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【芸能・社会】酒井被告異例の主文復唱!! 裁判官『この事件は現実です!!』2009年11月10日 紙面から
覚せい取締法違反の罪に問われた元女優酒井法子被告に対する判決公判が9日、東京地裁で開かれ、村山浩昭裁判官は酒井被告の覚せい剤に対する常習性を認め、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。酒井被告は主文の復唱をさせられるなど、あらためて強く反省を求められ、異例の判決の言い渡しとなった。同法違反で懲役2年を求刑されている酒井被告の夫・高相祐一被告の判決は27日に言い渡される。 【関連記事<18><19>面】 東京・南青山の自宅マンションを出た酒井被告は黒のパンツスーツに黒のブラウス、黒のパンプスと、初公判と同じ黒ずくめの“反省”ルックで法廷に臨んだ。かたい表情、うつむき加減で被告人席に座り、深呼吸した。 子供もいる人気女優が夫と共に覚せい剤におぼれ、家族を見捨てて逃亡劇まで繰り広げるという芸能界でも前代未聞となった大事件。社会的にも非常に大きな影響を与え、国民的な関心を集めたが、判決内容は多くの専門家らが予想した通りの平凡な量刑だった。 しかし、そんな空気を察したように、村山裁判官は説諭の場面で異例の動きに打って出た。村山裁判官から「念のため、主文を言ってみてください」と要求された酒井被告は「覚せい剤の使用…」と言いよどんだ。 すると、村山裁判官は「主文の刑はどうだったか言ってみてください」と再度うながし、酒井被告は「1年6月、3年の執行猶予です」と戸惑い気味に主文を復唱。量刑では示しきれない事件の重大性を自覚させるように村山裁判官は「くれぐれも忘れないでください」と念を押した。 判決理由では、酒井被告の罪の重さを印象づけたり、今後の更生可能性を占う上で重要ポイントの一つとなる“常習性”に対して厳しい言葉が並んだ。旅行先での覚せい剤使用や使い残しの覚せい剤を保管した行為などから「覚せい剤に対する親和性や執着は明らか」と指摘。さらに酒井被告の度重なる覚せい剤使用歴などを挙げて「常習性、ある程度の依存性が認められる」とも。「常習性がない」という弁護側の主張は「失当(不適当)である」と一蹴(いっしゅう)された。 さらに覚せい剤を体から抜くための6日間にわたる逃走についても「卑劣である」と断罪。右手に白いハンカチを握り締めた酒井被告は背筋をピンと伸ばしたまま証言台に座り、じっと判決理由に聞き入った。 一方で判決理由は起訴内容を全面的に認めて反省している点も指摘。執行猶予を付けた理由について(1)覚せい剤と絶縁するため、使用を勧めた夫との離婚を考えている(2)継母らが酒井被告の監督を約束している(3)所属プロダクションを解雇され、社会的な制裁を受けている(4)前科がない−等の点を挙げた。 村山裁判官は「長年被告人は芸能界で活躍し、ドラマや映画でいろいろな役を演じてきたと思うが、残念ながらこの事件は現実です。この重みは今後、被告人が実感することになると思います。重みに負けることなく、薬物から完全に手を切って生活することを望みます」と丁寧に諭すと、酒井被告はゆっくりとうなずいた。 開廷から10分あまりで閉廷となり、酒井被告は裁判官と検察官に深く頭を下げたが、傍聴席を振り返ることはなく法廷を後にした。 ◆報道陣に会釈し東京地裁へ東京・南青山の酒井被告の自宅マンションには約100人の報道陣が集結。混乱を避けるため、約20人の警察官と警備員が、報道陣が立ち入らないように敷地内を厳重にガードした。 午前10時35分ごろ、酒井被告は全身黒ずくめのファッションで裏口に姿をみせると、硬い表情ながら報道陣に軽く会釈をして迎えの黒い車に乗り込んだ。酒井被告を乗せた車を一斉に報道陣が取り囲み、警察官が「危ないぞ!!」と怒号を飛ばすひと幕もあったが、車は東京地裁に向かった。 公判後、午前11時49分に酒井被告を乗せた車は地裁を出ると15分後に自宅に到着。 車から降りた酒井被告は、関係者に付き添われて、報道陣の方には全く目をやらず、足早に自宅に入った。酒井被告を乗せてきた車は、その後も車寄せに止まったまま。再び酒井被告を乗せてどこかに行くと思われたが30分ほどすると運転手のみが乗り込み走り去った。 また、すぐ近くにある酒井被告の夫、高相祐一被告が両親と同居する自宅兼オフィスはひっそりと静まり返り、インターホン越しに高相被告の動向を聞くと「取材にはお答えできません」という女性の声が帰ってきた。
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