「新日本」(8日、両国国技館)
IWGPヘビー級選手権が行われ、王者・中邑真輔(29)が、負傷で王座を返上した前王者・棚橋弘至(32)の挑戦を退け、2度目の防衛に成功した。リング上で新時代構築を誓った中邑は、次期挑戦者に永田裕志(41)を指名。舞台は12・5愛知県体育館が有力となった。王者は“猪木騒動”にも自ら終止符を打ち、未来を見据えた。
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試合後のリング上で、中邑は王座に就いてから初めてベルトを腰に巻いた。「これが本当のIWGP」と胸を張った。初代ベルトへの固執が解かれた瞬間だった。
挑戦者は過去9戦5勝3敗1分けのライバルで、前王者の棚橋。左ヒザを集中攻撃されながらも得意の打撃で対抗した。棚橋のハイフライフローに対し、顔面に右パンチをぶち込んで逆転。左ハイキックと右パンチで追撃し、必殺ボマイェで死闘にケリをつけた。
9・27神戸大会で王座獲得後、IWGPの価値低下を訴えて、旧師アントニオ猪木に対戦を要求、初代IWGPベルトの奪回を掲げた。要求は拒否され、逆にIGFから参戦を求められるなど泥仕合を演じ、新日本の幹部から問題視されたこともあった。
しかし、この日のリング上で“猪木騒動”にも決着をつけた。「誰が言ったか知らないが、過去には勝てない。過去の思い出には勝てない。オレは29歳。プロになって7年。過去にこだわって何が悪い」と動機を説明しながらも「未来はオレがつくる。なりたい自分になる。生きたいように生きる。それがプロレスラー」と誓った。詩を朗読するような口調は、まるで猪木のようだった。
中邑は、前シリーズに敗れた永田を次期挑戦者に指名した。総合格闘技やキックボクシングのスパーリングを、どのレスラーよりも積み重ねた。磨き続けた強さと感性を「ただ強くなりたい」という、飽くなき欲望に注ぎ込む。