東京都の石原慎太郎知事(77)は9日、都庁で2020年夏季五輪について「(東京が)立候補する」と、再び招致に名乗りを上げる意向を明らかにした。さらに日本オリンピック委員会(JOC)の国内選考で東京に決まった場合は広島との共催を望むとした。20年五輪には広島、長崎両市が招致を検討している。ただ、東京は16年五輪招致で“惨敗”したばかりで活動の総括も済んでない。都議会からは五輪再挑戦に否定的な声も上がっており、今後、曲折がありそうだ。
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“逆風”が吹く中、再挑戦への意欲を鮮明にした。石原知事は20年五輪について「わたしの代(任期)での責任で東京はアプライ(申請)する」と述べ、招致を目指す考えを明らかにした。
東京は10月に16年招致に失敗したばかりで招致活動の詳細分析も終わっていない。「来年の4月、5月ごろがJOCとしては(手続きの)タイムリミット」とし「手続きを踏んでおかないと、20年の可能性は全くなくなる」などと説明した。
さらに知事は「東京に決まったら広島と共催する」と話した。20年五輪には広島、長崎両市が招致を検討している。「世界唯一の被爆国で、広島という平和を念願する象徴的な都市と一緒にやることは、IOC(国際オリンピック委員会)の掲げている理念にかなう」とした。五輪憲章は共催を認めていないが、一部競技を国内別都市で開催した例はある。ただ、憲章や時代の流れに適合しない『広域開催』で招致レースに臨んでも勝算が薄いとの見方も強い。
知事の3期目の任期は11年4月だが、知事は「その次はやりません」と改めて引退を明言。招致活動が本格化する前に退任することになるため「次の知事が(立候補を)最終的に決めるんでしょうけど」とも話した。民主都議団の幹部は「招致活動の総括も終わっていないし、まず議会に説明すべきだ」と不快感をあらわにした。
都議会で最大勢力を誇る民主党などには、知事の号令によるトップダウンの五輪再挑戦に否定的な意見が根強い。庁内でも今期で退任する知事が招致活動のレールを敷くことを懸念する声が出ており、最終的に理解を得るのは難しい状況とみられる。