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【産経抄】「記録のイチロー」「記憶の松井」
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平成7年元日の小紙は、セ・パ両リーグのニューヒーローとして、松井秀喜選手とイチロー選手を取り上げている。前年のシーズンで、210安打の大記録を打ち立てたイチローには、「4割」への期待が高まっていた。もっとも本人があくまで目標に掲げていたのは安打数だ。
▼一方、「勝利への執着心」を強調する松井は、すでにメジャーでプレーする夢を公言していた。14年後、2人はそれぞれのスタイルを貫いたまま、とてつもない選手になっていた。
▼マリナーズのイチローは、メジャー史上初となる9シーズン連続200安打の偉業を達成する。けがに苦しんだ松井は、晴れ舞台で「勝利への執着心」を示した。ヤンキースを9年ぶりの頂点に押し上げ、ワールドシリーズ日本人初のMVPに輝いた。
▼かつて巨人軍の黄金時代を支え、ライバルでもあった長嶋茂雄さんと、王貞治さんは、「記憶の長嶋」「記録の王」とも呼ばれた。本塁打王15回、通算868号と次々に記録を塗り替える王さんに対して、天覧試合など大舞台にめっぽう強い長嶋さんは「巨人軍は永久に不滅です」などの名言も残した。
▼この関係をあてはめれば、記録の上では、もちろんイチローが上回る。日本での7年連続の首位打者記録をひっさげて乗り込んだメジャーで、今後もさまざまな記録を打ち立てていくはずだ。もちろん、今年3月のWBC決勝での決勝タイムリーは、忘れられるものではない。
▼松井は6年前のメジャー本拠地初戦で、満塁本塁打の衝撃のデビューを飾った。新装なったヤンキースタジアムで6打点をたたき出し、日米両方のファンに、あらためて「記憶に残る選手」であることを強烈に印象づけた。2人のライバル物語はまだまだ続く。
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