大前研一の辛口ニッポン応援談(前編)
2009年11月09日17時11分 / 提供:ITmedia エンタープライズ
"インドネシアが面白いと語る大前氏"
●日本企業は世界へ出ざるを得ない
民主党のマニフェストには産業政策について一言も書かれていない。産業界からみると何をやりたいのかが見えてこない。ソフトウェア産業や環境、福祉、介護といったところに力を入れるといっているが、普通の日本企業はIT業界も含め、そうした分野以外の産業が多い。社民党と連立を組んでいるところをみれば労働者保護は熱心にやるだろうが、裏を返せばそれは労働環境・条件が硬直化して国内でのビジネスチャンスはなくなるに等しい。
米国でも民主党政権はそういう傾向がある。どのみち民主党は産業政策は苦手だろうから、当面、国内市場には希望は見えてこないのではないか。つまり今こそ世界に出ていくべきというより、出ていかざるを得なくなるというのが本当のところだろう。
●中国、インドよりもインドネシアが面白い
海外のマーケットといえば、まず中国とインドが挙がるがこの2国は非常に難しい。中国は労働コストの安さから各国とも生産拠点、輸出基地として位置づけたが、最近労働法が変わってしまい、労働コストが上がり、雇用も硬直化し始めている。いま盛り上がっている中国国内の内需に関しては、いままではあまり手掛けてこなかった。最近になってようやく手を付け始めたが、売掛金の回収、コピー商品の防止といった問題もあり非常に難しい。何よりも中国全土に35万くらいある小売業、販売拠点をカバーするのが大変だ。
中国では代理店、卸などの制度があまり発達していない。このため信頼できるローカルパートナーと組んでいかないと、自社で中国全体をカバーするのは難しい。イトーヨーカ堂が10年前から進出しているが実質的にはまだ3都市、13店舗の展開だ。中国には100万都市が220あるから、これでは氷山の一角、表面を2センチ程度削ったぐらいだ。
インドは日本だけでなく世界中の企業が苦手にしている。国土は広いし、人口も全国的に散らばっていて、どこがへそになるのかがよく分からない。道路がないような村もいっぱいあるし、雨が降れば洪水になって車が入れないところもある。そういうところをすべてカバーして小売りで成功するのはかなり難しい。
インド企業でさえ、全国をカバーできている会社は少ないからね。Reliance財閥なんかは小売りをやろうとしているようだが、(インド最大の財閥企業)Tataでもそれだけのネットワークは持っていない。日本企業ではスズキが一時は7割、今でも5割のシェアを持っている。大健闘、と言ってよいだろう。
インドはどちらかというとITのオフショア開発、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を得意として世界に向けて活躍してきた。Wipro、Infosys、Satyam Computer Services、Tata Consultancy Servicesといったところがそうだが、国内向け、いわゆるCPG(消費財:Consumer Packaged Goods)は苦手だ。
Unileverなど英蘭系の会社には100年近く操業している企業が幾つかあるが、国の規模に比べると売り上げは小さい。この先、国内マーケットは当然大きくなると思うが、インドは高級セグメントとBOP(ピラミッドの底辺、Bottom of Pyramid)という、2つの異なるマーケットが両方とも発達してきているから、どちらを狙うか決めないといけない。それから、普通の年収である5000〜3万5000ドルの中流といわれる層だけでも2億人と日本よりも多い。こうした異なるセグメントをどう攻めていくのか、参入前に研究すべき課題も多い。そのためには特定のパートナーを見つけるか、インドをどうしてもやりたいという人間を採用してやらせるか……。どのみち20年かかるだろうね。スズキもそうだったし。
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