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2009-11-07 人材の最適配分 
“天下り”って官僚だから問題になるけど、実は大企業はどこでも同じことをやってますよね。
だいたい社長は役員の中から選ばれる。役員ってのは社長と議論したり一緒に仕事することも多く、社長はいろんな役員と仕事しながら「ああ、次はこいつに任せたい」などと次第に候補を絞り込み、最終的に一人に決めていく。
で、新社長が決まると、その座を競っていた他の人達は次の1年くらいの間に次々と子会社に転出する。元の立場(専務なのかヒラの役員なのか)によって重要子会社の社長という場合もあるし、小さめの孫会社の副社長あたりにでる場合もある。
外に出ることになるのは、直接のライバルだった役員達だけではない。破れた役員達の“それぞれの子飼いの部長”までが主流業務からははずされ、子会社などに出されていく。
大企業においては部長より上になれば、仕事の能力や成果に加え“どの役員についてきたか”という政治的な立場にも命運を大きく左右されるということだ。
一方で新社長は、転出させた人達の後釜に「自分の役員達、自分の部長達」を昇格させて周囲を固めていく。彼等は、引き上げて貰ったご恩から新社長に忠誠を尽くしつつ、次のヘッドになるチャンスをうかがい始めることになる。
ところで日本企業は和を重んじ礼節を旨とする組織なので、出ていって頂く元ライバルらを新社長は非常に丁寧、丁重に遇する。
彼等の新しい仕事は、たいしておもしろくないかもしれないが、タイトルは社長だし、それにふさわしい社長室、社長専用車、社長秘書、社長たるモノにふさわしい報酬、が約束される。高級官僚の“わたり”にあたるような、玉突き人事もよくある話だ。こうして「処遇だけ」は完璧に整えて「出て行っていただく」のだ。
つまり、官も民も大組織はみな同じことをやっているということで、ある種の合理性のある制度ってことなんでしょう。おそらくこの仕組みがないと全然若返らないのですよ、経営陣が。歴史でも同じことがおこるじゃん。誰かが天下をとれば兄弟いとこなど家督相続のライバルは粛正しておかないと危なくてしかたない。
日本だけでもない。アメリカでGEがウエルチ氏の後継社長を選んだ時は、後継候補だった4人くらいの役員達は、ひとりがGEの社長となり(イメルト氏)、他の人達はその後、他社の社長などに転職していった。
つまりアメリカだって、複数の社長候補の中からひとりが社長になった後、残りのメンバーはやっぱり他社にでていくわけです。自分と競い合ってた人の部下になるのではなくてね。
ただ、アメリカの場合は「経営者の転職市場」が存在してるから、自分で他社の社長職に転職できるんだけど、日本の場合はそういう市場がないので、民間でも官庁でも「天下り」的なことを“組織としてアレンジ”せざるを得ない。「市場がないから、組織がアレンジ」ってのは、まさに日本的なやり方なわけで。
こう考えると、ちきりんももちろん「天下り禁止」には賛成なんだけど、民主党の言う「みんな定年まで働いてもらう」案がベストなのかどうか悩ましい。日本の民間企業やアメリカの民間企業でさえ同じことがおこってるのだとしたら、「誰かが社長になったら、その世代の人は後進にポジションを譲って一斉に出て行く。このことにより定期的に組織の若返りと活性化を図る」というのは悪くない“リーダーシップ委譲の方法論”なのかもしれないじゃん。
寧ろ問題は、出て行く人が「出て行く先」に困る状態の方であって、アメリカみたいにそういう人の転職市場が存在すれば=労働力の流動性が高い世の中であれば、問題ないわけでしょ。
「全員、定年まで霞ヶ関にいろ」なんていったら、そうでなくても時代に遅れた人の集まってるエリアなのに益々高齢化が進んで・・・どうなることやら、って気もします。
★★★
ちょっと話を変えますが、大企業に長く勤め、社長交代に伴って子会社の役員に転出されていた方が、縁あってベンチャーの社長になられた。その方が、自著の中で「こういう機会を得られたことは宝くじに当たるにも等しい幸運」であり、「誰にでも与えられるわけではないすばらしい機会を得たのだから、必死で頑張らないと」的なことを書かれていた。
それをみて、なるほどと思った。
今までは、天下り(官の場合)なり、子会社への転出(民の場合)の話は、何度も高額の退職金を貰って、名誉職的な仕事で何千万円もの年収をもらって“ずるい”的な印象をもっていた。
でも、ちがうかも、と思った。
これらの人達は仮にも業界の先端を行く大企業で一度はトップを目指したり、経営の要職を担当した方々なわけです。彼等が本当に欲しいと思っているものが「処遇だけ」の仕事のはずがない。
全員とはいわないが、天下りをしている官僚の中にも、子会社に転出した民間大企業の元役員の人達の中にも、「処遇なんてどうでもいいから、力が発揮できる機会が欲しい」と思っている人はいるんじゃないの?
しかも彼等にはそれなりの貯金もあって、手厚い企業年金もある。心から賛同できる機会であれば、給与が低くても頑張るぜ、という人って結構いるんじゃなかろうか。
なんだけど、上にも書いたように日本にはこういう人の「転職市場」が存在していない。だから仕方なく「アレンジされた“処遇だけの仕事”」に流れていくしかない。
のかもしれない。
だとしたら・・・人材マッチング業的な業界で、こういうマーケットに目をつけるのもいーんじゃないの?と思った。
人材マッチング業界が現在手がけている市場は、(1)第二新卒市場、(2)35才未満転職市場、あとは(3)大規模リストラ再就職支援事業が主なところ。(4)ヘッドハンティング的な経営者ポジションの引き抜きもゼロとは言わないが、欧米に比べれば非常に少ない。
んだけど、この「経営職レース参加経験人材層」にもっと注目したら(4)の市場ももうちっとは活気付くんじゃないかな、と思った。
こういう人達は、元いた大企業から「惜しげもなく巨額の投資を受けて育ってきた人達」だ。何年にもわたる海外経験があったり、合併や買収後の組織統合を何度も経験していたり、法律や規制や上場や免許関係に精通していたり、銀行と何度もギリギリの融資の交渉をしてきたり、などなど。
そういう人を「処遇だけ」のポジションに押し込めるなんて「人材しか資源がない」と豪語する日本(?)としては、ちょっともったいないよね。
そもそもこの層に限らず、「日本が、有能な人材に機会を与えずに放置する」というのは、「サウジアラビアが原油を沙漠に垂れ流す」のと同じだよ。 国の唯一の資産を無駄にしてどーするの?
人材の流動化が必要と言われて久しい日本なんだけど、実際にはなかなかそうはならない。むしろこの不況で大企業志向が高まり保守化している人も多い。そんな中なので、“動かすターゲット”としてこの層はちょっとおもしろいかな、と思った。人材の最適配分を促すような仕事、仕組みってのが必要だよね。ほんとに。
そんじゃーね。
ただ、新しく経営陣を迎えるより
古参を経営者とするほうが多いのでかなり閑散としてます。
官僚の天下りで生じるお金は税金がメインだからうるさく規制する
といった違いがあるんじゃないかなって思いました
まるで公務員だけ,歳を取ったら2号サンが自動的に斡旋されるみたいなものでしょう。(ちと,違うか?)
歳を取った優秀な公務員の能力を生かす道は無いかとのことに関しては,ゴルフのシニアリーグのように,シニア官庁という第二官庁を作っていただいて,現役官庁のバックアップとして残すというのはどうでしょう。現役官庁が社保庁のようにお取り潰し同然の失態を演じた際に,行政機能がハングアップしなようにするのです。もちろん,身分は非正社員待遇の公務員として,新人が50歳くらいで,トップが80歳くらいという老いぼれ官庁ですが,それなりに渋い手腕を発揮しそうではないですか。
また、ノンキャリの官僚も、実務が堅実な人はとても重宝されていますね。意外なコネクションとか裏技を持っている人もたくさんいます。
困るのは中途半端なキャリア官僚かなあ。仕事にはならないけど気位ばかり高くて、えばる、すねる、ごねる。