【幻影の古戦場】古の妖狐とひとつの砦

<オープニング>


「東北からの援軍はまだ到着しないのか……」
「はい。可能性としてはこちらの要請を聞き入れてもらえなかったか、あるいはここに辿り着く前に……」
「どちらにしても考えたくないな、それは。それにしても……あの土蜘蛛の女王がここまで力をつけるとは」
「あの……何度も申し上げている通り、ここは山を明け渡して――」
「我らが先祖より受け継いだ山を見捨てるなどと……考えられん」
「じゃさ、笠間とかいう人間の勢力に助けてもらっちゃう? そうしちゃう? 助けるぞーって言ってたんじゃない?」
「しかしその申し入れ、裏があるのでは……?」
「じゃあどうするのさー」
「……それを決めるために、我々は集まっている」
 木々が覆い茂る佐白山のとある場所。
 そこには大きな、しかしところどころが未完成のような砦があった。
 元々あった拠点を改築や増築で無理矢理大きくした、継ぎ接ぎのような砦だった。
「砦の周囲はどうにか平穏を保てているが……」
「土蜘蛛をあっと言わせるよーな力がないとどうしようもないんだよねー」
「やはり、援軍の到着を待つしかあるまいか……」
「東北の助けがないのならば、大陸の同胞を頼ってみるというのは……?」
「その結論に至るには早かろう」
「じゃあどうするのさー」
 砦の中央に位置する一番大きな建物の一室に9人の妖狐がコの字型に座り、ここ何日もそれぞれが一様に浮かない顔を突きつけ合っている。
「や、やっぱりその、この山から僕たちが出ていけば……これ以上だれも……っ。長老の病気だって!」
 9人の中で一番若い、まだあどけなさが残る少年が声を震わせながら立ち上がった時だった。
「わしを、呼んだかな?」
「「「長!?」」」
 奥の戸が開き、一人の年老いた妖狐が現れた。
 深い皺を刻んだ顔に優しく、どこか悪戯っぽい笑顔を浮かべている『長』と呼ばれた老人は、ゆっくりと集団に歩み寄っていく。
「病なぞ、気の持ちようじゃ。それに今、寝ているわけにもいかんしの……ゴホッ!」
「長、どうか床にお戻り下さい! この場は私が――」
「なに、ただ皆の話を聞くだけじゃよ……ごほ、ごほっ」
 威厳を感じられる一人の妖狐が駆け寄ろうと立ち上がり、
「やっぱりここか!」
 しかし転がり込むように室内へと入ってきた腰まである長い黒髪の少女に気付き、その役目を引き継いだ。
「おお、廊下を大きな足音を立てて走るとは、ゴホッ、はしたないぞ。あやめ……げほごほっ」
「お爺さっ……長! まだ起きてはならぬと申しつけられていたではないですか!」
 苦しそうに咳き込む長を支える少女、あやめはぐいぐいと部屋の外へ引っ張ろうとしている。
「ふぉっふぉっふぉ。老体は労わるものじゃよ、あやめ」
「このような時だけ老け込まないで欲しい、長! さあ、早く戻りますよ!」
 二人のやり取りをある者は苦笑し、ある者は「またか」と嘆息し、そしてある少年は心配そうにあやめを見つめた。
 少年の視線に気がついたあやめは、その金色の瞳を、しっかりとした意思の宿った瞳で返した。
「大丈夫だ、秋桐。きっとじきに援軍が来るさ」
「あ、あやめ……でも……」
「皆も長い合議で疲れた事だろう。長を布団に丸め込んできたら茶でも淹れよう!」
 あやめは「わしには茶を淹れてくれんのか」とぼやく長老に肩をかしながら部屋を後にした。

 日が暮れるのも早くなり、深まる秋を感じさせてくれる今日この頃。
「夕日がキレイだね、って言葉聞くとさ、絶対あたしのコトだと思うよね」
 情緒とかそんなものはどこかへ忘れてきたかのような朝日岡・悠陽(中学生運命予報士・bn0064)は、開いていた窓を閉めながら呟いた。
「それはそれとして。みんな『幻影の古戦場』ってのがあったの覚えてる?」
 武曲七星儀を阻止し、武曲を捕縛する事にも成功した大規模な戦いは記憶にも新しい事だろう。
 戦いの舞台となった笠間市の笠間城跡に出現した幻影の空間。それが幻影の古戦場だ。
「今回はなんと、そこに潜入してみちゃおうって話なんだよね!」
 幻影の古戦場は現実世界とは異なる世界……世界結界が構築されるより以前に佐白山で勃発した戦争の直前の出来事が再現されているという。
 その具体的な内部調査を行い、これを適切な形で処理しなければならない。
「この佐白山には今、3つの勢力がいるんだよね。だからあたしたちは3つに分かれてミッションを遂行することになったってワケ」
 ひとつは土蜘蛛。
 ひとつは笠間某を首領とする能力者の集団。
「この二つは別のチームが担当してるからひとまず置いといて、みんなに潜り込んでもらいたいのは『妖狐』の勢力!」
 古くから佐白山には妖狐が暮らしていた。
 しかしこの地に流れ着いた土蜘蛛により、妖狐たちは次第に住む土地を追われるようになってしまったという。
「妖狐のなわばり……勢力範囲ってヤツ? それが結構土蜘蛛に奪われちゃって、今は本拠地にしてる砦らへんだけでも勢いを保ってるみたい」
 急激に増えた土蜘蛛の戦力に一度は退いた妖狐だが、現在は土蜘蛛もあまり積極的な動きを見せず、そして妖狐も防備を固めているため戦いはこう着状態となっている。
 妖狐側にも戦力はそれなりの規模が残されているが、今後正面からぶつかり合う事があれば勝利できるかどうかはわからない。
 妖狐はこのまま耐え凌ぎながら解決策を模索するか、人的な被害が拡大する前に親しんだ山を放棄して逃げ出すかの岐路に立たされているのだ。
「だから東北にある仲のいい組織に『この状況をどうにかして欲しい!』って助けを求めてるんだよね」
 そこで。
「そう! キミたちは妖狐の救援ヨウセイを受けて馳せ参じた増援部隊なのだ!」
 ひとつの争いを収拾させるには心許ない人数だと思われるかもしれないが、妖狐にとっては一人でも多くの仲間が欲しい状況。
 そして待ちわびた増援がやって来たともなれば、彼らは喜んで迎え入れてくれるだろう。
「そうなると妖狐たちの家……砦の中を案内してくれるだろうから、どこを重点的にチェックするかを考えとくといいかもね」
 砦には大きく分類して以下のような構成になっている。
 土塁や柵などで何重かにつくられた『防壁』、見張りが立つ『哨戒塔』、警備を担当する者が詰める『兵舎』、生活の中心である『住居』と『井戸』、会議が行われたり長老などの重要なポストが住む『神殿』……など。
「今挙げたトコロ以外にも気になるようなところがあったらチェックしとくと何かの役に立つ……かも?」
 それともう一つ、と悠陽は指を立てる。
「砦の中で誰かと仲良しになっとくのもいいかも。ほら、色々事情を教えてくれるかもしれないし」
 そのまま腕を組んだ悠陽は表情を引き締める。
「とにかくみんなにはまず、妖狐たちに信頼してもらう事を優先してやってもらいたいんだよね。そうしなきゃ集まる情報も集まらないから」
 いくら念願の援軍だとしても、それがそのまま信用に繋がるわけではない。
 何らかの方法で妖狐との親睦を深め、好感と信頼を得る必要があるのだ。
「そうそう、一応いつでもコッチに戻ってくるコトはできるよ。でもさ、よそからやって来た人間がちょこちょこ姿を消すっていうのは……アヤシイよね?」
 しばらくは妖狐たちと共に過ごし、期を計る事ができればそれぞれの陣営で活動する仲間たちとの情報交換も可能だろう。
 が、それに関しては現時点で考える必要はない。
「ま、しばらくあたしに会えないってのは寂しいかもしれなけどさ、キッチリした、しかもいい感じの情報のためにまずは妖狐とのドキドキライフを楽しんできてねーっ!」

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参加者
桐嶋・千怜(萃禍・b01805)
神農・撫子(おにしるべ・b13379)
赤金・茜(銅の鎧巫女・b13957)
アイン・ヴァールハイト(コキュートス・b22629)
新町・果(約束の地・b28478)
霧島・燐(神技流空手伝承者の内弟子・b29825)
水原・椎奈(陽だまりの姫君・b31817)
釜崎・アイリーン(ホームレス小学生・b45268)
氷室・まどか(小学生雪女・b51391)
土御門・香月(氷月に降る淡い蒼雪・b63217)



<プレイング>

プレイングは1週間だけ公開されます。

桐嶋・千怜(萃禍・b01805)
■行動
時代にそぐわない物は持たず、基本は礼節を重んじそれを欠くこと無きよう心掛ける
「私の名は千怜、どうぞお見知り置き下さい」
状況の確認を致したく質問の程お許し下さい、と問い質問者に回す

年齢で不審がられたら、仲間の言を継ぐよう

確かに幼くはありますが、その志と実力は保証致します。
しかし不安が残るのであれば、模擬戦などの場にて実力の程をお確かめ下さい
と伝える

■情報収集
信頼を得ることを主に

防壁の方に行き、誰か居るのなら要請を受けての援軍と伝え
雑談や手伝いの申し出をする
補強が必要な所や未完成部位があるなら手伝いつつ

もし良ければ素の話し方でも良いかな?
と親しみが持てるよう言葉を選びながら言ってみる

・敵対組織の規模
・打開する術はあるのか
↑をそれとなく聞く

防壁のあと広場にでも赴き、子供が居れば話し掛け
菓子…飴でもあげれば喜ぶだろうか?一つ自分で食べ安全なモノと示しあげてみる
警戒心が無いようなら、最近の変わったことや楽しかった事
何かに悩んでいる人が居ないか聞き、会えないか聞いてみる

何かの騒ぎが起きたのなら急ぎ駆けつけ状況把握
手伝える事があれば事態収拾に努める

■模擬
指名されたら実力を見せる為、全力で
勝ったなら相手に手を貸し、程度の差はあれ皆このぐらいの力量と見て貰いたい
と伝える

■情報交換
寝所で交換
その際、仲間以外の気配がないか調べおく
↑以外では人目の多く無い所で軽く雑談をしつつ
交わせそうなら情報を話す

神農・撫子(おにしるべ・b13379)
世界結界の為にも、絶対解決せねばなりません。
責任重大ですけれど、最良の結果を得られるよう
自分に出来る事に全力で取り組んで参りますの!

<行動>
事前にこの時代の風土・文化を勉強しておき、
そぐわない装備はせず、言動にも注意
皆様と打ち合わせ身元の設定に齟齬の無いようにし、東北から来た雪女として振舞う
使役の歴史が不明な為、モーラットという名称は用いず使役・妖獣等と呼ぶ

「撫子と申します。未熟ではございますが、皆様の為に尽力致します」
何方に対しても常に丁寧な態度を心掛け、
訓練で手合わせをして下さった方などに必ず感謝の言葉を

模擬戦に参加する必要がある場合は
使役を壁にした後衛と見せかけ、連携して近接攻撃

<調査>
哨戒塔に行き、見張り・警備の手伝いを申し出る
「他にも出来る事がございましたら何なりとお申し付けを」
塔から砦を見渡し、全体の構造を把握
分からない事は質問し「不勉強で申し訳なく」と謝罪
見張りの妖狐さんと雑談しつつ
・現在の土蜘蛛勢の様子
・妖狐達を追い出してまで佐白山を手に入れようとする理由に心当たりは?
何気なく尋ねる

歳の近そうなあやめさん・秋桐さんと出来るだけ仲良くなる事が目標でも
馴れ馴れしい態度を取ったり阿諛する事なく接したい

<情報交換>
寝所で妖狐が寝静まった後か、
それ以外の場所では不自然にならない程度の少人数で
必要に応じて「地味の才能」を活かし、
雑談するようなさりげない感じで情報を提供する

赤金・茜(銅の鎧巫女・b13957)
調査の為とは言え、実際に護る事にもなりましょう。
なれば、彼らに信頼して頂くのは勿論、私自身が彼等の事を好きになりとう御座います。
先ずは親しくなる事に専念を。

◎態度
常に起動状態、状況に応じて爪と鎧は脱ぎます。
現代の品は不所持、時代の合わない言葉は極力使いません。

神道の生家で叩き込まれた礼儀作法をフルに使い、
多少慇懃な程の謙譲語口調で、軽く緊張した愛想笑いで振る舞います。
…いや、演じる必要無いですねこれ。素です。


◎入砦
「東北より精鋭十騎、御要請により罷り越しました!」
説明や質問は年長の方々に任せ、後ろに控えます。

◎行動
自由な時間には兵舎の方を見せて頂こうかと。
そして兵の方々とお話したいです。
「之より共に土蜘蛛めらと戦うのですから、親しくなりとう御座います」
話題は戦場での話。武勲自慢とか是非聞きたいです!

◎模擬戦
折を見て模擬戦を提案します。
「正直、若輩の多さに不安を感じられているのではと言う懸念があります。そこでもし宜しければ模擬戦等如何でしょう?我等がどれだけ“使える”か、直に量って頂きたく存じます」
但し勝手には行わず、幹部の方に御伺いを立てて貰います。
希望者同士で1対1形式、消耗を恐れるなら武器無しでも良いかと。

私は攻撃を耐えてから、渾身の一撃を放ち返す事を旨とします。
丈夫と威力の誇示ですね。

◎情報
目ぼしい情報は就寝時寝床で交換します。
それが難しいなら日中見かけた方に世間話のふりで。

アイン・ヴァールハイト(コキュートス・b22629)
行動
基本的に礼節を重んじ、礼を欠く様な事がない様に心がける
「…イチと申す。」
ドイツ語をそのまま日本語にしただけが…
皆にも事前にそう呼ぶ様に伝える

●対幹部
東北のそれぞれの山中より援軍に来た事を言う
援軍に来るのが遅くなった旨を謝罪
「申し訳ない…他の集落と連絡や話のすり合わせで遅くなった」
と、素直に頭を下げる
10代前半の子供が居る事は
「連絡等に時間をとられて、すぐ動ける者だと歳若い者しか集められなかった」
と伝える
年は若いが、それでも実力者を連れてきたつもりだと言い
遅参して来た分取り戻したいと付け加える

遅れた分状況等変化してると思うので
と敵の規模や戦況について詳しく説明を頼む

それと、援軍とは言え居候になるのだし場所をとるのも申し訳ないので
全員同じ部屋に詰め込んで貰って構わない旨伝える

●住居
女子供や怪我や病気等で戦闘参加しない者の所へ
援軍に来たから安心しろ、や
山取り返すのに出来る限り協力するから、と声掛ける

何か手伝える様な力仕事とかあったら手伝うか…
「薪割りでもしようか?」

子供とかが自分を見てる様なら
目線同じ位にして声掛けてやりつつ頭撫でたりとか
そんで、此処の暮らしの事や幹部連中…あやめや秋桐について聞いてみる
ま、当人に話が出来たら一番だが

●情報交換
寝静まった頃に行なう

●試合
指名されたら実力を見せるねばなら無いので全力で
勝ったのなら
倒れた相手に手を貸し、必要であれば癒す
「大事無いだろうか?」

新町・果(約束の地・b28478)
この前の戦いで思ったの
ここは、悲しさがたくさんの場所なんだなって
その思いを少しでも消せるなら、消したい

だから、がんばるね


■補足
年上へ呼称は、名前+おにーちゃんorおねーちゃん等
難しい言葉は使えません

以下、
私=かなん
使役=しーちゃん
見難くないよう漢字を交え表記


■行動
衣服は質素な和服
所持品は箱に収めて包み、旅の荷風に

「初めまして、かなんですっ」ときちんと挨拶
私達はみんなを助けに来た人って事だから、そのつもりで頑張るって気持ちを前面に出して
後、失礼な事言ったり嫌がる事を聞いたりは絶対しないよ


■チェック
住居で皆と仲良くなれる様動くね
何かを運ぶお手伝いをしたり、お天気やご飯の事とかお話したり
使役の事を聞かれたら「しーちゃんはね、しーちゃんだよっ」と紹介するの
私は、皆が“これからどうしたい”のか知りたいかなぁ

それとね
おじいちゃんが、いつも「ご先祖様は大事になさい」って言うし
お墓参りとかしたいなぁ
もしそこで断末魔の瞳を使えたなら、“見れない”事でこの戦の裏にゴーストの思惑が無いのを確認


■模擬戦
出来るなら戦いたくないけど…
避けられない時だけ

使役が前衛、私は後衛
使役のHP・状態に注意しゴースト回復で補佐
手が空いた時のみ雑霊弾で攻撃
終わったら「ごめんね、痛くなかった?」と


■情報交換
皆が寝静まった後に
無理そうなら、小さく折ったメモをすれ違い様にこっそり手渡し

でもこういうの、騙してるみたいでちょっとヤだな…

霧島・燐(神技流空手伝承者の内弟子・b29825)
■口調
一人称は我輩、基本的に他人は呼び捨て
語尾に「〜である」とつける
外来語やカタカナの単語を言わないように気をつけて今回会話する

■服装
現在の装備の服装で
現代にかかわるものは持っていかない(イグニッションカードは除く)

■到着時
挨拶を忘れない
礼儀正しくしておく
幹部などに会う機会があったら失礼のないようにする

■情報収集
『兵舎』を選択
同じ場所を選択した仲間と一緒に妖狐集落の兵士と合同訓練などをして親睦を深めて休憩の合間などに話をする
また、お互いの実力を確認するために、模擬戦をやらないかと提案をしてみる
提案が受け入れられた場合、感謝をしておく

情報で聞くことは
『現在のこちらの戦力』
『相手の戦力とどんな能力者がいるか』
『現在の詳しい状況』
『現状をどう思うか?』
などを聞いてみる

■模擬戦
ますは相手に接近して【雪だるまアーマー】を使用
基本的には【氷の吐息奥義】で攻撃
アビリティが切れたら、神秘攻撃にて攻撃をする
あぶなくなったら【雪だるまアーマー】を使用
団体戦でも個人戦でもこの戦法で
手加減は失礼だからしない方向で
模擬戦が終わったらお互いの健闘をねぎらう

■情報交換
夜に可能ならば他の場所で情報を入手した仲間と情報交換を行う

■年齢について
年齢について聞かれた場合は
「我輩、まだ元服前ではあるが、実力を買われて今回抜擢されたであるよ」
と切り替えしておく

水原・椎奈(陽だまりの姫君・b31817)
この時代では通じない言葉に注意。
出てしまったら東北の方言とフォロー。



「おまたせ、東北から助けにきたよ〜!」
入塞時には明るく元気にPR。援軍歓迎ムードを盛り立てます。

自由行動の機会に哨戒塔や兵舎を歩き、様子を見たり会話に聞き耳を立て、兵士達の戦意を確認。



模擬戦は参加。
使役ゴーストが珍しいようなら「大陸の鉄人形の鉄丸だよ」と説明(ごめんね、ゴーレム)。

力自慢な相手を希望(射撃をせず使役と力比べに乗ってくれそうな人)。前衛の使役を相手に当て、自分は後衛。ゴースト治癒で回復しながら雑霊弾で攻撃。使役はパワーナックルを使用。HP僅少でゴースト合体。幻楼火にかかったら祈りを捧げ回復。

観戦中、最も真剣に見ている人をそれとなく確認。可能なら話しかけます。
「みんな強いね〜。土蜘蛛は数だけでこんなに強くないよね〜!」



「わたし、シーナっていうんだよ!よろしくね〜。あなたは?」
機会があれば、年が自分と近く、服が上質など地位の高そうな妖狐を狙って話しかけます。自己紹介で名前を確認。
「佐白山、守りきらないとね〜。でも、どうして土蜘蛛はわざわざ妖狐が頑張ってるこの地を狙ってきたんだろう〜?」



幹部衆と面会する機会があれば、仲間の質問に対する発言や表情などの反応をチェック。特に戦いに対する姿勢には、誰が強硬派で誰が穏健派なのか、固有名詞で確認。
「他に、味方してくれる勢力はいるの?信用できそうかな〜?」(笠間を念頭に)

釜崎・アイリーン(ホームレス小学生・b45268)
【佐志能神社】
忘却期以前の能力者…そんな歴史の一端に触れるまたとない機会。
頑張りましょうかね。

【城址公園】
常にイグニッション状態で、和服をメインに。髪を結ってるリボンは最初から持って行かずストレートの髪で。

砦内の人に自己紹介する際は
「よろしくお願いします。愛燐(あいりん)とお呼び下さい。」
で。本名だと明らかに怪しまれるのでひとまず偽名を。
物心が付いた時から一人だったので、住処にしていた集落の呼び名をそのまま名前にした…と言う事を、名前について問われたら回答しましょう。

私の行動の中心は【住居・井戸】。
サバイバルなど、ホームレスの身で得た生活知識を活用し皆を助けますよ。…時代が違うので役に立つかどうかわかりませんが。

行動方針は、寡黙ながら献身。
普段の明るく話すクセ、関西弁風発音を抑える為に気にかけ、そのせいで必要以上に話さないようなキャラに。
でも困ってる人は見捨てずに、助けようと心がけます。優しさが、そのまま信頼に繋がると信じて。
「…お手伝い、しましょうか?」
「…これなら、私でも何とかなりそうです。」

そうやって徐々に親しくなってきたら少しずつ饒舌な面を見せていきましょう。楽しく話せば情報もくれるかもしれませんし。

【佐白山麓公園】
模擬戦の際は吹雪の竜巻を使った支援攻撃主体に動きます。

砦内の人との会話で得た情報は、模擬戦の休憩中や井戸端、寝床など、皆で集まれる機会を利用して情報交換しますね。

氷室・まどか(小学生雪女・b51391)
初見時の挨拶
『氷室まどかと申します、実力は末席ですが、負傷兵などの世話は任せて下さい』

援軍の理由
東北の友人に実力と『家事全般』(鍋釜・洗濯板等もOK)を買われ参加

砦内の役目
負傷兵の世話
敵が住居区に侵入した際の戦力

行動内容
『住居』(『兵舎』?)『井戸』を中心に

負傷兵の世話をしつつ、軽傷の兵から敵の戦力などの情報入手
『井戸』に生活用水を汲みに行って、世間話などしながら一般の妖狐達から話を伺う
『住居』へは、見回りの意味も兼ねて一般の妖狐達と交流(ちょっとしたお手伝いから、お茶の相手、妖狐の子をもふり・・相手をしたり)してつつ、色々と話を伺う

一般技能『礼儀作法』で多くの人の心象を良くする

基本的に『銀誓館の仲間』と『妖狐』を分け隔てなく『仲間』と認識して行動、

私『氷室まどか』を信用して教えてくれた情報は、『銀誓館の仲間』に危険が及ばない限り、規制することもあり

戦闘がある時
光の槍や射撃攻撃で遠距離攻撃中心に戦闘、HPが三分の二ぐらいで雪だるまアーマー使用

神殿に入れた時
『礼儀作法』で多くの人の心象を良くする(特に秋桐君かあやめさんのどちらかに顔は覚えて欲しい)

後々でも信用を得られれば、秋桐君はあやめさんとは仲が良さそうなので、彼を通じあやめさんと知り合いになれる?
あやめさんから、長の世話を手伝って欲しいなど言われるかもしれない?










妖狐の子をもふ・・抱けた時
『これも情報ですよね・・』(感想をカキコ)

土御門・香月(氷月に降る淡い蒼雪・b63217)
*二人称:(名前)+様

◆心境
幻影の古戦場か……。
緊張するけれど、しっかり妖狐の皆様からの信頼を得て、後々行動しやすいようにしておかないと。
よし、頑張ろう。

◆身元
東北の組織から要請を受けて、今すぐ動ける人員としてやってきたということにします。
他の事は聞かれたら答えて、分からない事は分からないと答えておきます。

◆砦にて
幹部に謁見する時には礼儀を弁え丁寧に挨拶。
「雪女の土御門香月と申す者です。よろしくお願い申し上げます。」
その時に質問の機会を貰って、幾つか尋ねておきます。
「現在皆様が置かれている状況について、詳しくお聞かせ願えますか。」
「何故土蜘蛛と戦うことになったのでしょうか。」
「皆様と、敵勢との戦力差は現在どの程度でしょうか。」
「今後の方針についても、お聞かせ頂けますか。」
得た回答に対しても、曖昧な回答には質問します。避けようとしている気配があればそれ以上突っ込みません。

その後は『兵舎』にて戦闘訓練に参加したり雑談したり。
この時は普段の口調に戻してみます。
「ここでは素の話し方に戻してもいいですか?あんまり堅苦しくても変かと思って……。」
日常生活や訓練で兵舎の皆の信頼を得たいから、溶け込めるように努めます。

◆模擬戦・訓練
指名されたら遠慮なく全力で。
終わった後には相手の怪我を治癒符改で癒そうと思います。

◆情報交換
一日の終わりに寝所で他の参加者の皆様と共に集まって、得た情報の整理を。




<リプレイ>

●Irregular
「ここは佐白山が妖狐の陣屋です。何か御用ですか?」
「東北より精鋭十騎、御要請により罷り越しました!」
 砦の門前に立つ番兵に入り口を阻まれるや否や、赤金・茜(銅の鎧巫女・b13957)はよく通る声でそう言った。
「東北? するとあなた方は……」
「はい。皆様のお力添えをするために参りました」
 問い返した番兵に桐嶋・千怜(萃禍・b01805)が恭しく頭を下げる。
 それを聞いた番兵たちは緊張から一転、とても嬉しそうな表情で門を開けてくれるのだった。
「それは本当か!」
「待っておりました。さあ、中へ!」
 とてもあっさりと。
 何事かと顔を出す妖狐たちに、
「おまたせ、東北から助けにきたよ〜!」
 水原・椎奈(陽だまりの姫君・b31817)が笑顔を振り撒くと、「本当に来てくれたのか!」とか「歓迎するよ!」といった声があちこちから飛んできた。
 10人の能力者と3体の使役ゴーストたちは門から少し歩いた所にある休憩小屋のような場所に通された。
「こちらで暫しお待ちを」
 案内を務めた番兵が下がり、能力者たちだけが残された。
「何だか思った以上に歓迎されましたねー」
 粗末な造りながらも綺麗に整えられた小屋の中をぐるりと見回す釜崎・アイリーン(ホームレス小学生・b45268)。
 神農・撫子(おにしるべ・b13379)は頷くと、
「とても争いごとをしている雰囲気ではありませんね」
 外では通りすがりの妖狐たちが物珍しそうに氷室・まどか(小学生雪女・b51391)たちを眺め、こちらに気がつくと笑顔を見せる者すらいた。
 それから数分もしない後。
「これは皆さま、よくぞ参られました」
 数人の付き添いの妖狐と共に一人の女性が小屋へと入ってきた。
「砦の部隊を統括する役目をしております菜凪と申します」
 言っても格好だけですが、とまだ若く美しい部隊長は笑う。
「雪女の土御門香月と申す者です。よろしくお願い申し上げます」
「……イチと申す」
 丁寧に頭を下げる土御門・香月(氷月に降る淡い蒼雪・b63217)に続いて新町・果(約束の地・b28478)が元気よく、そして目を閉じて静かにお辞儀をするアイン・ヴァールハイト(コキュートス・b22629)。
 全員が簡単な自己紹介を終えるとアインは頭を下げた。
「他の集落と連絡や話のすり合わせで遅くなった……申し訳ない」
「ん? ああ、気になさらないでください。其方にも事情はあるでしょう」
「それと……連絡等に時間をとられて、すぐ動ける者だと歳若い者しか集められなかった」
 霧島・燐(神技流空手伝承者の内弟子・b29825)は念のために弁解をしてみるが。
「我輩、まだ元服前ではあるが、実力を買われて今回抜擢されたであるよ」
「とんでもない。若い力を貸していただけるとは、とても感謝しています」
 彼女の言葉は嘘や社交辞令ではないように思えた。
 それからしばらく和やかに差し当たりの無い会話が続くと、菜凪は腰を上げた。
「さて、いつまでもこのような場所で話をしているのも客人に申し訳ない。奥の間まで――」
 案内しましょう。そう言いかけた時だった。
「援軍が来たというのは本当かっ!?」
 嬉々とした声色で少女が滑り込んできたのは。
「あ、あやめ様! 客人の前で失礼ですよ!」
「あ、すまない。嬉しいあまり、つい」
 あやめと呼ばれた少女はぺこりと頭を下げ、そして能力者たちに顔を向けた。
「え……?」
 少女の腰まで伸びる黒髪、金色の瞳、薄い褐色の肌、そしてその凛とした顔……それはまるで。
「武曲……?」

●Elder
「そうか、知人に似ていたのか」
「少し驚いたであるよ」
「うんうん。髪型を変えればもっとそっくりになるかもね〜!」
 あやめと並んで歩く燐と椎奈は、彼女が知り合い――つまり武曲と外見がとても良く似ていた事を説明していた。
 今、能力者たちはあやめに連れられて砦の中を案内してもらっている。
 本来は菜凪の仕事だが、あやめが強引に役目を奪ったのだった。
 外側から円を描くようにぐるりと施設を巡り、やがて敷地のほぼ中央に位置する建物の前までやってきた。撫子は少しの間それを見上げた後、あやめに訊ねる。
「立派なつくりですね。ここは?」
「住む者が集まって話し合いを行ったり、長老が住む屋敷になっている。遠慮は無用だ、入って欲しい!」
 あやめに押されるように能力者たちは神殿の門をくぐった。
 中はやはり質素ながらも丁寧に掃除がされていたり、整えられた庭が目を楽しませてくれる。
「どこに行っても綺麗でとても落ち着くであるな」
「そうだろう! この砦の自慢のひとつだ」
 やがて能力者たちは会議室のような広い部屋へと案内された。
 そこには先に到着していた菜凪と他数人の妖狐。
「すみませんあやめ様。やはり無理でした」
「おお、これはこれはお客人。どうかこちらへ……ごほっ」
 そして年老いた妖狐が鎮座していた。
 それを認めたあやめは慌てて老人のもとへ駆け寄ると、
「お爺様っあ、と、長、あれほど念押ししたというのに!」
 ぐいぐいと肩を揺らし出した。それを軽くあしらった老人は能力者たちをゆっくりと眺望するように首を動かした。
「よいではないか。失礼、お客人。わしはここにいる妖狐たちの長をやっておる者じゃ」
 それぞれがあらためて自己紹介。
 それが済むと長老は能力者たちを歓迎する事、あやめは自分の孫娘である事、自分は少し体調がすぐれないのであやめに長の代理をしてもらう場合がある事などを咳を交えながら伝えた。
「……よく、わかりました。お体が悪いところ、ありがとうございます」
 アイリーンが言うと、それは自分が説明したかったとあやめは頬を膨らませた。
「あやめ、お客人に茶でもお出ししなさい。ごほっ」
 周りの妖狐たちは「あやめ様のお茶は格別だぞ!」などと盛り立て、あやめはムッとしたまま奥へと引っ込んでいった。
「さて」
 長老は表情を引き締めると、鋭い眼光で能力者たちを射抜いた。
(「重要な話でもあるのだろうか」)
 千怜は息を呑んで長老の次の言葉を待った。
「……別嬪さん揃いじゃのう」
「え? あ、はあ……」
「長!」
「おおすまんすまん。えー、そうじゃな。ごほっ、何から話そうかのう」
「では、戦況について詳しくお聞かせ願えますか」
 香月は許可を得ると、現状を把握するために幾つかの質問を投げかける。
「まず、何故土蜘蛛と戦うことになったのでしょうか」
「ふむ。その原因は……わしらにもあるのかもしれん」
「と言いますと?」
 少し前の事。佐白山に『棲家が無くて困っている』と現在の土蜘蛛の女王が妖狐たちのもとへやって来たのが事の発端だという。
 女王が暫くでいいので山に住まわせて欲しいと頭を下げてきたので、棲家が無いのは可哀相だと妖狐たちはその願いを快諾した。
「じゃが、女王ははじめの頃こそわしらにもいい顔をしていたが……げほっ、その内に態度が変わっての」
 鋏角衆を生み出し、力をつけ出した女王はやがて妖狐たちを山から追い出そうと戦いを仕掛けてきたのだった。
「わしがもう少ししっかりしていれば……ごほっ」
「それでは一方的に……」
 アインの言葉に「困ったもんじゃ」と頷く長老。
「わかりました。では皆様と、敵勢との戦力差は現在どの程度でしょうか」
「仔細については……分かりません」
 長老の代わりに菜凪が答えた。
 香月は最後に、と長老と菜凪に顔を向ける。
「今後の方針についても、お聞かせ頂けますか」
「やっぱり偉い人たちが集まって決めたりするのかな〜?」
 地位が高い者を知るきっかけになればと、椎奈が付け加える。が、
「……わしらは一部の者が物事を決めるという事はせんのう」
 つまり確固たる地位、というものが存在しないようだ。
 その中でも長老やその孫娘というのは特別な存在のようだが。
「じゃあさ、他に味方してくれる勢力はいるの? 信用できそうかな〜?」
「今頼れるのは東北の方々だけじゃ。おお、笠間とかいう連中が助け舟を出すとか言っとったが」
「うんうん」
「これまで関わった事のない余所者は、信用ならんしの。ごほっ」
「なるほど……」
 その後、あやめが振舞ってくれた淹れ立てのお茶を頂き、簡単ながらも歓迎の宴を開いてくれたりして――夜が更けていった。

●Dialogue
 後日。
「千怜、おはようー!」
「今何かしているのかな? 仕事があれば手伝おうと思うが」
「柵や壁が壊れていないか見回っているんだ。簡単だけど暇な仕事さ」
「補強が必要そうな部位を見つければ良いのかな?」
「手伝ってくれるの? 助かるよ千怜ー」
「そのための援軍でもあるからね。何より、防壁には土蜘蛛の軍勢を防ぐ重要な役割を果たしてくれないといけないからな」
「土蜘蛛かー。最近は動きがないから、このままどっかに行ってくれると助かるんだけどなー」
「そういえば、土蜘蛛はどれくらいの数がいるのだろうか」
「さあ? でも何となく数ではこっちが負けてるんじゃない?」
「そうか……。では仮に数で負けているとして、それを打開して勝利する術というのは何か思いつくだろうか?」
「んー。そもそもこっちから戦いは仕掛けないだろうからなー。よくわかんないや」
「防戦一方なのか」
「あはは、まあね。そりゃー、あやめ様に何かあろうものなら俺たちも殴り込みのひとつやふたつをするかもしれないけど。まず考えられないよー」
「……愛されているんだな、あの子は」
「何てったって俺たちの姫だからなー、あやめ様は!」
 千怜は暢気な妖狐と一緒に戦火に耐えうるには少々心許ない防壁を巡り、『補修の必要はない』という彼の言葉をしっかりと耳にした。

「お団子をお持ちしました。よろしければどうぞ」
「やあ、撫子ちゃんは気が利くねェ。おまけに見張りの手伝いまでしてくれて」
「これも任務ですから。他にも出来る事がございましたら何なりとお申し付けを」
「まァそうカタくならずに気楽にやりゃァいいのさ」
「そう、ですか。ところで、何か変わった事はありませんでしたか?」
「アタイが知る限りはここ何日かはなーんもないねェ」
「土蜘蛛は」
「ん?」
「どうしてあなた方を追い出してまで山を手に入れようとしているのでしょう」
「ンー。アタイは難しいコトわかんねェけどさ、この山は居心地イイからなァ」
「そのような単純な理由で?」
「『この山が気に入ったから欲しくなった!』とかま、そンなトコロだろうさ」
「そのようなものでしょうか」
「そうそう。撫子ちゃんとそのちっこいのも団子食う? うまうま」
 砦の殆どと、外の様子をある程度見渡せる哨戒塔の上で。
 撫子はモーラットピュアのマロウと一緒に団子を頬張りながら穏やかな山の空気を吸い込んだ。

「模擬戦?」
「はい。我等がどれだけ『使える』か、直に量って頂きたく存じます」
「それは私どもと茜さんたちが戦う、と?」
「お互いの実力を確認するためには丁度良いと思うであるよ」
「……何故、友である者同士が戦う必要があります?」
「それは――訓練の一種として考えていただければ」
 茜や燐の言葉に、兵舎の妖狐たちは首を振ったり傾げたりしている。
 結局、妖狐との模擬戦は行われる事はなかった。代わりに茜と燐、椎奈に香月が互いに組み手をしたり、的に向けてアビリティを撃ったりして自分たちの力を見せる事になった。
「さすがは東北の精鋭隊!」
「我々の精鋭と同等、それ以上じゃないか?」
 とは演習を見た妖狐たちの感想。
 それを皮切りに、能力者たちに話しかけてくる妖狐は激増した。
「すごいねー、名前なんだっけー」
「わたし、シーナっていうんだよ!」
「之より共に土蜘蛛めらと戦うのですから、親しくなりとう御座います」
「もちろん、仲良くなろうよー」
 椎奈や茜をはじめ香月も、
「あんまり堅苦しくても変かと思って……」
 普段の口調を用いるようにしたりと、妖狐たちとの距離を縮める事には成功したようだ。

「……お手伝い、しましょうか?」
「愛燐ちゃんかい。そうだねぇ、子どもたちの相手でもしてやってくれないかい?」
「子どもたちの……。任せてください」
「それでしたら、私もお手伝いさせていただきます」
「かなんも混ぜてほしいなっ」
 ――長屋のような住居が連なる居住区。
 そこは子どもたちの笑顔が溢れる場所だった。
「それっ、捕まえましたよ!」
「わーっ、お姉ちゃん速いよーっ」
(「これも情報ですよね……」)
 鬼ごっこの鬼をしていたまどかは、つけ耳をつけた少女の捕獲に成功していた。そしてもふもふしていた。
「……あのー、いつまでそうしているんですか?」
「アイリー……愛燐さん、これはその」
「愛燐、まどか、果! すっかり人気者のようだな!」
 と、そこへあやめが手を振りながらやって来た。何者かを後ろに携えながら。
「あやめさん……と、秋桐君?」
 それは宴の時に紹介されたあやめと幼馴染の少年、秋桐だった。
「秋桐おにーちゃん、こんにちはっ!」
「こ、こんにちは……」
「お二人はよくこちらに?」
 あやめは「ああ!」と頷く。
「見回りも兼ねてよく子どもたちと遊んでいるんだ! 少々頼りない秋桐もここでは年長者として振舞っているんだぞ!」
「……そうだったのですか」
「おや、皆ここに集まってどうしたんだ?」
 大量の薪を担いだアインが通りすがり、足を止めた。
「イチ、力仕事を任せてしまっているようですまないな」
「住まわせてもらっている以上、何か仕事をしないとな」
 そんなアインのもとへ、子どもたちが「イチのアニキだー!」とわんさか集まってきた。
 頭を撫でながらアインは呟く。
「ここはいい所だな」
「そうだろう! ……だから、私は何としてもこの山を守りたいのだ。な、秋桐!」
「あ、うん……そう、だね。でも……」
「……」

 夜も更けた頃。仕切りのある同じ部屋に寝る事になった能力者たちは誰にも気付かれないように注意しながら情報の整理を行っていた。
「やっぱり、ここの妖狐たちは戦いに対する心構えみたいなものが感じられないであるよ」
 燐の言葉に千怜と撫子も頷く。
「あまりに無防備すぎますわ」
「相手の戦力はおろか、自分たちの戦力もきちんと把握していないようであるな」
「かなん、お墓にも行ってみたんだけどね」
 念の為に断末魔の瞳を使ってみた果だったが、この能力はあくまでも対象となる人物が死んだ現場でないとその効果を発揮する事はない。
「ここ一週間ほどは大きな戦いもなく負傷した兵はいないとの事でした」
 まどかによると銀誓館学園の能力者がそうであるように、治癒能力をもつアビリティを使う妖狐もいれば大きな傷を負っても一週間以内に完治してしまう、との事だった。
「そういえば使役ゴーストはこの時代にもいるような話でしたね」
「しーちゃんともみんなお友達になってくれたよっ」
「友達……あやめや秋桐とも少しは仲良くなれただろうか……」
 それぞれの話を統合してわかった事はひとつ。
 この砦は。
 のんびりし過ぎている。


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知 的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2009/11/04
得票数:楽しい62  笑える1  怖すぎ2  知 的17  ハートフル9  せつない6  えっち1 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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