消えた年金:減額受給を選択肢に 厚労相直属部会解決原案

2009年11月11日 15時0分 更新:11月11日 15時0分

 年金記録問題の解決策として、長妻昭厚生労働相直属の専門家会合の部会が作成した、たたき台の全容が11日判明した。保険料を払った記録がなくなる「消えた年金」では、記録訂正を申し立てた期間をそのまま加入期間とみなし、一方で受け取る年金は本来より減らす時限的救済策を検討。現行通り総務省年金記録確認第三者委員会へ申し立てるか、時限救済かを選べるようにする。国民年金で申立期間が1年以下なら訴えを認めるなど、救済基準も緩和するとしている。

 今後、専門家会合で議論を詰め、来年の通常国会への法改正案提出を目指す。法改正なく対応できる基準緩和は近く公表する。

 たたき台によると、時限的救済策の対象は保険料納付の証拠が全くない人で、5年間程度実施。厚生年金の訴えで多い「勤務実態はあるが保険料天引きの証拠がない」場合は、申立期間に本来の7割前後の標準報酬月額を適用する。国民年金の場合は、申立期間を「全額免除期間」とみなし、その期間に関する年金額は通常の3分の1になる。

 消えた国民年金で申立期間が1年以下の場合は、原則申し立てを認める。▽申立期間が2年以下でその前後が納付済みで、申立期間以外に未納がない▽3年以上でも前後に納付漏れがなく、同居親族が期間中に納めている--場合は認める。

 一方、記録改ざんによる「消された年金」では、保険料逃れのため従業員全員をさかのぼって脱退させた場合、期間が1年以上で、半数以上の従業員がその後再加入するなどしていれば、事業主の証言などがなくても、再加入まで厚生年金に加入していたとみなす。標準報酬月額の極端な引き下げなど改ざんの疑いの強い6万9000件の従業員についても、証明資料がなくても訴えだけで認める。

 無年金者対策としては、原則25年の加入が必要な受給資格の期間短縮を提案。窓口の説明ミスで受給できなくなった人については、救済措置を設ける。【野倉恵】

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