日教組の政治活動問題、北海道教職員問題もきっちり指摘しています。
具体的な追及に、鳩山首相も「義家委員に教えていただいた。(北教組が)私どもの考え方と必ずしも同じではない考え方を有していることも、今、理解をした」と答えています。これは重要ですね。いい答弁を引き出しています。北教組に限らず、各地の過激な日教組単組が暴走した際には、鳩山首相にもきちんと対処してもらわなくてはなりません。
【天下り】
義家氏 鳩山政権発足以来、さまざまな取り組みが、打ち上げ花火のようにボンボンボンボンと打ち上げられているが、その打ち上げ花火が継続しない。ただ派手なだけで、実際には実行力がない、計画性がない、根拠がない。そういったことが山積みでるような気がする。われわれの前政権の折、よく、ぶれるという言葉を使ったが、軸があるから時代の要請によって変化する。しかし、現在、民主党が行っていることは、ぶれるというよりワープしている。根拠のない形でワープして、それがどのように落とし込んでいくか、まったくわからない。まさにワープ政策の連続という感じを、私自身受けている。
その結果、多くの国民がより不安になっている。たとえば、いま、不安のなかで、国民はこれから一体どうなるのだろうか。期待と不安があるが、まさに霧の中だ。霧が少しずつ晴れてくると、地方外国人参政権、あるいは夫婦別姓問題、あるいは教育崩壊を意図したかのような様々な法案の準備。まさに日本解体。日本解体を目指しているのではないかという疑念を持っているのは、おそらく私だけではないと思う。これまでの様々な答弁のなかで、非常に「コンクリートから人へ」などのきれいなスローガンが語られているが、具体的な姿がまったく見えないなかで、具体的に聞いてまいりたい。
まず、官僚の天下り問題についてうかがう。斎藤氏や江利川氏の件。11月6日、政府は議会運営委員会で天下りの定義を説明したが、改めて政府見解を答えて。
平野官房長官 天下りの定義、改めて申し上げるが、天下りとは府省庁が退職後の職員を企業団体等に再就職をさせることをいうと。これが基本の定義。したがって、公務員が法令に違反せず、府省庁の斡旋を受けずに再就職先の地位などに適材適所で再就職する、というのはこの概念に入っていない。
義家氏 非常に都合のいい解釈の変化だ。長妻大臣に聞く。この政府見解でよいか。
長妻厚労相 お答えする。まず申し上げたいのはこの政権は天下りの弊害、天下りを根絶する政権だ。実際に、例えば独立行政法人で自動的に天下っていたのは排除して完全公募にした。厚労省も独法役員ポストそのものを見直して削減した。公益法人も自動的な天下りは公募すると。厚労省は天下り団体等々の資金を見直して、1000億円程度の削減をやってメスをいれていくと。持参金型、人質型、創業型天下り。いろんな弊害を追及したが、徹底的に根絶すると。今のは国会同意人事の話。そういう人事官を選ぶと。内閣として提示しようと。閣僚全員と総理の決断で提示したということだ。
義家氏 まさに論点のすりかえ、ごまかしとしか感じられない。長妻は今年2月4日の予算委で、なぜOBじゃないといけない、公募してもいいじゃないか、なぜ指定席かと発言している。一昨年2月の予算委でも、事務次官経験者の天下りを痛烈に批判している。何といったかぜひ思い出してほしい。今回の政府見解で本当によいか。整合性が問われている。
長妻氏 先ほども答弁したとおり、公募するんです。自動的に府省庁があっせんして指定席となった天下りは禁止して公募するということだ。今回の案件は国会同意人事。しかも、府省庁の斡旋ではなくて、全閣僚と総理、内閣でその人物を提示したということだ。そういう意味では、補助金がその組織に多く渡るとかではない。内閣の決定なので、私もそれを了としている。
義家氏 多くの国民はそれを了としていないのではないか。今まで、われわれ自民党もたくさん反省しなければならない材料があったが、根っこをもってすすめ、その都度丁寧に説明しながら、例えば日銀総裁の同意人事も上げてきた。しかし、なんでもかんでも反対、天下りはだめだと。長妻大臣の発言だが、一昨年二月の予算委で「一回天下った民間人を斡旋するのは国家公務員法違反ではないんですか。二回目の斡旋をやめると総理は明言して」といったが、変わったのか。
長妻氏 変わっていない。斡旋とは、府省庁が斡旋すること。私が言ったのは「渡り」。国家公務員法違反は一回民間人になったひとが、役所の人事課が再就職先を探す。民間人になったのに差配するのは本来の職務じゃないと。前政権では天下りにまったく手をつけられなかった。われわれは役所に入って、天下りの資金源を一定程度きるということで、まずは、1000億円出てきたということも理解願いたい。
義家氏 今の自分たちのスタンスをごまかす。多くの国民が感じている。そのうえで総理にきく。舛添議員の質問に、人事院そのものの存廃のために中をよく知っている人が必要と判断したと言った。それなら、他の官僚が絡む人事にも言えることだと思うが、総理の考えを。
鳩山首相 今回の人事院の人事に関して、いま義家委員からお話があった。私どもは、まさに、官僚のOBだから、だから絶対いいとか、絶対ダメだということを同意人事のなかで申し上げているのではない。むしろ、いままで民間、学識経験者が(人事官)3人のうちの2人だった。公務員制度改革をやらなきゃならない。人事院そのものの存廃、まさに根本的な見直しをやらなきゃならないという大改革をやるときに、まさに公務員制度を知り尽くしている方が最低1人いないと大きな改革はできない。そういう判断を私たちはした。そのなかで、江利川さんの同意人事をはからせていただきたいということだ。先ほど、長妻大臣から申し上げたように、府省庁が自分たちの権益を守るために、役所のOBを関わりがあるようなところに配置するような天下りとは違うと我々は理解している。
義家氏 野党時代、民主党は例えば日銀総裁人事について財務省OBだからという理由で反対し続けたと思う。今までの答弁を聞いていると、野党時代と政権についてから天下りについての考えが変わったと理解していいか。役所斡旋ではなく政治主導なら何をやってもいいという考えか
鳩山氏 そういう考えを持っているわけではまったくない。私どもは、先ほどから申し上げているように、天下り、わたりを全廃をする。その覚悟を先般の閣議で決めたわけだ。そのような形での天下り、わたりは、今後一切行わない。その決意で努力をしているところだ。
義家氏 ご都合主義、変化したとしか理解できない。国民が納得いくような説明を改めてしてほしい。まだ多くの人が不信感を持っている事実もまた受け止めてほしい。
【教育問題への認識と将来像】
義家氏 次に私が政治生命をかけて取り組んでいる教育について。教員免許更新制度の抜本的見直し、高校無償化などマニフェストでもインデックスでも約束されているが、総理は現在の公教育、教育をどう受け止めているか。認識を。
鳩山氏 公教育、あるいは教育全般に関して、義家委員から質問があった。今の教育すべて、必ずしも国民の未来に指針を示しきっていない。所信でも申し上げたが、ひとりひとりの人間が個として確立する。だけど一人では生きていけない。だから共生という思いを両立する形で心の中にはぐくむような教育制度でないとならないと思う。これから国際社会のなかで、ひとりひとりが活躍、地域社会で、国家の中で活躍していく。その中で求められているのはコミュニケーション能力では。学力よりもっと地域を大事にしながら、ひとりひとりの能力が発揮されるように教育に、制度も含めて変える必要がある。
義家氏 端的にうかがう。現在の公教育は正常と思うか。問題と認識しているか。
鳩山氏 正常か異常かという2者択一のような議論ではないと思うが、当然、個々、改めるべきところはあるのではないかと考えている。
義家氏 正直言って不安になった。現在の教育は異常な状況が放置されている。この認識を国会が持っていないこと自体が問題だ。例えば、いじめを受けて遺書を書いて自殺して教委が1年以上隠蔽する。異常でなくて何だ。多くの人間が助けてと言っても助けてもらえず、異常と言わずして何なのか。ならばどうするかという具体的方針を出さなければならないなかで、われわれは教育3法改正、道徳教育充実など一つひとつ積み上げてきたが、民主党はどういう感覚をもっているか。
川端文科相 決して望ましくないことが起こっていることはご指摘の通り。公教育全体がそうかというと、私はそうは思わないが、本当に深刻な問題だと思う。いじめ、自殺、不登校の問題等は、子供たちが一人で抱え込んでいることを後で大人が見聞きした時に、どうして気付かなかったか。どうして言ってもらえなかったのか。教育現場、家庭、地域を含めて、子供からのメッセージを感じてもらえない。信頼関係を結べなかったのが大きい。子供は大人たちはちゃんと話せば親身に考えていると認識してもらいたいという思いもある。極めて深刻な問題があるが、ここに一声かければ相談に乗るという環境をつくるのがよいと考えている。
学力低下、公共心がやや欠けてきている、体力的にも体力が落ちてきたのも含めて万全に対策をとっていく。
【民主党と日教組】
義家氏 民主党の教育政策は日教組の考え方がそのまま盛り込まれている。先日、日教組とは似ている同じ部分があると総理は答弁したが、誰が見ても同じだ。明らかに影響を受けている。選挙の応援も受けている。鳩山総理は当時、民主党の幹事長だった。1月の日教組の新春の集いで、「日教組とともにこの国を担う覚悟だ」と述べた。さらに代表となってからの7月の日教組定期大会では、静岡県知事選の結果について「日教組に大変ご指導いただき、厳しい戦いだったが勝利をつかんだ。本当に感謝を申し上げる」といっている。衆院の予算委で、下村委員の質問。総理は教育の政治的中立は担保されなければならないと答弁した。同じ答弁のなかで、日教組からいろいろご支援いただいていることについては、感謝とも述べた。総理の公式の発言だ。
文科省の記者会見録だと、中川正春副大臣が、「日教組は選挙は応援してくれたけど、一緒の事業はあまり思いつかない」と回答している。何か一緒にしたこともない人を選挙で応援するのは素直に落ちないが、参院の輿石東議員会長も「教育に政治的中立はない」と何度も断言している。総理個人が日教組から支援をいただいていると認めるなら、選挙での支援の応援や内容について答えてほしい。
鳩山氏 具体的にどういう応援をしていただいているかどうか、私はつぶさに理解しているわけではない。しかし、日教組の皆さん方が、それぞれ一人一人、たとえば、選挙の時に応援する自由はあるわけで、その応援に関して、感謝の心を述べることは、私は決して異常だとは思っていない。ただ、そのことと、政治的な中立性、教育における政治的な中立性を担保しなければならないことは言うまでもないことだ。そのように思っている。
今、どうも民主党と日教組の政策が近いのではないかというお尋ねのなかのペーパーがあった。これを一つ一つ見てまいっても、学習指導要領の大綱化は私立の方々も要望されていることだし、教員免許更新制の廃止に関しては、民主党がいち早く教員の質の向上を目指すために、もっとはやく教員の専門免許状を作りたいと努力していることだ。
教育委員会制度は、われわれ、教育委員会制度自体がおかしいのではないかと。そこも根本的に直さなきゃいかんぞと、いち早く提言している。最後はコミュニティースクール。最初は日教組は大反対していたが、地域のことは地域で決めようという方向で議論していく中で、彼らも理解してきている。
決して民主党が政策において日教組に依存しているという発想ではない。議論していく中で、当然のことながら、お互いに理解を深めることはあったとは思うが、われわれが依存しきっている話ではない。
義家氏 選挙のときに応援していただいているというが、教育公務員特例法18条は地方公務員36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。要するに、教育公務員は影響力が強いから、政治活動はダメだと重しがついている。ただし、そこには罰則規定がない。だからこそ、日教組は歴史的な政治的闘争をし、今回の選挙でも多くの学校のファックス、電話で政治活動を行っている。私にも入っている情報だ。
文科省は、毎回、特定の政党の支持、反対のために政治活動は禁止。政治活動の禁止も特別の定めがなされていると。個人の立場か職員団体かを問わず、しっかり配慮しなければならない。これは学校現場に毎回(通知を)出している。
川端氏 教育公務員特例法で政治活動に罰則はないが、(罰則のある)国家公務員に準ずる扱い。それに基づき、先般の選挙だと初等中等局長名で、各都道府県、政令市に文書を発行する。教育にかかわるものの地位利用は別の定めだが、制限される政治的行為の内容は詳細に規定されている。規定と同時に人事院規則で詳細に、14条の7から5項で、特定候補者を支持し、または反対することを目的として同じ人事院規則の中で政治的行為も詳細に規定している。これに違反することがないように指導しているところだ。
義家氏 選挙活動は明らかに政治活動なわけだ。ある記事について読む。総理の地元の北海道の教員の選挙の折の記事だ。「教員がこんなことをやっちゃ、だめだというのはわかっている」。北海道教職員組合に所属する札幌近郊の男性は、選挙運動についてこうつぶやく。渡された名簿を無作為に電話をかけ、民主党の特定候補への支援を訴える電話作戦、近所へのビラ配り。指示は連合の選挙事務所から来る。本当はやりたくない。電話も切られるし。でも、やらないと組合の上の人が負担をかぶる。「これだけ民主党を応援しているから、政権をとれば何か見返りがあると信じている」と言った。
総理の地元の北教組は、日教組のなかでも、その活動の激しさで知られている。ちょっと紹介。昨年1月は、賃金カットに抗議して時限ストライキを打った。これは地方公務員法違反は明らかだ。教員約1万2500人が懲戒処分を受けている。全体の教員の3人に1人が、時限ストを打って生徒たちを取りのこすというできごとを、1月30日に行っている。
また、11月には、これもとんでもないが、新指導要領ができだが、「改悪学習指導要領に対峙するために」という資料を全学校に配布しているが、この中では道徳教育は反対だと。国家道徳だと決めつけ、国家による支配的なイデオロギー、感性、精神で国の方針、政策を受け入れさせるという、学校教育を通じて強制的に行うものだと。これは反対で、指導要領がおりてきても、われわれは自主教材でやっていくとの旨がかいてある。
同じ資料で、北方領土は日本固有の領土式の観点ではなく、アイヌ民族の戦争との関係でとらえさせる。竹島も、昨年11月の職場討議資料で、歴史的事実を冷静にひもとけば、竹島については、韓国の主張が事実にのっていることが明らかだというような討議資料も出ている。さらに、北海道滝川市で発生した小6女児がいじめを苦にして自殺した事件について、教委が遺書を隠していた事件でもあるが、北海道教委がいじめ実態調査をしようとしたが、北教組は、21の支部に協力しないように指導したことが明らかになっている。
このように北教組はストライキをし、指導要領を守らない。違法性が高い。その団体に応援を求めていることに、総理は、どう感じるか。また、総理の地元の北海道でこのような教育の状態があるとの認識があったか。
川端氏 文科省として指摘の事例のなかで、法令に違反する好ましくない部分は、たとえば、ストライキは違法なので、最終的には懲戒戒告、文書訓告を実施をする。法令で当然の措置は今までやってきたし、これからも適切に処置する。新指導要綱の反対活動についても、そういうことが行われないように道教委が中心となって趣旨徹底を図っている。法令に基づき毅然とした態度で違法は許さないという覚悟で今まで通り行っていく覚悟だ。
義家氏 鳩山総理は、地元の北海道の教職員組合で3人に1人が時限ストに参加している。いじめ調査拒否の通達を出している。北海道選出議員の一人として認識しているか
鳩山氏 いま、義家委員から教えていただいた。必ずしも把握していたわけではない。今、川端大臣から話があったように、当然のことながら、違法行為はきちんと処罰されなければならないことは言うまでもない。私どもの考え方と必ずしも同じではない考え方を有していることも、今、理解をしたところだが、決してそのようなことが、子供たちの教育をゆがめてはならないことは私も理解している。
義家氏 状況を冷静に受け止めていただきたい。当たり前の教育現場を取り戻さなければならない。たとえば、産経新聞の21年8月20日の記事だが、いまでも組合の組織率が高い学校では電話やファックスを自由につかい、選挙用の文書作成、やりとりをしているという道立校長の話も報道されている。教育の中立、教育の正常化を実現しないと、民主党政権では、教育現場の自主性に任せると。地域にあった教育をするとしている。不正常な中で教育の分権を行ったら、子供たちにとって大変なことになる。何も自民党のために発言しているのではない。子供たちを守るためだ。しっかり勉強した人はしっかり勉強できる。挫折しても再チャレンジができる。教員が教師として当たり前の職責をまっとうする。頑張っている教師が当たり前に評価される。当然の教育現場を実現しないとならない。
その意味で、まずはこの北海道の正常化は全国に向けて象徴的なことになる。ぜひ、社会全体で子供たちを育てる理念を掲げるなら、総理は現状についてどう改革していくか。決意を述べてほしい。
鳩山氏 北海道だけの話では必ずしもないと思う。今、地域主権が必ずしも、教育には好ましくないのではないかという話があった。国としてどうしても押さえていかなければならないナショナルミニマムはあると思う。そこまで、全部地域に任せていいというわけではない。ただ、子供たちの個性をもっと理解して伸ばしていくために、地域の保護者とか人々が先生に頼るのではなくて、より多くの地域の方々の協力のもとで、教育を新しい角度でスタートさせるのも大変重要な考え方ではないか。そのように思っておる。当然、国のナショナルミニマムを守りながら、地域でできることを地域に任せて、ゆだねて、学校運営を図っていくことを私どもとしてはこれから検討してまいりたいと思っている。
義家氏 たとえば、北海道は、新学習指導要領に対峙するためにとやっているので、そういうところに任せたら大変なイデオロギー教育が行われ、不正常になる。北海道は象徴的な一例を出したが、全国で同種の問題が起こっている。場を改めて、一つ一つ質問をしていきたい。
…自民党もつくづくダメだなと思うのは、一番注目される予算委の初日の質問者に、大島理森氏だの加藤紘一氏だの後藤田正純氏だの、いかにも民主党を追い詰めることのできなさそうな人物を選ぶところですね。で、こういう義家氏のように元気のいい人をNHKがテレビ放映しない日にあてると。なんだかなあ。
by saxophone
外国人参政権・川上義博氏の「…