「ゴルフによる社会貢献」を掲げるPGAフィランスロピー・シニアトーナメント(埼玉県・おおむらさきゴルフ倶楽部)は29日、予選を突破した66選手で第3ラウンドを行った。
前日通算8アンダーで首位タイに立った飯合肇は、4バーディ、4ボギー、1ダブルボギーと不安定なゴルフで2打後退したが、他の選手も大きくスコアを落としたため、通算6アンダーで単独首位となった。
現在、男子シニアトーナメントは、この日通算1アンダーの7位タイにつけた渡辺司が獲得賞金総額のトップにいるが、飯合がこの大会を制すると優勝賞金3000万円を手にするため、逆転で賞金王となる。それだけに、最終日は精度の高いショット、冷静なパットとともに、強い精神力が求められるところだ。
第3ラウンドは、前日までの雨から一転して快晴の秋空となった。しかし、複雑な風がフェアウェー、グリーン上空を吹き抜け、芝目も前日までの雨と、この日の風で読みづらくなったため、スコアを崩す選手が多かった。
はっきりわかるほどの強風ではないが、微妙な風が、フォロー、アゲンスト、あるいは左右に流れ、選手は判断に苦しんだ。とりわけ勝負をかけていく上位陣は、どうしてもピンを狙いにいくため、風に押されたり戻されたり、左右にぶれるためグリーンを外した。
パーオンしても、ピンポジションが難しい位置に切ってあるため、攻略が難しく、ボギーをたたくケースが目についた。
2位には、1バーディ、2ボギーと我慢のゴルフを重ねた実力者・倉本昌弘が通算4アンダーと首位飯合に接近。最終日は同じ組で回るだけに、し烈な戦いが展開されそうだ。
3位タイには、初日トップでスタートしたテリー・ゲール(オーストラリア)、前日首位タイだった三好隆、牧野裕の3人が、通算3アンダーで並んだ。
目下賞金王の位置にいる渡辺司は通算1アンダーの7位タイ。この大会を逆転Vで飾れば文句なしに賞金王となるが、2位以下でも他の選手の成績次第では逃げ切り賞金王となる。それだけに「天から何かが降りてこないと優勝するのは難しい。トップとの差も大きいし」と言いながらも「なんとか、天から降りてきた力を借りて、いいゴルフをしたい」と意欲十分だ。
明日は、最終ラウンド終了後、表彰式が行われる。賞金総額1億2000万円、優勝賞金3000万円という破格の金額。しかも、選手たちが賞金の一部を社会福祉のために寄付するという「フィランスロピー(人類愛)」のゴルフである点が大きな話題だ。この趣旨に賛同した国際スポーツ振興協会(ISPS/半田晴久会長)は特別協賛となっている。