責任追及の質問には「答えられない」−産科補償制度で事務局案
日本医療機能評価機構の産科医療補償制度原因分析委員会(委員長=岡井崇・日本産科婦人科学会常務理事)は11月9日、第9回会合を開いた。前回会合で再び争点となった「結果回避の可能性」の原因分析報告書への記載について、事務局は「(家族からの)医療提供者の責任追及につながる質問には答えられない」などとする案を提示したが、意見はまとまらなかった。【関連記事】
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事務局は、「産科医療補償制度の原因分析は、責任追及を目的とするのではなく、『なぜ起こったか』など原因を明らかにすることを目的としている」とする原因分析の基本的な考え方を改めて示した。その上で、家族からの質問には「可能な限りお答えしたい」とする一方、医療提供者の責任追及につながる質問については、基本的な考え方にのっとり、「答えられない」とした。
これに対し弁護士の鈴木利廣委員は、「責任追及につながる可能性のある質問については一切答えないことが原則ならば、賛同できない」などと述べた。
豊田郁子委員(新葛飾病院医療安全対策室セーフティーマネージャー)は、「親のためにもある報告書。読んで親御さんが分からない答え方であれば、お金を出してどこかで調べてもらおうという方向に考えてしまうと思う」との懸念を示した。鈴木委員も、「脳性まひ防止が可能であることについてきちんと書けば、示談交渉によって訴訟にならずに、この報告書がまさに紛争解決に役立つ」などと述べ、弁護士の宮澤潤委員も、「よほど金額的な要求の差が大きくない限りは、訴訟は落ち着いていくだろう」との見方を示した。
これに対し岡井委員長は、責任追及につながる言葉を書き込むことは「全くゼロということはあり得ない」とし、結果回避の可能性の記載について、「『何時何分に帝王切開をしていれば、脳性まひを防げた可能性が高い』という表現はせず、その一歩手前で線引きをしたい。(報告書には)事実は事実として書く。仮定の状況をつくった書き方はしたくない」とした。
結局意見はまとまらず、岡井委員長は同委員会での決着は難しいとして、別途話し合う場を設けたいとした。
次回会合は12月15日に開かれる予定。
更新:2009/11/09 21:40 キャリアブレイン
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