フェリー待合室で乗客ら「市橋と違う？」

　午後６時３０分ごろ、四国行きフェリーに乗船するため、２階待合室に向かった６０代男性によると、市橋容疑者は、待合室の後ろから２列目の３人掛け椅子の左端に、白いジャンパー、黒いズボン、黒いニット帽を深めにかぶり、黒いサングラス、白マスクをつけていたという。

　当時、沖縄や九州、四国行きのフェリーを待っていた乗客ら約１５人がいた。少し遠巻きにひそひそ声で「市橋と違う？」「似ている」と話していたという。市橋容疑者は椅子に座り、両手で腹部を覆うように下向きに座り、目立たぬように、時折顔をあげては、うつむくしぐさを何度か繰り返していた。

　少しざわついた雰囲気のなか、午後６時５５分ごろ、通報で駆けつけたと思われる１台のパトカーが到着。制服姿の警察官１名が階段を上がり、市橋容疑者の正面に立つとかがみ込みながら、何かを話しかけた。市橋容疑者は小さくうなずき、うつむいた姿勢を崩さなかった。警官は無線でパトカーに同乗していた警官を呼び寄せ、さらに応援を要請。約５分後、サイレンを鳴らしたパトカー１台が到着した。

　４人の警察官に囲まれた市橋容疑者は身長確認のためか、数回直立姿勢を取らされ、ジャンパー腹部をめくりあげられていた。すべてを観念していたのか。終始うつむき、抵抗する様子は無かったという。

　パトカー到着から約１５分後、４人の警官に四方を囲まれ、両脇を抱きかかえられるように連行されていった。遠巻きに見ていた乗船客ら少しずつ減り、連行されるときには約５人ほどだった。

連行までの一部始終を目撃した男性はニュース速報をみて「信じられない。逮捕劇を見るのは生まれて初めてだ。とにかくビックリした」と少し興奮した様子で語った。（共同）

　［2009年11月10日23時23分］