2009-11-08 23:28:08 posted by neko-guruma

多文化共生の帰結

テーマ:国内政治
Time for a debate on immigration
移民受入について議論すべき時である

By Martin Wolf
2009年11月5日20:25


 最近になってアラン・ジョンソン内務大臣は、移民に対する政府の取り扱いに『不手際』があったことを認めた。しかし、それは過少申告であり、不正直な物言いであると言える。政府は根拠が弱く深刻な結果をもたらす急進的な政策を、真剣な議論無しで追求してしまった。そうしたわけで英国国民党が、BBCテレビを騒がせる事となっている。

 これまで移民が政治における『不可触事項(third rail)』であったため、不正直な言い逃れを政府に許し続けてきていた。この話題について公然と話したがる人は少ない。しかし、何らかの議論は不可欠であろう。現在の政策は大きな意味合いを持っている。これらは評価されるべきであるし、公然と議論されるべき物でもある。また、それこそが民主主義の正道というものであろう。

 では、いくつかの事実の確認からはじめてみよう。

 まず第一に、政府算出の数字によると英国の人口は2030年までに7000万人に達すると見られている。直接移民及び移民者の子孫を合計した移民総数は、70%の上昇率を計上するであろう。この仮定によれば、移民が一年につき19万人ずつ流入し続けるという計算になる。過去に行われてきた政府による算定は、移民流入率を過小評価する傾向があるため、実際の数値はより高いものになるかもしれない。

 第二に、労働党政権の下で国外移住者は1997年の107,000人から2007年の333,000人に上昇している。英国民の国外移住者を考慮に入れた場合、移民の全体的な純増数は2007年に237,000人に達している。全期間に亘る外国人の流入者数は300万人、もしくは人口の約5%に達するだろう。さらにこの数値には、一説で62万人と見積もられている不法入国者数を加算するべきである。

 第三に、欧州連合域外からの移民は2000年以来約20万人へと急速に増加しており、基本的に流入者の大部分を占めている。政治的亡命者の数は全体の小部分に留まった。EU圏外からの入国者のうち結婚によるものは、1990年代前半の年間2万人から4万人へと上昇している。また、労働許可を得て入国した者は年間2万人から年間約13万人へと急上昇した。

 第四に、世帯数増加の約40%を移住者世帯が占めると予想されている。既にロンドン市内の学校に通う生徒の半分以上が、英語とは別の言語を母国語として学んでいる。継続的な移民流入は、多くの地域の住民を変質させていくだろう。

 これは重大な意味を持っている。このような変化は望ましいものだろうか? 幾人かの論者は、地球に国境を引く事は基本的に悪であり、誰であろうと望む場所で生きることを認めるべきだと主張している。

 英国は世界平均の約5倍の一人あたり実質所得を有している。無制限な受入政策を続けるならば、何千万とまではいかないにしても、数百万の移民流入を許す可能性を考えるべきだろう。そうなった場合の衝撃は想像に難くない。

 私個人としては、移民は権利ではなく恩典であると主張する事に問題を感じない。これは殆どの人が同意する事である。そうであるならば、悪しき世界に住む我々は移民を抑制する手段を── そして、原則を──、決する事を避けて通れないであろう。私の見解を述べると、移民の利益にある程度重きを置くべきではあるが、元から居る国民の利益はそれよりも決定的な重さを持つと考えている。

 経済・環境・社会の3つの点について考察してみよう。

 経済論争は、企業の後援を受けた政府が最も頻繁に訴えていたものである。しかし、既存の国民に対する経済的利益は、移民者からはほとんどもたらされてはいない。結局のところ世界で最も豊かなのは、小規模かつ均質な国である。移民からどのような利益がもたらされるかは、移民の経済性・社会性に左右されるだろう。さらに経済的影響は、新たな家庭と社会資本のコストを含む、原簿の両側を含まねばならない。

 人口がより大きくなるほど、より密集した国となる。事実、マルタに次いで人口密度の高い英国ですら、『過密』であるとまでは言えない。私の計算によれば、全土の人口密度をロンドンと同じであると仮定するならば、全人口は7億という数値になる。だがしかし、バーミンガム7つ分に相当する1000万もの人口が増加する事にる影響は、英国にとって重大な物となるだろう。これは特に、住宅在庫やインフラ投資額の膨張を望まない国に於いて真実である。公共部門が逼迫している時、困難さは莫大な物となるであろう。

 多様性は社会的利益をもたらすが、一方でコストをももたらす。これらのコストは信用の低下と、価値観共有による侵食によって発生する。一般社会は女性が社会で果たしている、少なからぬ役割を認めている。だが、この価値観を認めない移民が社会で集団を成した時、摩擦によるコストは特に高い物となりそうである。このような対立への懸念を感じるのは、理屈に合わない事ではないだろう。

 政府は現在の移民受入政策の継続についての議論を避け続けてきたが、今やそれは避けられない情勢となってきた。異質かつ巨大な集団を受け入れる事が英国にとって本当に好ましいかどうか、経済問題より広く社会的問題に根ざした議論を行わなければならない。英国は長期的には合衆国のようになるだろう。それが成功裡に終るかどうかを、政府に強く問いかけよう。成功裡に終らないとするのならば、議論の向きを移民流入を抑制する方向へと変えるべきであろう。

 イギリスでも増加し続ける移民が問題となってる模様。つい先日もこんなニュースが入ってきています。

■英国で極右政党台頭に強い懸念 党首TV出演で逮捕者騒ぎも
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/091024/erp0910242001005-n1.htm
 【ロンドン=木村正人】移民排斥と反イスラムを唱える極右政党、英国民党(BNP)のグリフィン党首(50)が22日、BBC放送の討論番組に出演した。英紙デーリー・テレグラフがこの直後に世論調査を実施したところ、22%が同党への投票を真剣に考えると回答した。金融・経済危機による失業者増を背景に支持を伸ばす同党は先の欧州議会選で初議席を獲得したばかり。第二次世界大戦でファシズムと戦い、多文化主義を掲げる英国では極右政党の台頭に強い懸念を抱いている。(後略)


 英国以外でも世界的な金融恐慌の結果、外国人排斥を主張するネオナチじみた連中が勢力を増しています。移民元で食い詰めたのが大挙して自国に押し寄せてきた挙句、ただでさえ悪化している雇用情勢をさらに過酷な物にしているのですから、当然といえば当然でしょう。
 それにしても多文化共生を標榜した結果、国内に他を認めない文化を持つ第二国家が形成されていくというのは、なんとも皮肉な物です。こうしたパラドックスを、多文化共生を叫ぶ人たちは解きほぐす事が出来るのでしょうか。あたいには疑問でなりません。

 さて、日本でもお花畑が政権の座についてしまったので、こうした懸念が急速に高まりつつあります。そう、民潭が強く要求し、民主党が強力に推し進めようとしている狂気の法案『外国人地方参政権』です。
 あたいがこれを狂気の沙汰だと断ずるのは、日本人固有の権利を日本に対して何らの責任も持たないし、持つ気も無い連中に手渡そうとしているからって理由だけではありません。
 現状でこの法案を提出し通過させる事は、将来的に外国人排斥運動へと繋がり、日本の治安が極端に悪化する可能性があるんじゃないかと想像するからなのです。
 なんで!?と思うかもしれませんが、順を追って説明しますね。

 皆様ご存知の通り、世界は不景気の真っ只中。日本もリーマンでは傷が浅かったものの、これまで経済成長をドライブしてきた外需の回復は、しばらくは見込める状況ではありません。だいたい、東欧発の欧州恐慌や米のノンバンク系金融大手CIT破綻による連鎖倒産など、二番底の懸念が急速に高まっている現在、景気回復などというのは夢のまた夢と思っていいでしょう。
 そうした中、華麗に登場したのが我らが鳩山首相率いる民主党政権。国内需要を削り取る事しか考えてないような経済政策を取り続けている以上、日本の景気も(麻生政権で多少回復基調に乗ったにも拘わらず)これからどんどん冷え込んでいく事になるでしょう。
 当然の事ながら雇用も悪化しますし、なんとか職に就けている人の生活も苦しくなっていくのも避けられない情勢。
 こんな時に、外国人を不当に優遇するような政策を打ち出せば、一体どうなるでしょう?
 自分の生活が苦しいのに、いてくれと頼んだわけでもない居候が不当な利益を享受している。しかも、その利益は自分の財布から出てるとしたら? そんな状況下で大人しくしてられるほど、日本人は腑抜けでもお上品でもないと思うのです。
 しかも現在、そーいった貧困に根ざしたナショナリストを、吸収するだけの受け皿も無いわけじゃありません。ここでは名前出しませんが…現在あるそういった団体を核として、より求心力を得ようと主張を先鋭化・過激化させていった場合、何が起こるかはもうお分かりですね。そう、日本人による在日迫害。そんな世界が冗談じゃなくなる可能性もあります。
 この想定のさらに恐ろしいのは、感情に突き動かされた連中に、迫害対象の絞込みが期待できないという事。例えば名前がそれっぽいとか、エラが張ってるように見えるとか、さらに極端な事を言えば『裕福だから連中と繋がってるに違いない』なんて思い込みで、日本人が日本人を襲撃なんて事態も考えられなくもありません。ああ、過激化した連中をたしなめようとする人々も、そういったナショナリスト集団の襲撃対象になる可能性もありますね。

 もちろん、ここで書いたのはあくまで最悪を想定した妄想です。ですが経済が冷え込む中、民主政権が続いてるうちはいいかもしれませんけど、終った後に来る物を真剣に考えるべきだと思うのです。外国人参政権を求めてる人たちは。
 今はとにかく頭を低くして、目立たないように不況をやり過ごす事に専念してはいかがでしょうか?

 …民潭がここまで騒いじゃった後だと、こうした忠告も遅すぎる気もしますけどね…


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「国家」を見失った日本人
外国人参政権問題の本質

(小学館文庫)