警視庁がひた隠す「中川昭一氏」の現場にあった物
2009年11月9日 リベラルタイム
東京都世田谷区の自宅で死亡しているのが見つかった元財務・金融担当相、中川昭一氏の死因について、警視庁が徹底した「情報管理」をしている。昨年の先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)閉幕後の「酩酊会見」による大臣辞任、そして総選挙での落選──。落選後も、自民党惨敗の「戦犯」扱いされた。そうした孤立無援の中川氏の姿は、かつて自民党総裁選挙で予想外の惨敗を喫し、失意の自殺を遂げたとされる父親の一郎元農相と、どうしても重なるものがある。遺族は、中川氏の死因は急性心筋梗塞と葬儀の場で説明していたが、警視庁から漏れてくる情報は極めて少ない。
「中川さんのベッドの横には、焼酎の一升瓶が転がっていた」。ある捜査幹部はこんな「新事実」を明かす。焼酎は韓国産の「JINRO」と見られ、中川氏は日頃、睡眠薬を服用していたことから、日常的な睡眠薬とアルコールの同時摂取が、中川氏の健康を蝕んでいたようだ。
そうであるならば、自殺ではない根拠としてリークすればいいようなものだが、それでも警視庁が情報管理しているのは「中川さんが、故意に睡眠薬と焼酎をがぶ飲みした自殺、と憶測されないため」(前出の捜査幹部)という。「正確な情報を出せば、誤解や不正確な記事は生まれない」という声も一部には出ているが、上層部は「自殺という前提で、事実を歪曲して結びつけられる」として、情報管理の徹底を指示したらしい。
中川氏が死亡しているのが見つかったのは十月四日。自宅二階の寝室のベッド上で、ポロシャツと短パン姿でうつぶせに倒れていた。ベッドに吐いた跡があり、机の上に睡眠薬とみられる錠剤があった、というのが発表内容だが、確かに焼酎のことは伏せられている。
警視庁は、行政解剖と病理検査の結果を合わせて、慎重に中川氏の死因を特定し、事件性はないと結論付けた。警視庁担当記者は「政治家とはいえ、これほど慎重な捜査は珍しい」と話している。
リベラルタイム12月号「confidential」
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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