国民が安心して暮らせる社会づくりに「医療の充実」は欠かせない。が、日本の医療の中核を担う病院勤務医を取り巻く労働環境は厳しい上、開業医との所得格差も著しい。
改善が強く求められている中、長妻昭厚生労働相は2010年度の診療報酬改定に関し「勤務医に着目した対策が必要」と発言、勤務医への配分を手厚くすると強調している。来年度予算を確保し、「安心」のよりどころを実現してほしい。
勤務医の過重労働は以前から指摘されてきた。日本医労連と自治労が07年に行った勤務医を対象にしたアンケート調査では、95・8%が月に約3回、通常の8時間勤務に続いて16時間の宿直勤務を経て、また通常の勤務に入る32時間労働を強いられている実態が明らかになった。
日本医師会が今年実施した調査では「平均睡眠時間6時間未満」が41%、1カ月の休みは「4日以下」46%、「うつ病」と判定されたことのある勤務医は1・9%に上っている。同医師会は過酷な労働条件、トラブルによるストレスが背景にあるとまとめた。「疲労からミスを起こしかねない」と悩む医師も多い。
加えて、所得でも開業医との開きは大きい。昨年度の勤務医の平均所得は1450万円。対して開業医は平均2522万円で勤務医の1・7倍にもなる。
こうした諸問題の改善を図らなければ「医療を受ける側にしても、極めて不安で危険」と懸念する医療関係者もいる。また「勤務医離れ」が一層進むことになりかねない。
問題の根本には絶対的な医師不足がある。05年から診療を休止していた県立北部病院産婦人科は昨年11月に再開された。しかしながら9月に1人が退職、またもや産婦人科救急と婦人科診療が休止を余儀なくされているのも同じ事情からだ。
民主党は総選挙の際のマニフェストで医師養成の質と数を拡充するとし、大学医学部定員の1・5倍増を掲げた。さらに現役医師の有効活用策を図り、医師不足解消につなげたいとしている。
日本の医療制度は“崖(がけ)っぷち”に立たされている。抜本的な立て直しが急務だ。政府は諸政策を強力に推し進め「国民の安心」確保に努めてほしい。
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