どこから調達？顔を変えて逃げ続ける市橋のカネ

●まるで男版福田和子

「新宿のゲイバーで働いている」「池袋に潜伏中」「山中で自殺した」

　これまで“都市伝説”のように噂が錯綜（さくそう）してきた市橋達也（３０）。英国人リンゼイさん（当時２２）殺しの犯人に、今度は「整形」情報が浮上した。

　名古屋市内の病院で先月２４日に鼻の手術を受けたほか、先月中旬には福岡県の美容整形外科に出没。ほんの１週間前にも、愛知県内の別の病院に手術の予約を入れていたという。

　次々に顔面を整形しながらの逃亡劇は、さながら、８２年に松山市でホステスを殺し、“７つの顔を持つ女”といわれた福田和子（０５年に病死）を彷彿（ほうふつ）させる。

「市橋の整形後の写真を千葉県警が確認したところ、まるで別人に変わっていたようです。鼻スジは高く、厚ぼったかった下唇は薄くなり、切れ長の目はくっきり二重になっていた。手配写真で市橋の特徴として挙げていたほおの２つのホクロも消えているらしい。県警は週内にも整形後の写真公開を検討しています」（捜査事情通）

　それにしても気になるのは逃走資金だ。０７年３月の犯行直後、市橋は所持金５万円で裸足のままトンズラした。それから２年半、金策が尽きるどころか、整形手術を繰り返して逃げ回っているのだ。一体、どこからそんなカネが出てくるのか。

「全国手配中の市橋は、公的な身分証を使うとすぐにアシがつく。住所もなく、まともにバイト先を探すのも不可能です。ただ、福田和子のケースを見ても、逃走資金には困っていなかった。カネヅルになる男を取っ換え引っ換えしながら逃げていたからです。市橋の場合はオンナか、あるいは、自宅からゲイ雑誌が見つかっただけに、各地の“ハッテン場”で男相手に体を売りながら逃げている可能性がある。千葉県警に『市橋を抱いた』と情報提供した男もいた。とくに名古屋は日本中から派遣切りにあった若者が集まっていて、潜伏しやすい環境になっています。『派遣切りにあって体を売っている』と言えば、ソッチの趣味の男に同情され、はずんでもらえるかもしれません」（前出の事情通）

　もっとも今回の報道で市橋が再び、闇に消えるのは必至だ。警察出身ジャーナリストの黒木昭雄氏は、千葉県警を「お粗末すぎる」と切り捨てる。

「市橋の整形が事実だとしたら、県警はなぜこんな重要な捜査情報を漏らしたのか理解に苦しみます。手術後の写真も公開して正式に発表し、広く情報を集めるならともかく、これでは市橋が隠れてしまうだけ。しばらく表に出てこないでしょう。千葉県警といえば、最近も千葉大女子学生殺しや、３４歳女の結婚詐欺事件で不手際が指摘されている。それをゴマカすためなのか。それとも１１月が警察庁の指名手配捜査の強化月間だからか。いずれにせよ、市橋に逃げられた当初から、この事件に関しては不手際が多すぎます」

　県警が市橋の整形後の写真を公開する頃には、さらなる“別人”に変化している可能性が高い。

（日刊ゲンダイ2009年11月5日掲載）