地獄のキャンプでも「ブーちゃん」はしぼみません。中日は9日、東京都・日の出町の亜大合宿所でドラフト3位指名した中田亮二内野手(22)に指名あいさつを行った。身長171センチで体重115キロ。腕だけでなく、独特の体形にも注目が集まる「ブーちゃん」。貴重な個性の最初のハードルはオレ流キャンプだ。いきなり激ヤセしてしまえば、キャラは台無し。だが心配無用。この男、並大抵のことでしぼまない。
ドラゴンズの伝統、そして過去にない部分を併せ持っている。担当の仁村スカウトが力説した。「運動能力が高い。性格も真面目。一生懸命に努力ができる」。こちらはいかにもタフな竜戦士らしい一面。そしてもう一つ。「今までにないタイプ。キャラクター的にも人気が出ると思う。プロ選手として一流になるものを持っている。人気、実力ともに」。過去に類を見ないのがズバリ、中田亮のキャラだ。
愛称は「ブーちゃん」。活躍するようになれば、間違いなくファンに愛される。しかし、やせてしまっては「ブーちゃん」でなくなる。その第1関門となるのがオレ流地獄キャンプだ。
落合政権での中日キャンプは12球団で最も長く、厳しい。日が暮れても終わらない。選手たちはすぐにスリムになる。中田亮も…。そんな不安を中田スカウト部長が「大丈夫でしょう」と、ぬぐう。猛烈なカロリー消費を補ってあまりあるほどの「すごい量」を食べるというのだ。
本人の言葉は「結構、食べます。間食が多いです」と、控えめなのだが、チームでは大食漢として知られる。好物のトリの唐揚げなら100個は食べられるという怪物級の胃袋だ。
亜大の生田監督によれば、中田亮は「食べているか、練習しているか」だという。とにかく食べる。そして猛練習する。象徴的なのがグラウンドへのおにぎり持参だ。
「長い時間練習するので、(合宿所まで)あがって食べたりすると長くできない。グラウンドで食べて練習する方が長くできるんです」
亜大はグラウンドと合宿所が隣接する。中田亮は自分でおにぎりを握り、それを持ってグラウンドへ行く。練習する。おなかがすくとおにぎりを食べる。理由は「長い時間練習する」ため。その長さがハンパではない。休みなしで10時間に及ぶこともあるという。練習を終え、合宿所にあがるとナイターは「いつも終わっている」という。夜9時は軽く過ぎる。
ただでさえ、亜大は練習の厳しさで有名。そこに加えて自主練習を猛烈にやる。見た目は癒やし系。実は練習の虫だ。
今でも自主練習を休むことはない。「動いておかないと次の日が動きにくくなるので」。ストイックに練習を続けながら、ずっと今の体形だ。オレ流キャンプには「やってみないと、分からないので…」と、少し尻込みするが、この男ならやれる。ずっと「ブーちゃん」であり続けるハズだ。 (生駒泰大)
◆中田亮アラカルト
【右投げ左打ち】 利き腕は右。だが、「物心ついたときから左で打っていました」と、打席だけは左だった。つくられたのではなくナチュラルな右投げ左打ち。
【関西人】 出身は大阪府八尾市。永畑小、龍華(りゅうげ)中までずっと八尾市。高校で高知の明徳義塾に野球留学した。
【球歴】 ソフトボールチームの「永畑レッドキッズ」に小3のときに入った。中学は準硬式の野球部に所属。
【肉食系】 トリの唐揚げの次に好きなのは「焼き肉」。肉系が好物。苦手なのはウナギ。
【酒豪】 「ビールはジョッキなら10杯は普通に…」。飲んでもすごい。
【パワフル】 握力は右が75キロ、左が72キロ。ベンチプレスは130キロを上げる。
【野球一筋】 趣味は「ないです」。強いて挙げれば「寝る」。
【名付け親】 明徳義塾の馬淵監督に最初に「ブーちゃん」と呼ばれる。その後、ずっと愛称は「ブーちゃん」。プロでもそう呼んでもらいたいという。
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