関門海峡衝突事故:管制官を立件せず…海保方針

2009年11月10日 2時30分

 関門海峡で海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国船籍のコンテナ船「カリナスター」が衝突した事故で、直前にカリナスターへ針路変更を助言した関門海峡海上交通センター(北九州市)の管制官について、海上保安庁は刑事責任を問わない方針であることが、捜査関係者への取材で分かった。指示の法的権限がなく、過失に当たらないと判断した模様だ。

 門司海上保安部などは、カリナスター側が前方をよく見ていなかったことが事故につながったとみて、韓国人船長(44)を業務上過失往来危険容疑で書類送検する方針。

 第7管区海上保安本部や門司海保などによると、事故直前、カリナスターは前を進む貨物船の約2倍の速度で異常接近していた。カリナスターは管制官から貨物船の左側を追い越すよう助言を受けた後、急角度で左にかじを切ったことが航跡データで分かっている。

 7管はこれまで「管制官の助言が事故の一因になったことは否定しない」としながらも「追い越しの判断の責任は船長にある」との見解を示してきた。捜査関係者は取材に対し「管制官の情報提供はあくまで助言。操船への関与の度合いが高いとは言えない。犯罪(過失)を構成する要素はない」としている。

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