戦闘ヘリコプターの調達方針変更をめぐり、富士重工業から未回収のライセンス生産料など500億円弱の支払いを求められている防衛省が、支払い義務が無いとの趣旨の回答を富士重にしていたことが3日、わかった。富士重は民事訴訟も含めて今後の対応を検討する方針だ。
問題の戦闘ヘリは「AH64D」(愛称アパッチ・ロングボウ)。防衛省が01年に62機導入を決め、生産する富士重と関連部品メーカーが米ボーイング社にライセンス料など四百数十億円を払った。富士重はこれを62分割して1機ごとの代金に上乗せし国から回収する予定だったが、防衛省は07年度までの計10機で発注を事実上打ち切った。
このため、富士重は9月、未回収のライセンス料と購入済みの3機分の部品代の支払いを防衛省に文書で求めていた。関係者によると、防衛省は2日、富士重に文書で回答。「単年度ごとに契約しており、62機すべて購入する契約をしたわけではない」といった内容で支払い義務を否定した。ただ、話し合いを続けたい意向も示したという。
また、08年度に事実上、発注をやめた理由について、「(重要部品を生産する)米ボーイング社が想定より早くモデルチェンジし、機体価格の高騰が予想されるため」などと説明したという。