この記事は日経トレンディ11月号(10月3日発売)特集「極上中古 vs 新品」の一部を転載したものです。情報は基本的に発売時点のものとなります。

 「TOYOTA 3年ぶんください」。話題の“こども店長”が登場する、残価設定ローンの広告のコピーだ。トヨタ系列の販売店では、「ここ数年で利用者が増え、新車購入者の10%程度が使っている」(トヨタファイナンス)という。最近では、ガリバーなど中古車店も同様のプランを扱い始めた。

 残価設定ローンは、車両価格の一部をあらかじめ「残価(3〜5年後の下取り価格)」として据え置き、残りの金額を分割払いする仕組み。3〜5年後には、残価分を支払ってクルマを買い取る(一括か分割)、販売店にクルマを返却するといった選択ができる。

 利用者にとっては、月々の支払額が抑えられるのが最大のメリットだ。下の表の条件でプリウスを購入すると、通常のローンに比べて、月々約2万8000円も支払額が少なくなる。

 ただ、デメリットもある。据え置いた残価にも金利はかかるため、毎月確実に元金が減っていく通常のローンに比べて支払総額が増えてしまうケースが多いのだ。下の表の例では、残価設定ローンのほうが実質金利が優遇されているにもかかわらず、支払総額は約1万1500円高い。実際に都内のメーカー系販売店を複数訪れて見積もりを取ったところ、残価設定ローンの支払総額は割高なことが多かった。

 ちなみに、下の表のプリウスのケースでは、残価分を除いた3年間の分割払いで車両価格の約65%、同5年間では約91%を支払う計算になる。プリウスのオーナーになるには、さらに残価分(3年の場合105万6000円)の精算が必要。使い勝手が良いぶん、相応の負担があることは頭に入れておきたい。

■残価設定ローンは割高? (3年後に買い取った場合)

ローン種類 通常ローン
(36回均等払い)
残価設定ローン
(36回均等払い)
車両本体価格 220万円 220万円
金利(実質年率) 7.8% 5.8%
初回月返済額 7万33円 4万2789円
毎月返済額 6万8700円×35回 4万800円×34回
残価設定額 105万6000円
支払総額 247万4533円 248万5989円

注)プリウスSグレードの場合(頭金なし、諸経費などは含まず。金利、残価設定額は販売会社によって異なる)